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Underdog

Underdog

アメリカ人は「underdog」ものが好きだ。

Underdogとは、「立場の弱い人、(いま現在)負けている人」。

小学館「ランダムハウス大辞典」は、underdogをこう定義している。

1 (ゲーム・試合などで)勝てそうもない人,勝ち目の薄い人;(争いなどの)敗者
2 ((通例 the underdog)) 社会的[政治的]不正の犠牲者;(生存競争の)敗残者,(人生の)負け犬.
3 弱い

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「コミュニティ」

「コミュニティ」

「Community」を「コミュニティ」と訳すべきなのか「地域社会」はたまた「地域」「地方」とすべきなのか、悩むことが多い。

『小学館 ランダムハウス英和大辞典』は

community (n)
(1)(しばしば文化的・歴史的遺産を共有する)地域共同体[社会],生活共同体;市町村(などの自治体),コミュニティー(の人々),むら(群,村)
(2)((1)のような共同体のある)地域,地方,土地

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「ナイーブ」と「魯鈍」

「ナイーブ」と「魯鈍」

「ナイーブ」というカタカナ語ほど、もとの英語の意味から大きくかけ離れた言葉もあまりないかもしれない。

作家の辺見庸さんは、『水の透視画法』というエッセイ集のなかで、こう書いている。

プラハ演説でどきりとさせられたのは、核なき世界への努力についてオバマ氏がにわかに厳しい顔になって述べたI’m not naive(私はナイーブではない)というしごく簡明なせりふだ。日本語の「ナイーブ」は「繊細」とか

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デザインランゲージって何だ

デザインランゲージって何だ

靴のデザインを仕事にしているうちの息子と話をしていると、頻繁に「デザインランゲージが…」という言葉がでてくる。

靴のデザインの世界でいえば、たとえば、つま先の形とか、カラーや素材の組み合わせ、ステッチの幅、といったディテールを指し、それらが合わさってかもし出される独自のスタイルがブランドや特定のラインの製品の個性になる、ということらしい。

テスラとかAppleとかMUJIとか。デザイン性を重視

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HENTAI日本の吉原文化

HENTAI日本の吉原文化

『鬼滅の刃』アニメ第2弾で遊郭が舞台になることが議論のまとになっているのをTwitterでちらっと見た。「子どもにどう説明したらよいのか」を含め、遊郭の表現について議論されるのはとてもよいことだと思う。

そして、日本人はもっと、日本の性産業と性描写の文化の特殊性に、つまり日本文化がどれだけ「ヘンタイ」なのかについて、もっと目をひらくべきだと思う。その良し悪しを議論するのではなく、その前にとりあえ

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くだんの話

くだんの話

「顔が人で身体がウシの動物の夢をみた」

と、朝、息子が言った。

うちではよく夢の話をする。うちの息子(25歳)はたいへん良く眠る。幼稚園児かと思うくらいよく眠る。さっきまでデスクに向かって仕事をしていたかと思うと床に突っ伏して寝ていることもある。そしてよく変な夢を見る。

人の顔をした牛は、内田百閒の短編にでてくる。「件(くだん)」という名で、生まれて三日目に予言をして死ぬという運命の動物であ

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ツナはマグロじゃない(こともある)

ツナはマグロじゃない(こともある)

ときどき、「健康な食生活のためのヒント」といったような資料を翻訳させていただく機会がある。

米国や英国の栄養コンサルタントなどのプロフェッショナルの方が書いた原稿で、こんな食材がおすすめ、というなかに、「Salmon やTuna」があった。

これを「鮭やツナ」と翻訳したら、編集の方から「マグロにしては?」というご提案をいただいた。

でもこの場合、TUNA>マグロという置き換えは正しくない。理

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