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音楽の感想記録 東京→バンコク

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Blur キャリアを振り返る

The Beatles, The Kinks, David Bowie, Julian Cope, XTC, The Police。連綿と続くブリティッシュロック、そしてUKアートロックの歴史を、90年代において唯一継承したのがB…

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1年前
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最近聴いているアルバム2024.04

Biffy Clyro 『Blackened Sky』(2002)MineralやSunny Day Real Estateといったオリジナルエモからの影響と、Karate, Braid, The Dillinger Escape Plan, ひいてはJesus Liz…

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2週間前
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Adrianne Lenker 『Bright Future』(2024)

8/10 ★★★★★★★★☆☆ またしても完璧な作品。2020年のソロ『songs』『instrumentals』、2022年のバンド作『Dragon New Warm Mountain I Believe In You』、そして本…

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3週間前
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Lo Moon 『I Wish You Way More Than Luck』(2024)

7/10 ★★★★★★★☆☆☆ Talk TalkやPeter Gabrielに影響を受けた丁寧で上品なインディアートロック。この手のバンドは2024年も一定数いてどのバンドも知的なサウンドを…

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4週間前
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最近聴いているアルバム2024.03

今月も学生時代に聴いていた懐かしいアルバムを再訪。もう完全に懐古オジサンになってしまった。温泉に入りたい。 The Pale Fountains 『...From Across The Kitchen Tabl…

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1か月前
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MGMT 『Loss Of Life』 (2024)

6/10 ★★★★★★☆☆☆☆ 5th。普通なら使わない変なエフェクトや脈略のない音や奇抜なミックスバランスを駆使して独特のサイケデリアを産むのはThe Flaming Lipsなどか…

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1か月前
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Twenty One Pilots 『Clancy』発売前にコンセプトをおさらい

Twenty One Pilotsの『Trench』(2018)、『Scaled And Icy』(2021)、そして『Clancy』(2024年5月17日発売 ※24日に変更)は、一連の物語を描いたコンセプトアルバムの連作に…

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2か月前
16

Real Estate 『Daniel』 (2024)

9/10 ★★★★★★★★★☆ 春の風は迎える者への駆け足ではないし、拒む者への面当てでもない。自ら来て、自ら往く、自然の意だ。物憂げに俯く者の心うちなど遠慮無しに…

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2か月前
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最近聴いているアルバム2024.02

今月も学生時代によく聴いていたアルバムを再訪していた。思い出が蘇る懐かしいアルバムと、新鮮な驚きがあるアルバムの2タイプに分かれる。 The Pale Fountains 『Pacifi…

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2か月前
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The Pineapple Thief 『It Leads To This』 (2024)

7/10 ★★★★★★★☆☆☆ Porcupine Treeと並びイギリスのネオ・プログレッシヴロックを20年以上リードしてきたThe Pineapple Thiefの14枚目のアルバム。 プログレの枠…

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2か月前
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最近聴いているアルバム2024.01

今月分だけでなく、ここ数ヶ月よく聴いていた旧作を記録しておく。高校生の時に聴いていたのを再訪するのが今のマイブーム。 Teenage Fanclub 『Thirteen』(1993)当時のグ…

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3か月前
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Bill Ryder-Jones 『Iechyd Da』(2024)

6/10 ★★★★★★☆☆☆☆ Pavement的というよりはGorkey’s的なスラッカーロックの捻りの中で寂しい歌心を見せていた『West Kirby County Primary』(2015)。クリーント…

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3か月前
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Leave Yourself Alone 『Leave Yourself Alone』(2023)

10/10 ★★★★★★★★★★ 何しろ情報がない。一番情報が載っているのがBandcampだが、それでもバンクーバー出身で、メンバーが5人いて、これがデビュー作で、"Cinemati…

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4か月前
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2023年 ベストアルバム (新譜)

今年聴いた新譜の中からよく聴いていた16枚。2位のアルバムが一番おすすめ。 16位 Militarie Gun 『Life Under The Gun』簡潔なパンク/オルタナバンド。”銀シャリのみ”…

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4か月前
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2023年を振り返る (プライベート編)

本ブログで2年以上書いてきた音楽レビューだが、今年に入りなぜか全く書けなくなってしまった。なにしろ筆(キーボード)が進まない。飽きたんだなと思いほったらかしていた…

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5か月前
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最近聴いているアルバム2023.02

