心意気は買うけど、ハマり切れない。映画「#マンホール」感想
観よう観ようと思っていて、結局観れてなかったんですが。
Netflixで配信が始まっていたので、ようやく視聴できました。
現代日本で密室ワンシチュエーションものに挑戦した意欲作
本作は、ストーリーの97%ぐらいがマンホールの中で展開されます。
斬新に思えますが、似た作品は結構前からあったりもしますね。
電話ボックスから出れなくなっちゃう「フォーン・ブース」(2003)とか。
起きたら狭い箱の中にいて、なんとか脱出を試みる「リミット」(2010)なんかは、本作に非常に近いプロットですね。
上記2作と大きく異なるのは、SNSが使用できること。
主人公である川村(中島裕翔)は、SNSを利用して穴からの脱出を試みます。
ストーリーは全体的に中々見応えがあって。
令和の日本を舞台にした密室ワンシチュエーションものとして、ある一定の完成度までは至っているなと感じました。
中島裕翔の芸達者ぶりに感服
グループの中では所謂『俳優枠』っぽい中島裕翔くんですが、本作でもかなり良い演技をしています。
登場人物は実質一人のようなものだし、彼の演技がこの作品の完成度をそのまま決定づけるんですよね。
リアリティのある演技に寄せすぎるとエンタメ性に欠けるし、オーバーアクト過ぎると白ける。
塩梅が難しい作品ですし、かなりプレッシャーも大きかったはずです。
しかしながら、彼は見事に主演としての役割を果たしていました。
主人公の川村にはある秘密があるんですが、それが絶妙に見え隠れする演技というか。
ほんとバランス取るのが上手いなぁ、という。
まだまだ俳優としての伸び代があることを感じさせてくれる存在感でした。
惜しむべきはストーリーの詰めの甘さ
演出や演技が良いだけに、ストーリーの詰めの甘さがどうしても気になってしまいました。
主人公が穴の中で取る行動とか細かい部分は結構整合性取れてるんですけど、それ以前に主軸のミステリー部分がガバガバ過ぎますね。
ネタバレになってしまう部分もありますが犯人がどうやって結婚祝いのパーティーに潜入したのかも明かされないし、そもそも行動が意味不明なんですよね。
こんな復讐方法取らなくても、いくらでもやりようあっただろっていう。
なので、ネタバラシに当たる後半部分で頭の中の「?」が収まらず。
結局、テンションに乗り切れないまま終わってしまった感じがします。
ワンシチュものは作品の特性上ストーリーに整合性が取れているか、矛盾に目をつむれるぐらいの圧倒的なスピード感がないと成立しないんですよね。
この作品には緻密な整合性も、矛盾をかき消すほどのスピード感もなかったかなと思います。
というわけで、見所は要所にあるものの詰めの甘さが目立つ「#マンホール」。
気になる方は配信でぜひご覧になってみてください。
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