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小説/詩

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人生だったり、キャリアだったり。そんなテーマのお話を書くことも好きです。
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記事一覧

【短編小説】ラーメンと夢

【短編小説】ラーメンと夢

こんにちは、ゆきふるです。
いつも私のnoteを読んでいただき、ありがとうございます。

ありがたいことに、このnoteのフォロワーさんも1,000人を超え、記事にもたくさんのコメントをいただいております。

本当に文章好き冥利に尽きます。

思い返せば私が文章を書くということを始めたのは、高校の文藝部員時代でした。
とはいえ、当時はだらけきっていたので、年に一度、文藝部誌のために短編を書き下ろす

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【詩】ブックカフェにて

【詩】ブックカフェにて

食べかけの ケーキ

かじりかけの クッキー

飲みかけの コーヒー

読みかけの 本 二冊

書きかけの エッセイ

生きかけの わたし

【詩】白いかべ

【詩】白いかべ

大きなぶたい などではない
小さな小さな へやの中

こんなとこから とび出したいと
なんど 思ったことだろう

よごれたままの 白いかべ
いつから色を 失くしたの

差しこむひかりが とかしていく
いつかひかりに なれるだろうか

【詩】そのとき

【詩】そのとき

あめあがり 水にといかける

きみは これから何をするの
きみは これからどこへいくの

水は こたえない
僕は こたえない

雲は ゆうゆうと空をおよぐ
空は ぜんぶを見ている 水も 僕も 雲も

いつか 決めなければならないときがくるだろう
いつか やらなければならないときがくるだろう

次に雨がふったら
そのときが そのとき

【詩】静かに交差する影

【詩】静かに交差する影

私たちの生活は、見知らぬ人との偶然の出会いによって織りなされている

街角での一瞬の眼差し

電車の中での無意識の肩の触れ合い

カフェでのふとした笑顔

これら全てが、私たちの物語の断片であり、運命のいたずらかもしれない

そんな「私とあなた」の隠された交差点について、考えてみよう

カフェでの遭遇

ある冬の午後、私たちは同じカフェで温もりを求めていたかもしれない

あなたは窓際の席で、街の喧

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【短編小説】Zuuto Summer

【短編小説】Zuuto Summer

今回のノベルは前作と入れ子構造になっています。

本作は前作「パスポート」に登場する映画監督の
ヒナタが、作中で製作した映画のストーリー
となります。

よろしければ、本作の作者であるヒナタの活躍する「パスポート」も読んでみてください。

レオとアヤメは、とある夏の国で暮らす兄妹です。この国には四季が存在せず、常に夏の気候が続いています。

アヤメはこの国の夏の陽気が好きで、
いつも元気で明るく振

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【短編小説】パスポート

【短編小説】パスポート

ヒナタは、ミズホノクニのとあるホテルで
働いていた。
朝早くから夜遅くまで、お客様のサポートに
尽力する日々を送っていたヒナタのもとに、
ある日、ミズホノクニに旅行に来ていた
ある夫婦から手紙が届いた。その手紙には、
「あなたの対応が素晴らしかった。あなたがいなければ、こんなに素晴らしい旅行にはならなかった。まるで映画の中にいるみたいな時間だった。」
と書かれていた。

ヒナタは、手紙を読んで感激

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【短編小説】ノーブルミー

【短編小説】ノーブルミー

エリオとエバンは、ノーブルミーというブランドの製品を製造している工場で働いていました。
エリオは美しい髪と優しい笑顔を持ち、エバンはタフでがっしりとした体格と燃えるように逞しくそして綺麗な目をしています。
彼らは、新しい製品の開発に取り組んでおり、その製品には、彼らが心のうちには秘めている高貴で上品な気持ちが込められていました。

しかし、エリオとエバンは、そんな素晴らしい気持ちを素直に表現するこ

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【短編小説】主役ちゃんと脇役さん

【短編小説】主役ちゃんと脇役さん

一 “土曜日の朝“

 今日は曇っていて過ごしやすそうだなあ。
夏のど真ん中。ふと涼しい朝を迎え、なんだか用もないのに外に飛び出したくなった。
 それはさながら、部屋に漂う鬱々とした何かから解放されようとでもするかのように。

 5分。10分。30分。1時間。無心で歩き続けていた。気がつくと私は、見たこともない場所にいた。
 いったいここはどこなんだろう。まあ、そんなことはどうでもいいか。なんせ今

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