クリエイター向け頭の体操★『おにあいリスペクト祭り』、開催!|「お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ」
ラノベのタイトルは偉大である!
三葉「ラノベのタイトルって興味深いですよねぇ」
清水「何ですか、突然?」
三葉「いえね、じつに個性的で素晴らしいな、と思いまして」
清水「ふむ」
三葉「『あまりに説明的だ』とか、酷い場合には『頭が悪そう』なんてご意見もあるようですが……うん、確かにそうかも」
清水「認めるんだ……」
三葉「認めますがね、でも別にそれでよいじゃないですか。頭の悪さで言ったらハリウッド映画だって相当キテますよ。同様に、我が国の文豪。彼らの小説のタイトルだって、ねぇ。例えば……」
清水「いやいや、例をあげるのは止めましょう。いろいろ差し障りがあるので……」
三葉「ふむ。まぁ何にしても、私たちは賢いかどうかで競っているわけではありません。重要なのは面白いかどうか。それだけ」
清水「ふむ、確かに」
三葉「そう考えると、ラノベのタイトルってユニークで見事だよなぁ、と思うのです」
清水「『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』とか」
三葉「そうそう!」
清水「『だから僕は、Hができない。』、『俺の脳内選択肢が、学園ラブコメを全力で邪魔している』あたりも目を惹きますよね」
三葉「愉快なタイトルですよねぇ」
清水「ふむ」
三葉「でね」
清水「ええ」
三葉「数々の名タイトルの中でもとりわけ秀逸!じつに絶妙!22世紀に遺したいラノベタイトル1位に輝くのが……コレだと思うんですよ!」
清水「鈴木大輔氏の作品ですね。本年1月に12巻が発売され、完結しました。また、2012年にはアニメ化されています」
三葉「私、初見時には我が目を疑いましたよ」
清水「インパクト大ですからね」
三葉「まさに神タイトル!」
清水「ほぉ」
三葉「何しろ『お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ』ですよ!『お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ』って……いや、ダメだろ!」
清水「ふむ」
三葉「なんてね、思わずツッコミたくなる」
清水「確かに」
三葉「で、これは極めて重要なことだと思うんですよ」
清水「ほぉ」
三葉「時はSNS時代。衆目を集めるには、『タイトルを見聞きした人が、思わずSNSに投稿したくなるようなネーミング』が重要です」
清水「なるほど。それによって、多くの人の目に触れ、ヒットが期待できますもんね」
三葉「その点、『お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ』は秀逸ですよ!誰もが『んなわけあるかいっ!』とツイートしたくなるタイトル……言わば『ツイートされやすさ』=『Twitterbility』(ツイッタビリティ。造語)とでもいうべき点でずば抜けている。いやぁ、すごい!」
清水「なるほど」
三葉「というわけで……いざ、『おにあいリスペクト祭り』!」
『おにあいリスペクト祭り』、開催!
清水「一体何事です?」
三葉「『おにあい』というのは『お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ』の略称ですね」
※注:「おにいちゃんだけど」の「おに」と、「あいさえあれば」の「あい」で、「おにあい」です。「あいおに」と言い間違いやすいから要注意だよ★
清水「ふむ」
三葉「『おにあい』に敬意を表しつつ……『○○だけど□□さえあれば関係ないよねっ』式のタイトルをアレコレ考えていきたいな、と」
清水「ふむふむ。『○○』や『□□』には一見ギョッとするような単語が入るわけですね。倫理的に問題があるテーマというか、世間一般では受け入れられづらい価値観というか」
三葉「その通り!」
清水「そして、前述の『ツイートされやすさ』が重要、と」
三葉「そうそう!」
清水「なるほど」
三葉「早速始めましょう」
清水「この記事をご覧になっているあなた……そう、あなた!」
三葉「ええ」
清水「あなたもぜひアレコレ妄想してみてくださいね」
三葉「そうですね。話題性のあるタイトルをひねり出したり、タイトルからストーリーを妄想したり……クリエイターの方にとっては、発想力を鍛えるトレーニング、いわば『頭の体操』になるかもしれません」
案1
清水「まずはシンプルに、『お兄ちゃん』を『お父さん』に替えてみました」
三葉「ほぉ、ファザコンものですね」
清水「『お兄ちゃん』と比べて『粘着質』感が出たというか……うん。端的に言ってヤバさが上昇したのではないでしょうか」
案2
三葉「私は『お兄ちゃん』を『娘』に置き換えてみました」
清水「ほぉ」
三葉「主人公は娘ではなくてお父さん」
