現在様々な場所で活躍しているジャーナリストの安田菜津紀氏、安田浩一氏による日本社会の「外国人差別の現場」のルポタージュ。今まで日本政府・入管などは外国人を社会の一員として認識せず「犯罪者扱い」してきた傾向が顕著であるが、入管が戦前の「治安維持」を行った特高警察の影響を受けた制度・施設であることは本書で初めて知った。政府の「管理」「監視」「排他」すべき「治安維持」の対象が戦前は社会主義者や共産主義者、無政府主義者だったが、現在は(難民を含む)外国人になっていることが良く理解出来る。
著者たちが述べるように外国人労働者は今や日本にとって不可欠な存在であるからこそ、適切な政策による共存のシステムを一刻も早く確立すべきである。
(2023年12月26日)