ショートショート

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ノート

少し先の未来

「いらっしゃいませ。ご来店ありがとうございます」

大通りから離れた場所に洒落た一軒のブティックがある。町は大きく変わったようには思えないものの、小さな変化が積み重なり、公共交通機関はAIが安全に取り仕切っていた。

普段は家から一歩も出ずに買い物をしていた美恵子は、店舗まで足を運べばもらえるというスカーフを目当てにやって来た。

「本当はいつも通り、家で買い物したかったんだけど」

「大変申し訳

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ピクルスはいらないよ

「先輩の初めてのデートってどうだったんですか?」

肩までのふわっふわの明るい茶髪を揺らして笑う。眼鏡の奥の黒い瞳が好奇心いっぱいに光っていた。

「私の?初めての?」

そうでーっすとイタズラを企むような顔する後輩に、呆れてため息をついた。5階建てのマンションの一室、日当たりの良い角部屋に住めたことは幸運だった。2階だけど上の階に住む人も下の階に住む人も、隣の人も穏やかな性格だ。小さな子どもを抱

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