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雑文

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主に読書感想文を載せています。ネタバレしない内容を心がけてますが、気にする人は避けてください。批評ではなく、感想文です。
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2017年11月の記事一覧

チャック・パラニューク 『インヴィジブル・モンスター』

★☆☆☆☆

 1999年に発刊。翻訳版は2003年にハヤカワから出ています。訳者はお馴染み池田真紀子。
 順番としては『サバイバー』の後に出版されていますが、実際は『ファイト・クラブ』よりも前に書かれたそうです。お蔵入りになっていたデビュー作ということみたいです。
 どうしてお蔵入りになっていたのかというと、出版社に持ちこんだところ、〝理解不能〟とリジェクトされたからだそうです……。

〝意味不

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【映画】ティム・バートン 『ミス・ペレグリンと奇妙な子どもたち』

★★☆☆☆

 約1年ぶりに映画を観たので、せっかくだから感想を書いておきたいと思います(『ファイト・クラブ』前に観ました)。

 僕は本当に映画を観ないんです。だいたい1年に1本くらいしか観ません。それも映画館で観る/家で観るを問わず1本です。
 この話をすると、たいてい驚かれます。僕はふつうに生きてるだけなのですけども。
 そんなわけで、本作ももちろん今年初めて観た映画です。もう11月なのに…

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チャック・パラニューク 『サバイバー』

★★★☆☆

『ファイト・クラブ』のあと、1999年に出版された本作。翻訳版は2001年出版。訳者は同じく池田真紀子。
 チャック・パラニュークの小説は2005年の『ララバイ』以降は翻訳出版されていません。売れ行きが芳しくなかったのでしょうか?
 2015年に『ファイト・クラブ2』というコミック版がアメリカで出ているところをみると、行き詰まってるのかもしれません。出世作の続編に手を出すのは、最後の

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デヴィッド・フィンチャー 映画『ファイト・クラブ』

★★★★★

 ふだんまったく映画を観ないのですが、DVDをレンタルして鑑賞しました。いやはや、ブラッド・ピットのかっこいいこと!

 小説をきちんと踏襲して作られているだけでなく、卓抜な演出、映像化するための再構成、結末の変更など出色の出来です。
 15年以上前の映画ですが、エドワード・ノートンの着ているスーツの野暮ったさとパソコンの古さ以外に気になるところはありませんでした。

 小説には小説

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チャック・パラニューク 『ファイト・クラブ』

★★★★☆

 1996年に出版、1999年に映画化された小説の新版です。2015年にハヤカワ文庫から出ました。訳者は池田真紀子。アーヴィン・ウェルシュの『トレイン・スポッティング』などを訳されています。

 ブラッド・ピットとエドワード・ノートン主演の映画の方で記憶してる人がほとんどだと思います。あのビジュアルは最高にかっこよかったですから。特にブラッド・ピットが演じたタイラー・ダーデンはいまだ

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橘玲 『「リベラル」がうさんくさいのには理由がある』

★★★★☆

『週刊プレイボーイ』誌に掲載されたコラムをまとめた1冊です。2016年に出版されました。
 時系列ではなく内容によって章分けされているので、一つひとつのコラムは短いけれども、読み応えがあります。
 特に最初の沖縄での集団自決事件を扱った章は、現在の政治的状況をふまえると、非常に考えさせられます。僕はほとんど知らずに読んだのですが、その泥沼っぷりに中てられてしまいましたね。

 事実は

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