三谷 晶子
「雪の降らない場所に行きたい」 そう願って奄美群島・沖永良部島に三ヶ月のリゾートバイトに来た奈都。 美しい海、気の置けない仲間、新たに始まる恋。 けれど、奈都には、ひとつ、忘れられない思い出があった。 自分の夢を叶えることは誰かを傷つけるの? 綺麗な海があって、友達がいて、ほかに何が必要? けれど、このまま、悔んでいることに蓋をしたままで本当にいいの? せめぎ合う心、忘れたい傷、諦めきれない夢、逃げたい過去と見えない未来。 それらを抱えながら眺めても、いつだって、この島の海と空は突き抜けるように青い。 「花と鍾乳洞の島」沖永良部島で繰り広げられる、人生で一度きりの真夏の青春ストーリー。
わたしの二作目の長編小説『腹黒い11人の女』のスピンアウトコラムです。以前、連載していたWebマガジンがなくなったので、noteに再掲載しました。主人公・ちえりの独り言、ちえりの周りの女性たち11人、閑話休題してもう一度、ちえりの独り言、ちえりの周りの男性たち10人、そして、書籍に入れることができなかった短編小説『二人、いつか稲穂が輝く場所で』を掲載しています。
2作目の出版になる予定だった、不登校の中学生とシングルマザーの話です。
2008年に出版した小説、『ろくでなし6TEEN』無料公開です。
「若い女じゃなくなったら、どうすればいいんだろうね」 結局、私も、 「私はこんな口だけの人間じゃない」と思いながらも、何もしていなかった。 現実に疲れ、夢に立ち向かう勇気を失った女の子が身を寄せる〝キャバクラ〟という名のモラトリアム。 『生きる事の辛さと喜び、人間の恐ろしさと暖かさ、深い孤独を救ってくれる夢と希望……いろんな時間が重なって、決して無駄な時間なんてないと強く感じさせてくれます』内田剛(三省堂書店) 『これは「キャラクターを演じる」という防御システムと闘い続ける女性たち(あなた)の物語だ』岡本貴也(脚本家) 『お金や夢のために男に微笑み、したたかに生きつつも「愛し、愛されたい」と願い、あがく彼女たちは女の目から見ても相当、アホだ。しかし、同時に愛しいと思う。(この気持ち、男にはわかるまい!)』フクシマナミコ(フリー編集者) 2012年に出版した長編小説の再掲載です。
物語は、いつだって突然に始まる。 とりわけ、長い友人に「もう三谷の人生には何が起きても驚…
25 それから私と美優は昨日のお礼がてらクアージに行き、拓巳を呼び出してまた飲んだ。悠…
🔶 画家 アマラ和さんに2018年の誕生日から三ヶ月にわたり、オーダーで描いてもらったわたし…
2002年の夏だった。 わたしが奄美群島・沖永良部島に初めて降り立ったのは。 当時のわたしは…
28 島を出て一週間。東京に戻った私は人の多さと空の灰色の重苦しさにいまだに慣れないでい…
27 最後の日くらい、このアパートにいよう。そう言い合って私達は残っていた焼酎を飲み干…
26 別れ際、アパートの前。バイバイ、と手を振ると、龍之介は窓を開け、手を伸ばしてきた…
24 部屋に戻って少し寝てから起き出し、私達は荷物をまとめ始めた。ダンボール二箱分の衣…
23 あっという間に一週間が過ぎ、私が島を立つ日はもう七日後に迫っていた。龍之介から、…
22 翌日。店の営業終了の十分前に、龍之介からの電話があった。もう知名にいるそうだ。私…
21 アパートのドアをそっと閉めて、私は和泊の町へと歩き出した。タクシーはこの朝方に走…
20 目覚めると美優は既に起きていた。買出しに行ってきたようで台所に野菜が積みあがって…
19 急いで出勤の準備をして、私は店へと出た。美優はもうオーナーに店へは出ないと伝えて…
18 雪が綺麗だと思った事など一度もなかった。自分が汚れたものだと思い知らせるようなあ…
17 時刻は午後三時を迎えていた。風呂にも入っていなければ全く化粧もせず、食事もしてい…
16 夜も八時を過ぎた頃、店の電話が鳴った。サリさんが電話を取るとそれは美優からで、今…