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転職が当たり前の時代に、社内で人材育成することの意義

私は現在、プロフェッショナルファームの社内人材の育成に関わる部署で働いています。
その中で最近目に付くのが、研修を受けた方が数か月後には転職しているケースです。
社内で期待している人材だからこそ力を入れた研修を受けてもらうのですが、それが本人の自信に繋がり、結果として離職に繋がっていくこともままあります。

転職が当たり前になりつつある今

私も現在の会社は2社目ですし、大学時代の友達で転職を経験している方はかなり多くいる印象です。
同僚にもSNS上で繋がった方も、転職経験者はとても多いように感じます。

環境の変化が大きな時代となり、これまでメインだった終身雇用制度が崩れる兆しも見えてきました。
加えて今回のコロナ禍で働き方も大きく変わり、この流れはより一層加速していくことが予測されます。

できることが増えたり自分の成長を感じるタイミングは、外に目が向きやすいタイミングにもなります。
選択肢を増やし視座を上げた上で、「今の会社で頑張りたい」か「他の世界を見てみたい」か、選ぶのは一人ひとりの選択です。

社内研修が担う役割

社内研修が担う役割は、短期的・長期的両方の目線での人材育成です。
20代の若手でも一定数は将来の幹部を担う候補の人材として育てていくことが必要だし、ある程度のクオリティを担保するための一斉研修も必要になります。

"この会社の一員だから"当たり前に兼ね備えておいて欲しいことをしっかり浸透させることも、この先任せたい仕事を任せられる準備を整えることも、仕事で必要なことを着実に提供するという観点で大切です。

未来を築き上げる人材の育成という観点では、その意図で育成した人材のうち、実際にその仕事を担う人・それまで勤め続けている人はどうしても全員ではありません。
それでも一定数必要だからこそ育成する必要があるし、そうやって未来の大役を任せる準備をしながら、着地点を見据えて篩にかける意味合いもあるように感じています。

選ばれる場所であるために

力を入れて育てた人材は優秀だからこそ、きっと迷うことが多くあります。
もっと自分の力を発揮できる場所があるのではないかとか、もっといい環境に身をおけるのではないかとか、選べる立場にいるからこその悩みがあるのだと思います。

そんな迷いや悩みが出た時、最終的に判断するのは本人です。
そこで選ばれる場所に自社がなれているか、企業が目を向ける必要のあるポイントはきっと、ここにあるように思います。
顧客に選ばれ続ける存在であることと同じくらい、育てた人材に選ばれ続ける存在であることは、企業の価値を高めることにも繋がります。

外に出た人が活躍することも素敵なこと

とはいっても、他にやりたいことができたり外に魅力を感じる社員の歩みを応援できることも、とても大事なことです。
その時、「あそこの会社出身の人は流石だね」と言ってもらえたら、それもとっても価値があることだと思います。

"かつて一緒に働いていたあの人は今はあそこで活躍しててね"
そんな話が飛び交うことが、私はすごく素敵なことだと感じます。
かつて同僚だった誰かの活躍を誇らしく思ったり、同じ会社出身であることに嬉しさを感じたり。
そういう未来には出身会社の垣根を超えた繋がりがあって、その中でも同じ会社・同業出身だからこそ見える共通項もあることでしょう。

一企業の人材育成担当の端くれとして、今大事なことは全社員が企業風土を理解し実践していることと、未来を担う人材を育てることだと思います。
費用面と向き合わざるを得ないからこそ難しく感じることもありますが、来る未来を迎えた時、育てた人材の一部が社内にいなくてもそれはそれで価値があることだと思える組織でいられたらいいなと思います。

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