記事一覧
バナナの森の偽ナウシカ(パティ・スミス) 川柳80句
時頼の時間に虹のきえがたし
清盛の前頭葉に無垢の牛
義経がまぐわうときのウラニウム
高崎のよってたかって牛車焼く
ウラシマの午前に氷菓とけざりし
菓子くだき贋のゴースト・バスターズ
チャンピオン鷹の納骨するはやさ
霧隠才蔵によるバナナラマ
馬の目に世界をなしている馬肉
パンクスが馬糞かぞえているあした
圓楽とそのほかがある宇宙の図
びんせんのどこに書いてもかぶとがに
バナナ
THE BIBLE(世界観の終わり) 川柳101句
Ⅰ.エリ・エリ・レマ・サバクタニ 二十四句
カレー煮る時の底よりあみだくじ
しゃぼんだま今はちきれるサバクタニ
わが神の死後にドリームキャスト頌
陽のもとに村上龍の点字ふれ
面堂の黒点日記とぎれたり
双羽黒無数にたてり夢まくら
天と地と山梨県の雅楽学
白昼に山村美紗の蟹うばう
キャラクターソングのなかの維摩経
ジャズメンを春日野部屋に収容し
鎖もつレスラーがみたはずの巴里
旅の仲間(パブリック・エナミー) 川柳108句
Ⅰ.非常生活の冒険 七〇句
センス・オブ・ワンダーによるすだこ丼
豚足を声のかぎりに主語として
その視野も仁鶴の蝶がさえぎって
ミカエルが鶏皮をはぎはじめる日
旅にあるまろが鮎川哲也駅
佐賀県を誤認したままいんこ抱く
台地ゆれ阿佐田哲也の豆挽き機
鬼才らをベン・ジョンソンの部屋によぶ
真と偽と泥レスリングつづくなか
寺を焼く軍人くんの私小説
空海にいたるガラスの爬虫館
ターニング・ポイント(ゼロの焦点) 川柳111句
前書き 九州旅行。松本空港まで高速を走らせ、久しぶりの航空機。冷や汗かく。福岡市にて妻の日焼け止めさがす。天神の屋台にて焼きラーメンと豚足。一泊して、現在博多駅近くのスタバにてこれを記す。句はこの前書きと関係なく存在する。
ハイウェイ・スター軟骨はずされて
砂利を売る馬頭観音ふやすため
われ生きて巨大苺に巨大影
無のまえにベビースターをかんがえる
都々逸のひかりと影のパン焼ける
ミクシ
アイアン・クロー(父の掌) 川柳108句
Ⅰ.白鳥の演歌 二十四句
B作をえいえんに撲つギムナジウム
白鳥をNHKが煮て世界
ただの苦をミネソタ州とかえてゆく
天人がかぼす潰している校歌
白痴美のしょう油壜よりしょう油洩れ
老ゆる苦をベスト電機に貼りあわせ
後漢書をわすれつつある老ゆる楽
狂人の毬藻のほかになにもなし
もやしから関所破りのひげ根抜く
周作が或るモノリスと章魚をみる
苦の世界揚がるフレンチクルーラー
ルーズヴェルト・ゲーム(猿丸の裔) 川柳121句
ピジン語の書が燃えてゆく三鬼の忌
でぶ専の時計をもどす四月馬鹿
旧版のサラダ事典にしまおまほ
虻をとる二人羽織の志村けん
脳の名としてかんがえるフエキ糊
擬人してひとりで歩く猿の脳
魚飛ぶあとに新宿写真集
詐病者へ川井憲次のクロッカス
糞漫画地上に地上かさねられ
バランスが崩れるばかり牡蠣を買う
吉四六を喰人族の村に入れ
惑星とバニーガールを春と書く
刑事らが建築学の夏を待