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君には君のいいとこがたくさんあるよ

最近、トレーニングの絡みで高校生や大学生と仲が良い。
34歳のおっさんとも分け隔てなく話してくれて、ありがたい限りだ。

で、この間いつも行くトレーニング施設にイケメンと可愛い女の子を含んだ大学生グループが来てまして。
それを見た4月から大学生になるトレーニング仲間が、何やら目を細めていたんですよ。

『何見てんだよ。あの可愛い子?』

そう僕が聞くと。

『いや、イケメンがいるなーと思って』

彼は、羨望を噛み殺したような顔でそう呟いた。
確かに顔立ちが整ったイケメンだし、話している感じ性格も良さそうで、ついでに動きを見る感じ運動能力も高そうだった。

『確かに。カッコ良い顔してるね。
 運動のポテンシャルも高そう』

『いいなー。ありゃモテるよな。
 俺なんか何も勝てないっすよ』

『…そんなことなくない?』

嫌味とか気遣いではなく、僕は本当にそう思った。

『高校でもフラれてばっかりでしたし。
 一生彼女できる気しないっす』

どうやら、今日はネガティブモードみたいだ。
仕方ないから、励ましてやることにした。

『高校生で何回もフラれてるなんてすげえじゃん。
 俺、昔そんな行動力なかったよ』

『いやでも、結果出てないっすから』

『いいのよ、結果なんていつか出れば。
 それに、結果は出てるじゃん。
 フラれたっていう』

『ダメじゃないですか』

『いやいや、結果が出てるってことが一番大事だから。
 俺、高校の時好きな子いたけど告白できなくて悔い残ったよ。
 それより、ちゃんと気持ち伝える方が数段偉いし、カッコ良いじゃん』

本当にそう思う。
僕の気持ちは、2008年の春に置きっぱなしだ。
そうなるより、気持ちをぶつけて弾けさせる方が絶対に良い。

『それに、俺からしたら君にはいいとこが死ぬほどあるぞ』

『マジっすか』

『マジマジ。
 俺みたいに15も年上の人に物怖じなく喋れるところでしょ。
 最近部活引退してオシャレになったでしょ。
 コツコツ努力できるところでしょ。
 あと、話が面白い。
 何でもうまくいくイケメンなんて大体つまんねーよ。失敗談とかないんだから。
 あとはね…』

『すみません、ありがとうございます。
 もう大丈夫です』

あ、そう?
まだ10個ぐらいは余裕で出せそうだったけど。

『ありがとうございます。
 なんか、何とかなる気がしてきました』

そりゃそうだ。
経験上、何とかならないことなんてあんまりない。

頑張れ、若者よ。
君には良いところが死ぬ程たくさんあるぞ。
それに、女の子は意外と中身を見てる。
見た目がカッコ良い人がいたって、卑屈になることなんてない。

自分の悪いところじゃなくて、良いところを数えて生きていこうぜ。
そう考えながら、僕は自分にも言い聞かせた。

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