私はスカーレット 上•下
林 真理子
小学館　上493頁、下390頁

2023/6/19初版
月刊誌「きらら」2018/6〜2020/10月号
「WEBきらら」2020/11〜12月号、2021/1〜2022/8月号掲載
※上巻は文庫「私はスカーレット」Ⅰ〜Ⅳを1冊にまとめたもの
※ヘッダー画像は上下巻表紙部分

#日大理事長 として、何かと話題の #林真理子 氏
エッセイも小説も評伝も結構読んでいて、10月にも「綴る女　評伝宮尾登美子」を読了
故 #宮尾登美子 氏が書く女性の物語が好きだったから

林真理子氏の昔のエッセイは割りとバブリーで、ブランド•グルメ•コスメ•ダイエット•交友関係が鼻につく
でも読んでた、読みやすいから
#原稿用紙 に #サインペン でスラスラと30分ほどで書き上げるというから驚く

今度は大丈夫‼︎
だってスカーレット自体が鼻につく女なんだから
なのに魅力的で危なっかしくて強くて目が離せない
ご存知、言わずと知れたマーガレット•ミッチェル「 #風と共に去りぬ 」の主人公スカーレット•オハラ
#宝塚歌劇 （こちらも話題）でも、何度も再演されている

一体何度 #映画 を観たことだろう？
長尺だし展開は判っているのに、ハラハライライラドキドキしながら
文字で読んだのは、映画よりも後
ページをめくりながらも頭の中では映像のスカーレット達が動いていた

林真理子氏が「風……」の熱狂的読者だと知る編集者が「 #新訳 をやってみませんか」と声をかけた
原作の #版権 は切れており、既にいくつもの #新訳 が出ている
そこで林真理子氏が提案したのが「風……」を #再構成 し、スカーレットの #一人称 で語らせること

しかしスカーレットに語らせると、スカーレットが知り得ないことは書けない
しかも「愚かで何も知らない黒人たちは赤ん坊と同じ」というスカーレットの #黒人差別 の意識をどう扱うのか？
結局、林真理子氏は「スカーレットの言動に、怒ったり苛立ったりしたが、創ることはしなかった。」

映画や版権が切れる前の本に親しんでいたのでガッカリするか？というと、面白く読み進むことができたと
スカーレットのモヤモヤも我儘も決意もストレートに伝わってくる
何というスカーレットの強さよ‼︎

勿論 #レット も #アシュレ も #メラニー もお馴染みの登場人物の影は、微塵も薄くなってはいない
スカーレットのフィルターを通しての描写になるので、どうしても「もう‼︎どうして解らないのよ‼︎」という気持ちに同調してしまいがちになるけれど

一字一句を舐めるように読んだワケではないけれど、どうしても引っ掛かったのがここ
重箱の隅を突く姑か、私は‼︎

「 #耳ざわりのいい 」って、いつから #誤用 ではなく一般的になったの？
直木賞選考委員まで務める人が使うほど、当たり前なの？
編集者も何とも思わなかったの？
作家様よりお若いからかな？

漢字で書けば「 #耳障り 」
不快な声や音のことではないの？とモヤモヤ
ところがどっこい、大正期に「耳触りの好い声」と書いていた作家が居たらしい、モヤモヤ……
余談だけど、私は「耳当たりが良い」と書いたりする
「心地良い声」「心地良い音」で良いのだけどね

ストーリーも世界観もそのまま
自意識過剰で自己顕示欲が強くて自己中なスカーレットは、自意識過剰で自己顕示欲が強くて自己中のまんま
なのにどうしてこんなにスカーレットに惹かれるんだろう？
初めて「風……」に出会う人には取り付きやすいかも知れない

是非とも映画もご覧いただきたい
細切れではなく、たっぷりと時間に余裕があるときにね
音楽もとっても素敵ですよ🎶

ああ、スカーレットのポジティブさが羨ましい
1/10でも私にあったらなぁ……
でも、全部は要らないわ
その容姿を持たない私では、周りが皆んな敵になっちゃうもの

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