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或る若者の思索

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私が日常生活の中で感じた何気ないことを、日記よりちょっとだけ推敲して書いてます。
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#ノスタルジー

神崎川にて

神崎川にて

 下水処理場の横を通ると、なめらかで不快なにおいが鼻をついた。最近、鼻の調子が悪いと思っていたのだが…。無機質な機械がフェンスの向こうで静かに騒ぎ立てている。後ろから不規則に差す光を警戒しつつ、川へと歩いた。涼しい風がなめらかに吹いている。

 友人と2軒ほど、天満で飲んできたが、どうも少しエンジンがかかりきらなかった。空ぶかしした夜の行く末は、半額のお惣菜と安いチューハイ2本に託された。空が灰色

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忘れた

忘れた

 自転車の鍵を忘れたことで、バスに乗ることになり、なんやかんやでマクドのひとつ110円のケチャップの味しかしないハンバーガーを食べた。風が吹けばファストフード店が儲かるのだ。
 鍵の他に今日はイヤホンも忘れた。突発的な意識の逃げ場が作れない事で、今日は余計な思索に縛り付けられてしまい、せっかくのエッセイの中身も筒抜けだ。

 急停止と急発進と小刻みな加速を繰り返す市営バスに揺られているうちに、体の

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煙草が吸えない私の純喫茶についての陳腐かつ軽薄な私見

煙草が吸えない私の純喫茶についての陳腐かつ軽薄な私見

 カフェ巡りを堂々と趣味に掲げる男をむやみに信じてはいけない。それはマッチングアプリでいうところのいわゆる"地雷"である。つまらない男の『3C』という言葉があるように、カフェ、カレー、カメラ、この3つのCを趣味に掲げる男は信用してはいけない。ソイツらと運悪くマッチングしたのならば、即座に流行りのカフェのテラス席に連れていかれ、ネットニュースの3倍焼き増しのような与太話を嬉々として垂れ流した後、不可

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心地良い孤独

心地良い孤独

 前職のときに1年間、"ド"が2個つくような田舎に住まわされていたので、その反動からか、都会への執着心がより強くなった。それは単に便利だからとか、飲食店が多いからとか、そういう風俗的な理由ではなくて、もっと私自身の根底にある心の弱さからくる、ある種の本質的な依存性と自律性によるものだと思う。依存と自律、一見これは相反するように見えて、実は表裏一体の存在であり、そしてそのどちらもが私の根幹を構成する

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クソデカ体積の水を見に

クソデカ体積の水を見に

 書店にてスズキナオさんのエッセイの冒頭だけを少し立ち読みした。確か「遅く起きた日曜日に、膨大な体積の水を見に〜」みたいなことが書いてあったと思う。気になる出だしだったから今度買ってちゃんと読んでみよう。
 膨大な体積の水、というと一般的にそれは池であったり湖であったりダムであったり水の溜まっている場所を指し、それの最たるものはご存知の「海」ということになる。膨大な体積の水、という呼称は少し長いの

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誰もいない博物館の2階の映像展示で流れているBGM

誰もいない博物館の2階の映像展示で流れているBGM

 ときどき、ふと思い出す光景がある。
 市街地から少し離れたところ、住宅街が近くに迫って来ているような閑静な場所。そういうところにある、あまり人の気配のない博物館、あるいは謎の偉人の記念館。

 昼間だと言うのに薄暗い館内、受付口の小さなアクリルの向こうに生気のない人がいて、NPCのように来客対応をこなす。日付の捺印された入場券と、無駄に枚数の多いパンフレットを受け取る。

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 なんてことない

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