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ルクセンブルクは、世界地図のどの辺り?

そんなわけで、かれこれ10年以上前に、我が家はホストファミリーデビューをすることになった。 

“そんなわけ”は、こちらから ↓↓↓ どうぞ。

国際交流団体に、家族全員のプロフィールを提出。団体が、ホームステイを希望している学生たちのプロフィールと照らし合わせ、ホストファミリーとのマッチングをする。

「ルクセンブルクの男子学生を、10日間受け入れてもらえますか。日本のことが大好きな学生さんです。」との連絡を受けたのは、書類提出から1ヶ月が経ったころ。「はい、よろしくお願いします!」と、平静を装って答えたものの、自分でも意外なほどドキドキしていたのを覚えている。

る、ルクセンブルク?!

国名を聞けば何となく雰囲気が分かるような国からの留学生を想像していたので、ルクセンブルクとは意外だった。しかも、日本のことが大好きらしい・・・ルクセンブルクに、日本を大好きな人がいるんや・・・それに比べて、“ルクセンブルクはヨーロッパのどこかにある”という薄っぺらい知識しか持ち合わせていない、ひどく無知なワタシ。これはアカン。

ダンナさんに、ルクセンブルクの男子学生が10日間ステイすることになったと知らせると、「ルクセンブルクって、ヨーロッパのどこら辺やった?」と、似たり寄ったりの反応。これはますますアカン。

子供たちに知らせる前に、まずはルクセンブルクのことを調べねば。子供たちに説明のしようがない。2人でおおまかな情報を入手した後、子供たちを呼んだ。

「来月の10日間、ルクセンブルクっていう国から、お兄ちゃんがお泊まりに来ることになったで」

「そうなん?ルクセンブルクってどこにあるん?どんなところなん?」と、一番上の子。

真ん中の子は地球儀を持ってきて、まだ字も読めないのに、ルクセンブルクを探し始める。

末っ子は訳も分からず、よだれにまみれた手のひらで、地球儀をペタペタと触っている。

ルクセンブルクは、フランス・ベルギー・ドイツに囲まれた小さな国。

「日本より、めっちゃ小っさいなー」と言う一番上の子に、

「神奈川県と同じくらいの大きさやで」と答えると、

「そんな小さい国があるんやー」と真ん中の子。

人口は50万人ほど。その古い街並みと要塞群は、世界遺産として登録されている。城と森と河に囲まれている美しい街並みの写真を見せると、

「おとぎ話にでてくるお城みたいやなぁ」と真ん中の子。

国民のほぼ全員が、母国語以外に2、3ヶ国語を話せるとの情報に、

「言葉を3つも話せるなんて、めっちゃすごいなぁ。日本人は普通、日本語だけやん。なんで3つも話せるんやろ」と一番上の子。

そうそう、日本人が“普通”と思っていることは、この広い世界では“普通ではない”。リビングで地球儀に顔を寄せ合い、みんなで日本とルクセンブルクの距離を確かめたり、国旗図鑑からルクセンブルクの国旗を探したり。

その姿を見ているだけで、ホストファミリーをやってみようと決めたのは正解だったと感じていた。昨日までは縁もゆかりもなかったルクセンブルクという国が、我が家の中で、俄然存在感を増していた。国名すら聞いたことがなかったであろう子供たちも、ルクセンブルクに興味を持ち始めた。

ダンナさんとワタシは、ルクセンブルク情報をちょこちょこ仕入れながら、まだ見たことも行ったこともない国に、徐々に親近感を深めていった。

こうして、学生を実際に受け入れるよりも前の段階で、ルクセンブルクに対する心の距離がグッと縮まっていったのである。

 つづく。

 

*追記: “ルクセンブルク”という単語を、文章の中でこんなに多く使ったのは、人生初です(笑)。

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