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玩具業界の端くれとして。

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かつて複数の玩具メーカーに所属し、企画から生産管理などをやった後、形は変われど、再びその道に戻ってきた、アラフォー営業兼プランナーが見て感じた、今の玩具業界のリアル。
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記事一覧

たとえ自分の首を絞めてでも(2)

たとえ自分の首を絞めてでも(2)

開発中の商品に、何とか付加価値をつけるため、今の仕様で可能な遊び方を見出した。

ただ、それを実現するには、追加予算が必要だ。
想定外の仕様を説明するため、追加イラストを発注しなければならない。

事情をメーカーの担当者に伝え、何とか工面していただけないかを相談したが、既に稟議も通っている案件なので、追加予算の工面はほぼ不可能とのこと。

悩んだ末、スケジュールのこと、そして何よりも、商品のこと、

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たとえ自分の首を絞めてでも(1)

たとえ自分の首を絞めてでも(1)

お試しで有料記事にしてみたけど、反応がなかった(デスヨネー)ので、少し修正し、いつもどおりに上げ直してみることにした。

いま現在、あるメーカーの商品開発に関わっている。

元々はパッケージや組立説明書といった、デザイン物の制作という形で関わっていた案件だが、昨年末より、商品の企画段階から関わらせていただくことになった。

色々な意味で、非常に苦労する案件ではあったものの、ようやく形(物理的に)に

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敢えて案件を潰す、という知恵(3)

敢えて案件を潰す、という知恵(3)

少し前に諸々問題を感じ、一旦潰してきた案件。
無事、受注に繋がることが決まった。

仕様についても、先方で色々な手を尽くし、コストを調整することが出来る見込みだとのこと。

自分も時々ハッ!となることがあるけれど、意外な方面からの指摘や質問というのは、時に思いの及ばないアイデアに繋がることが少なくない。

己への自戒も込めて記すが、人間というのは、視野狭窄を起こすようにできている。
同じところへ留

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リアルタイムで触れてきたもの(スーパー戦隊シリーズ編)

リアルタイムで触れてきたもの(スーパー戦隊シリーズ編)

子供の頃、リアルタイムで触れたコンテンツに対する思い入れは、おそらく誰もが持っているもの。

もちろん、触れたときの年齢や環境にも依る部分はあるが、それが人生を左右することは、私の事例でも明白であろう。

特に幼少期に於いては、「三つ子の魂百まで」という言葉のとおり、どんなに年齢を重ねようとも、失われることは稀だ。

私が最初に観たスーパー戦隊シリーズ(当時はそのようなくくりは存在しなかったが)が

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20年。

20年。

ここ最近、新規取引先から案件のご依頼を頂戴したり、また、既存取引先から基幹ブランドのデザインに関するご依頼を受けたりと、営業として、忙しくもありがたい毎日が続いている。

その中には、かつて自分が20年前、新卒として入社し、3年ばかり籍を置いていた会社の案件も含まれている。

今日、自分が企画提案をして、商品化が決定した玩具の試作品を開発のご担当者へ返却するため、その会社へ訪問してきた。

ご担当

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敢えて案件を潰す、という知恵(2)

敢えて案件を潰す、という知恵(2)

まず、その玩具について。

知育の要素が強く、少し触れば「なるほど!」と納得できる。
しかし、今のパッケージでは、サイズ感や質感といった肝要な部分が、伝わりにくいどころか、まったくと言っていい程伝わってこない。

これは単に見た目を変えたところで、改善されるものではない。
少なくとも、どんなものが入っているかがひと目でわかるよう、窓開きのパッケージにする必要がある。

そして、中身について。

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敢えて案件を潰す、という知恵(1)

敢えて案件を潰す、という知恵(1)

自分はデザイン会社の営業兼プランナー。
会社の売上を伸ばすため、新規案件の獲得が何よりも必要だ。

どっこい、今のご時世、どこもかしこも緊縮ムード。
景気回復どこ吹く風か、日々の生活で手一杯。
大手企業も、値上げをしなけりゃ旗艦ブランドですら守れない。そんなときにクライアントへ日参しようが、新たな案件なんぞ出てくる筈もなく。

だから営業は足…ではなく「知恵」を使う。

メーカーにいたときの経験で

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「人気がある」=「ビジネス的に成功」とはならない現実。

「人気がある」=「ビジネス的に成功」とはならない現実。

先日の日曜日、「快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー」が最終回を迎えた。

スーパー戦隊シリーズ初の試みとして、作中に、

「ギャングラー(当作品における悪の組織)に奪われた秘宝『ルパンコレクション』を取り返し、ギャングラーによって失われた大切な人を取り戻すため、快盗の道を選んだ3人=ルパンレンジャー」。

そして「ギャングラー撲滅と世界平和のため、国際警察機構日本支部で特殊戦力部隊

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33年の時を超えて(後編)

さて、おもちゃ屋さんで頂戴した「ぽろりんちゃん」2体。
頂戴したものの、ホントに姪っ子は喜んでくれるだろうか…?

なんせ、33年前のおもちゃ。
ましてやキャラクターものでもない。
まぁ、逆にそれが時代も関係なくていいんだが。

妹夫婦は、翌日1日の夕方にやってきた。
前回は1歳ちょいでの対面だったので、殆ど触れ合えずにお別れすることになった姪っ子は、すっかり大きくなって、喋ったり、一緒に遊ぶこと

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33年の時を超えて(前編)

33年の時を超えて(前編)

1986年、タカラ(現:タカラトミー)が発売した女児向け玩具「むしばでなみだ ぽろりんちゃん」。
歯医者さんをテーマにした人形遊びセットになっており、人形の歯を治療すると、涙を流すという、若干トリッキーな仕様の玩具だ。

それが33年経って、行き着くべきところに行き着いた瞬間に遭遇することができたので、ここに記しておきたい。

今回の年末年始で帰省する際、どうしても寄りたい場所があった。
それは、

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