教養の消滅、資本主義による「有用性」だけに着目すると教養が死ぬ

イブリースさん、東大卒の人生を考える会さんのブログを読んで、色々と考えさせられた。

東大文系というのは、日本で一番教養のある人々だと思う。世界史や日本史、地理を論述できるだけの深い知識と思考力、古文漢文の知識、どれをとってもピカイチだ。

ところが、就職活動が、人生最大の障壁として彼ら彼女らを待ちかまえるのだ。

一橋大学は、経済や経営学に特化した人が多く、まさに実学の申し子だ。教養では東大文系に負けても、実学では東大文系を上回る場合がある。慶應経済や慶應法は、三田会のコネクションを使うし、さらに帰国子女が多い(慶應文系は英語の配点が高いし、経済学部はPEARL入試で帰国子女を入学させる)。東大文系は教養では日本で最強なのに、場合によっては一橋大学や慶應上位学部に負けてしまうことがあるのだ。

これは、前から私が説明してきた、合成の誤謬だ。個々の企業にとっては、即戦力の人を採用することで経営が良くなる。だが、マクロでみると、「日本史や古文漢文なんて、お金にならない。就職にも出世にも役に立たない。英語とITを勉強するのが最強じゃん?」と若者たちが考えるようになり、日本の教養は衰退する。

東大は、5年間の学士・修士一貫教育の「カレッジ・オブ・デザイン」を新設する。定員の半分は外国からの留学生だ。もう半分は日本人枠だが、どう考えても帰国子女と留学経験者が有利だろう。なぜならば、英語でしか授業を受けられないので、普通の日本人が合格できるとは思えないのだ。

東大がやれば、京大や一橋大学、東工大、早稲田、慶應も追随する可能性がある。

日本の教養は終わったな。資本主義と有用性だけに着目する日本企業のせいで、日本の教養は死滅する。

もっと言えば、お金持ちしか東大に合格できなくなる。今でもそうだが、本当の富裕層は、子供を留学させたり、海外の高校に行かせる。カレッジ・オブデザインは海外からの留学生と富裕層の子女だけでいっぱいになり、庶民など入学できないだろう。こうして、日本の階級社会は完成する。

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