Travis 『12 Memories』(2003)純朴なFran青年を怒りの淵に追い込み、落胆の底に突き落としたのは、イラク侵攻だった。初めての荒ぶる感情を筆圧の濃いペンに込め、灰色のメ…

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1年前
16
Blur キャリアを振り返る

Blur キャリアを振り返る

The Beatles, The Kinks, David Bowie, Julian Cope, XTC, The Police。連綿と続くブリティッシュロック、そしてUKアートロックの歴史を、90年代において唯一継承したのがBlurだ。

Summer Sonic 2023へのヘッドライナー参加が決まった今、そんなBlurのアルバムを、その時々のDamonの心情を象徴する歌詞と共に振り返ってい

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最近聴いているアルバム2024.04

最近聴いているアルバム2024.04

Biffy Clyro 『Blackened Sky』(2002)MineralやSunny Day Real Estateといったオリジナルエモからの影響と、Karate, Braid, The Dillinger Escape Plan, ひいてはJesus Lizardみたいな奇怪なコアバンドからの影響をごちゃ混ぜにしている。しかし何より良いのはアンセミックなメロディ。この界隈ではどのバンド

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Adrianne Lenker 『Bright Future』(2024)

Adrianne Lenker 『Bright Future』(2024)

8/10
★★★★★★★★☆☆

またしても完璧な作品。2020年のソロ『songs』『instrumentals』、2022年のバンド作『Dragon New Warm Mountain I Believe In You』、そして本作と、完全にゾーンに入った圧巻の作品が続く。

『songs』は悲しみと絶望のコレクションだったが、本作は逆に「リラックスした雰囲気の中で何も追求しないことを追求した

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Lo Moon 『I Wish You Way More Than Luck』(2024)

Lo Moon 『I Wish You Way More Than Luck』(2024)

7/10
★★★★★★★☆☆☆
Talk TalkやPeter Gabrielに影響を受けた丁寧で上品なインディアートロック。この手のバンドは2024年も一定数いてどのバンドも知的なサウンドを作っているが、その中でもこのバンドの完成度の高さはデビュー作の時点から圧倒的に抜きん出ている。

音は1st, 2ndとほとんど変わらない。主張は強くないが多彩な音色を使い分けるドラム/打ち込みと基本に忠実な

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最近聴いているアルバム2024.03

最近聴いているアルバム2024.03

今月も学生時代に聴いていた懐かしいアルバムを再訪。もう完全に懐古オジサンになってしまった。温泉に入りたい。

The Pale Fountains 『...From Across The Kitchen Table』(1985)元から持っていた独特なポップセンスと歌唱力を、より明るく軽快な方向に推し進めた2ndアルバム。「中途半端に成長した結果かつての良さまで消える」というのはインディロックによく

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MGMT 『Loss Of Life』 (2024)

MGMT 『Loss Of Life』 (2024)

6/10
★★★★★★☆☆☆☆

5th。普通なら使わない変なエフェクトや脈略のない音や奇抜なミックスバランスを駆使して独特のサイケデリアを産むのはThe Flaming Lipsなどから受け継いだUSインディロックのアイデンティティ。それは1stからずっと続いているので今更変わりようもない。彼らに取ってはこれが当たり前で、変える変えないの話ではないんだと思う。

それでもさすがに大人になったとい

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Twenty One Pilots 『Clancy』発売前にコンセプトをおさらい

Twenty One Pilots 『Clancy』発売前にコンセプトをおさらい


Twenty One Pilotsの『Trench』(2018)、『Scaled And Icy』(2021)、そして『Clancy』(2024年5月17日発売 ※24日に変更)は、一連の物語を描いたコンセプトアルバムの連作になっている。『Clancy』発売の前に、物語をおさらいしておきたい。

(1) 前提Twenty One Pilotsのボーカル、Tyler Josephは長年メンタルイル

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Real Estate 『Daniel』 (2024)

Real Estate 『Daniel』 (2024)

9/10
★★★★★★★★★☆

春の風は迎える者への駆け足ではないし、拒む者への面当てでもない。自ら来て、自ら往く、自然の意だ。物憂げに俯く者の心うちなど遠慮無しに通り過ぎ、春の街へと吹き込む。草原を走る春の水は幅を変えながら春の海へと流れ込む。私たちがいてもいなくても、春の風は変わらず海を越え世界を意のままに吹き渡る。いつまでも。

