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2022年9月の記事一覧

【読書メモ】統計を基礎からストーリーで学べるありがたい入門書:『大学生ミライの統計的日常ー確率・条件・仮説って?』(小塩真司著)

【読書メモ】統計を基礎からストーリーで学べるありがたい入門書:『大学生ミライの統計的日常ー確率・条件・仮説って?』(小塩真司著)

心理統計をもう少し(というか本格的に)学ばなければならない状況のため、入門書を読み漁っています。小塩先生の書籍が個人的にはフィット感があるので、いくつか読んでおりまして本書もその一冊です。結論から言えば、修士というよりも学部生が読んで統計に興味を持ってもらえる内容なのですが、非常に基礎的なレベルから書かれているのでわかりやすいです。統計に関して苦手意識を持っているすべての方におすすめしたい一冊です

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「彼」自身の言葉で、語るべきではないか――料理と食を通して日常を考察するエッセイ「とりあえずお湯わかせ」柚木麻子

「彼」自身の言葉で、語るべきではないか――料理と食を通して日常を考察するエッセイ「とりあえずお湯わかせ」柚木麻子

『ランチのアッコちゃん』『BUTTER』『マジカルグランマ』など、数々のヒット作でおなじみの小説家、柚木麻子さん。今月は、特別編でお送りします。
※当記事は連載の第18回です。最初から読む方はこちらです。
#18  支配者 二十一年間「推し」ていた有名俳優が性加害をしていたことが一週間前に報道された。
「彼」のファンだと常日頃公言していたせいで、マスコミ各社からの原稿依頼は後を絶たない。そのほとん

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【論文レビュー】LMXって何?どう測ることができるの?:Liden & Maslyn(1998)

【論文レビュー】LMXって何?どう測ることができるの?:Liden & Maslyn(1998)

リーダーシップという現象の捉え方には、特性、行動、変革など様々な観点がありますが、リーダーとメンバーとの相互作用に焦点を当てたものもあります。その中で最も有名な概念の一つがLMX(Leader Member eXchange:上司部下交換関係)です。このLMXを測定する尺度として有名な論文を今回は見ていきます。

LMXは4因子構造!著者たちは、勤務している学生(日本風に言えば「社会人学生」)30

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【論文レビュー】プロアクティブ行動は若手社員の組織適応にどのような影響を与えるのか?:尾形(2016)

【論文レビュー】プロアクティブ行動は若手社員の組織適応にどのような影響を与えるのか?:尾形(2016)

本論文では、若手社員がプロアクティブ行動を取ることによって、組織適応が促されることを実証的に論じたものです。組織適応という概念について、知識、感情、態度・行動という三つの観点から捉え、結論を先取りすれば、七つの下位次元から構成されるとしています。

なお、本論文は尾形先生の『若年就業者の組織適応:リアリティ・ショックからの成長』の第9章の基となった論文です。組織適応についてもっと詳しく知りたいとい

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テレワークが「できない理由」

テレワークが「できない理由」

働き方改革関連の講演やイベントで色々相談を頂くことが多いのですが、その中でも「テレワーク」についての質問・相談が非常に多いです。
今回は質問&回答の中でも多い「部下の管理」について書きます。

「テレワーク」になって部下の管理ができなくなったこの相談が実はいまだにランクのトップあたりにあります。
「管理職」と呼ばれる幹部の方々が、みんな目の見える範囲に居ないので状況がさっぱりわからなくなって困って

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【読書メモ】デューイ読書会!:『経験と教育』(ジョン・デューイ著)

【読書メモ】デューイ読書会!:『経験と教育』(ジョン・デューイ著)

LDC同期の有志メンバーでデューイを読みました。修了した後でも基礎的なテクストをガチで読み込むコミュニティの一員であることは本当にありがたいです。企画してくださった海野さん、ありがとうございました!!

私が担当した第3章は、経験についての考察がいかにもプラグマティズムの思想の流れで論じられている、個人的には最も好きな章です。並行してキャリア・アダプタビリティをまとめているのですが、提唱者であるマ

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【読書メモ】人生100年時代のミドル以降のキャリア論:『ミドル&シニアのキャリア発達』(三輪卓己著)

【読書メモ】人生100年時代のミドル以降のキャリア論:『ミドル&シニアのキャリア発達』(三輪卓己著)

三輪先生(桃山学院大学)のキャリア関連の書籍は、キャリア論を学ぶ身としては大変ありがたい存在です。というのも、先行研究のまとめがすごく参考になるのです。バウンダリーレス・キャリア(Arthur & Rousseau)、プロティアン・キャリア(Hall)、Work Identity(Ibarra)、プランド・ハプンスタンス論(Krumboltz)が整理されており、「おー、こういう風に位置付けるのね!

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新学期と、はじまる

新学期と、はじまる

「大体さあ、困ってるって、誰が困ってんの?学校の先生でしょ?先生が困って何とかしろって言ってんでしょ?息子君はさあ、実際のとこあんまり困ってないんじゃないの?」

 これは息子を通じてもう4年の付き合いになる小児神経科医のことば。

 息子が、現在もう4歳8カ月になる妹が産まれ、長い入院からやっと帰宅した4年と少し前の春、先天性心疾患のために家でも色々とケアが必要になる乳児がやって来たことで激変し

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