【レビュー】丸地卓也『フイルム』(角川書店)
「かりん」に入会してからほとんど間近で見てきた丸地卓也さんの作品が、ついに一冊の本になりました。一冊の歌集が出来ていく過程をほぼ生で見てきたとも言えるので、感慨もひとしおです。
改めて歌集として丸地さんの作品を読んでみると、まず思い至るのはその生真面目さ。僕はかつて、かりんの若手特集の中で丸地さんの歌を、生真面目であるがゆえに「処方箋的」であると書きました。これは丸地さんの生業である医療や福祉の分野を踏まえた比喩的な表現ですが、ここでいう「真面目」とは、物事を四角四面に考え