本作が珠玉のギターポップであることは論を待たないが、何より歌

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最近聴いているアルバム2024.02

最近聴いているアルバム2024.02

今月も学生時代によく聴いていたアルバムを再訪していた。思い出が蘇る懐かしいアルバムと、新鮮な驚きがあるアルバムの2タイプに分かれる。

The Pale Fountains 『Pacific Ocean』(1984)青春の音。トランペットが青空の下で切なく響く。モリッシーのアクがどうしても好きになれない私にとっては、「The Smiths的なバンド」の方がThe Smithsより好きだったりする。

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The Pineapple Thief 『It Leads To This』 (2024)

The Pineapple Thief 『It Leads To This』 (2024)

7/10
★★★★★★★☆☆☆

Porcupine Treeと並びイギリスのネオ・プログレッシヴロックを20年以上リードしてきたThe Pineapple Thiefの14枚目のアルバム。

プログレの枠に括られてはいるが、8作目の『Someone Here Is Missing』(2010)以降はどれも10曲前後で約45分とタイトかつシンプルに仕上げられている。高度な演奏技術と高いメロディセン

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最近聴いているアルバム2024.01

最近聴いているアルバム2024.01

今月分だけでなく、ここ数ヶ月よく聴いていた旧作を記録しておく。高校生の時に聴いていたのを再訪するのが今のマイブーム。

Teenage Fanclub 『Thirteen』(1993)当時のグランジムードを引きずったノイジーで怠惰な作品だが、その中に綺麗なハーモニーがあるから彼らの音楽は特別だし、良い。カートの死を経て次作以降は綺麗なハーモニーとメロディに注力していくが、本作と一つ前(『Bandw

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Bill Ryder-Jones 『Iechyd Da』(2024)

Bill Ryder-Jones 『Iechyd Da』(2024)

6/10
★★★★★★☆☆☆☆

Pavement的というよりはGorkey’s的なスラッカーロックの捻りの中で寂しい歌心を見せていた『West Kirby County Primary』(2015)。クリーントーンギターとディストーションギターのダイナミックな交差に荘厳なチェロを織り交ぜたスロウコア路線の名作『Yawn』(2018)。前二作ではどちらもインディロック的なサウンドを中心に据え、その

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Leave Yourself Alone 『Leave Yourself Alone』(2023)

Leave Yourself Alone 『Leave Yourself Alone』(2023)

10/10
★★★★★★★★★★

何しろ情報がない。一番情報が載っているのがBandcampだが、それでもバンクーバー出身で、メンバーが5人いて、これがデビュー作で、"Cinematic long-form dream-state post-shoegaze"を自称していることくらいしか分からない。

Ryan Stephenson - vocals, guitars, keys
Ethan H

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2023年 ベストアルバム (新譜)

2023年 ベストアルバム (新譜)

今年聴いた新譜の中からよく聴いていた16枚。2位のアルバムが一番おすすめ。

16位 Militarie Gun 『Life Under The Gun』簡潔なパンク/オルタナバンド。”銀シャリのみ”みたいなバンド。簡潔なくせに少し切ないところとか、完全に分かってるヤツらだと思う。"Never Fucked Up Once"は今年最も好きな曲の一つ。こういう曲をどんどん作ってくれたら良いな。

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2023年を振り返る (プライベート編)

2023年を振り返る (プライベート編)

本ブログで2年以上書いてきた音楽レビューだが、今年に入りなぜか全く書けなくなってしまった。なにしろ筆(キーボード)が進まない。飽きたんだなと思いほったらかしていたが、やっぱり何か書きたいと思いはじめたので、まずリハビリとして今年のプライベートな出来事を書いてみる。

①ペナン島にハマった の巻ペナン島はマレーシアの島で、島自体が世界遺産になっている。私の住んでいるバンコクからだと飛行機で約1時間半

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最近聴いているアルバム2023.02

最近聴いているアルバム2023.02

Travis 『12 Memories』(2003)純朴なFran青年を怒りの淵に追い込み、落胆の底に突き落としたのは、イラク侵攻だった。初めての荒ぶる感情を筆圧の濃いペンに込め、灰色のメロディに託した。Andyのギターはかつてなく乱暴なプレイでFranに見事に応えた。怒りと祈りに溢れた素晴らしい力作。

ここでの目覚めがバンドを一皮剥けさせ一段上のステージに向かわせるかと思いきや、次の4年後のア

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