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探求する運命 タロットの目的を解き明かす

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タロットの起源はグノーシス主義と錬金術にあり、これらの叡智がタロットの深遠な世界を形作りました。タロットは、これらの神秘的な伝統と密接に関連しています。カードの象徴や絵画は、グノ… もっと読む
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大アルカナカードを解読するための文書資料集

大アルカナカードを解読するための文書資料集

1.グノーシス主義と新プラトン主義

キリスト教では「無からの創造」を説きますが、プラトニズムでは「素材」から世界が創造されたと考えています。キリスト教神秘主義者のヤーコブ・ベーメも「素材」の存在を念頭に置いて彼独自の神学を構築しています。神だけでなく、素材も永遠に存在しているという発想です。

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プラトンは『ティマイオス』において、デミウルゴスを「超越的な善なる創造主」と

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探求する運命 タロットの目的を解き明かす

探求する運命 タロットの目的を解き明かす

①タロットの目的タロットの世界観

プラトン全集は15巻、カント全集は22巻もあります(岩波書店)。二人の哲学者だけで37巻です。仏教の経典を集めた大蔵経は100巻(1冊1000ページ)です。古今東西の思想書と宗教書を集めたらどれだけの分量になるでしょうか?それを収めるとしたら蔵書70万巻とも言われたアレクサンドリア図書館のような巨大な図書館が必要になるでしょう。

それにひきかえてタロットカード

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⑧タロットとザ・マネーゲーム

⑧タロットとザ・マネーゲーム

「人間は神である」。これがグノーシス主義を背景に持つタロットの世界観です。タロットは愚者(わたし)が世界(神)になる物語です。

「神になる」というゴールに達するために苫米地式コーチングの技術が役に立ち、ゴールに達した後には世界のすべてを肯定するニーチェ哲学が役に立ちます。そのことは他のnoteの記事で書きました。

今回は、古今東西の宗教・思想書の中で最高の書物を紹介します。それはロバート・シャ

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⑦タロットにおけるゴール

⑦タロットにおけるゴール

リアリティとは何か?

認知科学の世界では、物理的世界だけでなく、臨場感のある世界をもリアリティとして扱っています。タロットの背景には「人間は神である」というグノーシス主義の世界観がありますが、この世界観も虚構ではなくリアルなものと見做して良いということになります。

これはタロットの世界観に限らず、全ての宗教にも言えることですし、例にもあるように映画の世界にも言えることなのです。現代科学・哲学に

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⑥タロットとニーチェと苫米地英人

⑥タロットとニーチェと苫米地英人

タロットと禅問答

タロットは「人間は神である」という神性の自覚に導く道具です。

曹洞宗では座禅のみ(只管打座)で覚りに導きますが、臨済宗では座禅に公案(禅問答)を加えて覚りに導きます。タロットは臨済宗の公案と同じ役割を果たしてくれます。タロットカード一枚一枚と真摯に向き合うことによって神性の自覚に導かれるのです。

すべてを肯定する永遠回帰

『ツァラトゥストラ』がニーチェの主著であり、永遠回

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⑤タロットの独我論と中観の境地

⑤タロットの独我論と中観の境地

グノーシス主義の独我論

タロットは「人間は神である」とするグノーシス主義を背景に持っています。この「人間即神也」という思想は、インドでは梵我一如、仏凡一体などと言われています。

神との神秘的合一は世界のあらゆる宗教で言われていることですので、宗教や神秘主義の歴史を知っている人にとっては突飛な思想ではありません。この神秘主義の究極が独我論になります。

仏教(苫米地英人)の空観・仮観

グノーシ

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④タロットと苫米地式コーチング

④タロットと苫米地式コーチング

タロットの思想

グノーシス主義を背景に持つタロット(大アルカナカード22枚)は、主人公である愚者が覚醒して神になるという物語になっています。

「人間は神である」というのがグノーシス主義を背景に持つタロットの思想です。タロット占いは本来、金運や恋愛運や仕事運などを占うためのものではなく、神性の自覚に導くのが目的なのです。

タロットのみでも神意識の自覚に到達できますが、苫米地式コーチングを組み合

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③タロットの背景にあるグノーシス主義とニーチェ哲学

③タロットの背景にあるグノーシス主義とニーチェ哲学

本来の場所とかなたの岸

グノーシス主義は霊肉二元論で、物質世界を否定し、あるべき居場所へ帰ろうとします。ニーチェは苦悩も罪も悪も全てを肯定し、この肉体、この大地、この世界を愛します。

グノーシス主義はデミウルゴスに悪の起源を背負わせているだけで、物質よりも霊、此岸よりも彼岸を愛するという思考回路はキリスト教と変わりません。そのためニーチェからしてみればキリスト教同様にグノーシス主義も絶滅させる

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②タロットとニーチェと禅

②タロットとニーチェと禅

ニーチェとタロット

タロット(大アルカナ22枚)は主人公である愚者が世界(神)へと覚醒する物語です。この物語は三部構成になっています。

第一部 No 1〜10の魔術師から運命の輪
第二部 No11〜16の力から塔
第三部 No17〜21の星から世界

この構成は、ニーチェの『ツァラトゥストラ』に出てくる三様の変化と対応しています。

第一部にあたるのが駱駝
第二部にあたるのが獅子
第三部にあた

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①タロットの目的

①タロットの目的

プラトン全集は15巻、カント全集は22巻もあります(岩波書店)。二人の哲学者だけで37巻です。仏教の経典を集めた大蔵経は100巻(1冊1000ページ)です。古今東西の思想書と宗教書を集めたらどれだけの分量になるでしょうか?それを収めるとしたら蔵書70万巻とも言われたアレクサンドリア図書館のような巨大な図書館が必要になるでしょう。

それにひきかえてタロットカード(大アルカナカード)はたったの22枚

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