清水「なるほど」
三葉「文末に小さな『っ』を付けて『よねっ』とか言っている時点でこのお父さん……ヤバそうでしょ?」
清水「うーむ……ラノベというより、中年男性の悲哀を描いた官能小説っぽい気がしますね……」
三葉「あー、確かに。以前、『女子高校生誘拐飼育事件』という実話ベースの小説を読んだことがあります」
三葉「『娘だけど』にすることで、なんとなくあの小説に近い内容になりそうに感じました」
案3
三葉「続いて、DV(ドメスティック・バイオレンス)ものにしてみました」
清水「『殴るけど』って……このストレートさが怖いですね……」
三葉「中身はドロッドロの共依存ものかな?」
清水「うーむ……なかなかどうして斬新なラノベが生まれそうですね」
案4
清水「続いては私のアイデア。時流に乗ってみました」
三葉「なるほど!昨今世間を騒がせているバイトテロか……上手い!やはりトレンド感のある作品は注目されやすいですからね」
清水「ふむ」
三葉「タイミング次第では、ワイドショーあたりでも取り上げられそうですよね。司会者の○○氏とか、コメンテーターの××氏がズタボロに酷評して、ネットで大炎上……そしてスマッシュヒットへ!……みたいな」
清水「炎上狙いかぁ……うーむ……」
案5
三葉「清水さんを見習って、私も時流に乗ってみました。テーマは……パパ活!」
清水「あー、援助交際ですね」
三葉「そう、援助交際。もっと言えば単なる売春ですが……ここにきて再び注目を集めていますよね。その流れに乗ってやろうという次第です」
清水「ふーむ」
三葉「で、これと同コンセプトのアイデアをもう1つ……」
案6
三葉「コチラ!一段とどぎついタイトルに仕上げてみました」
清水「ふーむ」
三葉「……しかしアレですね」
清水「どれです?」
三葉「時流に乗ることばかり考えていると、さもしくなっていくというか……」
清水「あー、確かにちょっと狙いすぎかも」
三葉「ええ。我ながら浅ましい気がしてきた……」
案7
清水「では気を取り直して」
三葉「はい……」
清水「こんなのはいかがでしょう?」
三葉「ほぉ……『転生しない』ですか」
清水「ええ、いわゆる『異世界転生もの』……と見せかけて『転生しない』」
三葉「コレ、一体どういうストーリーです?」
清水「そうですねぇ……一般的には主人公が異世界へ転生し、そこでヒロインと出会ってラブロマンスが始まるわけですが」
三葉「ふむ」
清水「本作の主人公は異世界に行かない。つまり、主人公とヒロインが別々の世界にいながら愛を育むという、遠距離……でなくて『遠世界恋愛もの』ですね」
三葉「うーむ……新しいかも!愛を囁くだけでも一苦労ですね」
清水「テレパシーを使うのかな?」
三葉「愛は世界を超える、と」
案8
三葉「では、『タイムスリップもの』はいかがでしょう?」
清水「ほぉ!」
清水「ご先祖様との恋愛ですか」
三葉「そうそう。『おにあい』にしろ、『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』にしろ、近親愛を描いた作品は少なくありません」
※【補足】近親愛:近親者同士の恋愛のこと。類語に「近親相姦」があるが、「近親愛」は必ずしも性関係を伴わない(逆に言えば、「近親相姦」は「近親者同士の性関係」の意味。つまり、愛がなくても成立し得る)。
三葉「対して、本作が描くのは『ご先祖様と子孫』の恋愛」
清水「ふむ」
三葉「『先祖と子孫によるラブストーリー』は過去に例がないわけではありませんが、近親愛ものと比べると圧倒的に少ない。その意味で狙い目だと思いまして」
案9
清水「シリアルキラーにしてみました。いかがです?」
三葉「『オレ、シリアルキラーだよ。愛してるからきみの部屋に行ってよい?……きみ、死ぬけど』みたいな感じですかね」
清水「うーむ……単なるシリアルキラーではなく、ついでに人肉を食べそうなキャラですね……」
案10
三葉「では、ゾンビにしてみてはいかがでしょう?」
清水「ゾンビかぁ……愛があっても厳しそうな……」
三葉「ほら、障害のハードルが高いほど愛は燃え上がるって言うじゃないですか」
清水「いや、高すぎるでしょ……」
案11
三葉「シンプルに『オレだけど』というのはいかがでしょう?」
清水「『オレだけど』……って、あんたは一体誰なんだって感じですね」
三葉「そうそう。その『ツッコミたくなる感じ』が重要だと思いまして」
清水「なるほど」
三葉「『オレ』ってのが一体誰なのかわからないけれど……妙に圧迫感のあるタイトルですよね」
清水「このにじみ出るサイコパス感ね。コレ、たぶんシリアルキラーよりヤバい人ですよ」
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(分析:清水、三葉 / 文、イラスト:三葉)
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