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055. いじめについて(Vol.1)

脳科学者の中野信子さんの『ヒトは「いじめ」をやめられない』という本の要約と感想を書いてみる。

"「過剰な制裁(オーバーサンクション)」"
"これが「いじめ」が発生してしまう根源にあるメカニズムなのです。"(p.26)

ヒトにとって、集団の中で調和を保つことこそが最も適切な生存戦略だった。その名残のような機能が我々の脳の中に残っており、集団の和に馴染んでいない者を過剰に攻撃してしまう機能を有している。それが「オーバーサンクション」である。

本来ならば、敵を攻撃し、集団の秩序を維持するためにあるこの機能だが、行き過ぎればそれはいじめへと発展してしまうというわけだ。そして、その行動には、オキシトシンという脳内化学物質が関与していることが分かっている。

"オキシトシンは、その性質から「愛情ホルモン」とも呼ばれ、脳に愛情を感じさせたり、親近感を感じさせる、いわば人間関係を作るホルモンです。"(p.29)

愛情と憎悪が表裏一体の感情であることが、オキシトシンの働きから明らかになったと言えるだろう。愛があるがゆえにいじめが起こるのである。

また、正義感からいじめが生まれることも分かっている。

"「規範意識が高い集団」ほど、いじめが起こりやすいことを指摘されています。"(p34)

つまり、真面目な人ほどいじめをしてしまう可能性が高いということである。日本人は特にこの傾向が強いように思える。規範意識は確かに重要だが、それと同時にある種の異質な他者への寛容さも重要になる。そのバランスが崩れることでいじめなどのサンクションが生まれてしまう。自分と敵対する人を不当に低く評価する傾向が高くなることを「外集団バイアス」という。外集団と対になる語は、内集団である。

"日本人は逸脱者や逸脱候補者を見つけがちな国民性があり、その点でサンクションが発生しやすいと言えます。"(p.47)

このような思考を「裏切り者検出モジュール」と呼ぶそうだ。これが強いために、オーバーサンクションが起こってしまうという考え方が提示されている。

日本人は、不安遺伝子を多く持っている、とも言われており、セロトニントランスポーターの量が少ないらしい。だからこそ、綿密な準備をすることができたり高い技術水準を保ったりすることができるかもしれない。しかし、それと同時に高い不安の度合いからオーバーサンクションも起こりやすいと言えるだろう。

また、本書で指摘されているいじめられやすい人の特徴としては、身体的弱者や空気が読めない人(p.70)、一人だけ得をしているように見える人(p.72)、異質な存在と思われる人(p.76)などが紹介されている。

いじめを防止するための策も本書にはいくつか書かれているので興味がある方は読んでみてください。

苫米地さんの『脱・洗脳教育論』にも書かれていたが、いじめをする人は、退学という処置を下すという思い切った対応をしてもいいのではないだろうか。

いずれにせよ、異なる価値観を認め合う姿勢をまずは大人が持つべきなのだと思った。

今日も読書!!!

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