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大切に持っていたい文章

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大人を信用できない子どもたち

大人を信用できない子どもたち

児童養護施設の子どもたちは、大人を信用できない子が多くいます。

「あなたが心配なんだよ」と伝えても、「え、なに言っちゃってんの?嘘つき」と言う子がいます。

子どもたちにとって、大人を信用するということは大変にハードルが高いことなのです。

なぜ、そうなのでしょうか。

児童養護施設に入所する理由は、ほとんどが虐待

児童養護施設に入所するには、児童相談所が子ども

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死にたい君へ、生き延びた私からの手紙

死にたい君へ、生き延びた私からの手紙

 死にたい君へ

 ちょっと長いけど、読んでいってよ。

 あのさ、死ぬ気力すらない状態で、ただ漠然と「死にたい」って考えているような、そんな時ってあるでしょ。

 いざ死のうとするんだけど、今度は死ぬという行動に大きなエネルギーが必要になるってことに気づいちゃって、「ああ、もう全部めんどくさい」ってなって。結局いつもみたいにリスカしたりODしたりしながら、なんとか苦しみをやり過ごしてたらいつの間

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先輩の話

 第一志望じゃない高校で、第一志望の部活に入った。

「入学」というより、「漂着」と言うべき入り方だった。 そもそも縁もゆかりもない場所に愛着なんて持てなかったし、バキバキに折れた状態では状況を受け入れるのも困難だった。
唯一の救いは、ずっとやりたかった競技がそこにあったことだ。地方の学校としては非常に幸運なことに、二つ上の代が活発に活動していてくれたらしい。
3年間暫く羽を休めよう、

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飛行少女

飛行少女

空を飛んだあの子は非行少女

繰り返された罪は貴女の心を埋めてくれましたか
並べられた傷は貴女の心を満たしてくれましたか

「愛されたい」

いつから私たちはそう嘆くようになったのでしょう

お互い
「似た者同士ね」
と自嘲気味に笑って
少ない所持金を溶かした薬で
あやふやになる視界
頼りない足取りで
進んだ先もまた確証などない頼りない世界でした

哀を含んだ瞳で悪戯げに笑う貴女が盗んだ赤いリップ

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