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【もう調味料だけじゃない】味の素株式会社

今回は「味の素」をリサーチしました。
食卓を彩る調味料を製造する会社ですが、今や食卓以外のところにも活躍の場を広げていました。
それでは、さっそく見ていきましょう〜


①概要

基本データ

企業理念:Eat well, Live well.
事業内容
:食品事業、アミノ酸事業、医薬事業、ギフト事業など
設立
:1925年
上場市場:東京プライム市場
時価総額:2兆7000億円
従業員数※:連結34615名 単体3335名(平均年齢44.6歳)
平均年収※:1047万円
※会社四季報 2023年4集 秋号より

事業内容

味の素株式会社は、日本の最大手調味料メーカーであると同時に、近年はアミノ酸抽出・加工技術力を活かして、ヘルスケアや半導体関連事業にも進出しています。

食品会社と半導体というなんとも奇妙な組み合わせですが、もともとアミノ酸に強みがあった味の素が、関連する素材の基礎研究を進めた結果、パソコンのCPUという部品のABFという絶縁体(電気⚡を通さない素材)の発明に成功したことが由来だそうです。

味の素公式サイトより

同様にヘルスケアやバイオファーマ事業も、味の素の強みであるアミノ酸の延長線上に展開される事業であり、近年グループ全体の20%を占める主力事業にまで成長しています。
例えば、血中のアミノ酸濃度を測定してがんの有無を検査する「アミノインデックス」というイノベーションも味の素が発明しており、斬新で画期的な研究開発が盛んな様子が伺えます。

味の素プレスリリースより

②業績

直近の決算

営業利益:本業で稼いだ利益
経常利益:営業利益+本業以外の損益の合計
純利益:税金などを引いたあとの最終的な利益

業績面では、売上高・営業利益ともに順調に拡大を続けています。一方、経常利益と純利益は横ばいで、営業利益の伸びに比して落ち着いた印象です。2022年度の通期決算は過去最高を記録しており、食品・ヘルスケア・半導体が相互に補完しあって順調な業績を上げています。

貸借対照表(B/S)

続いて貸借対照表を見てみましょう。
貸借対照表(バランスシート=B/S)は、その会社が持つ資産を可視化したものです。

流動資産:現金にしやすい資産(現金・受取手形など)
固定資産:現金にしにくい資産(土地・建物など)
流動負債:1年以内に返済が必要な負債(短期借入金・引当金など)
固定負債:1年以内に返さなくても良い負債(長期借入金・社債など)
自己資本比率:総資本のうち自己資本が占める割合。高いほど健全。

純資産が9000億円弱、自己資本比率53%と堅実な経営基盤と言えます。工場や研究開発拠点を始め、固定資産が大きいのも特徴です。流動資産が負債を少し下回っていますが、純資産も多いので問題はないかと思います。

損益計算書(P/L)

続いて損益計算書です。
損益計算書(P/L)は、その会社がどう稼いで、何にお金を使ったのかを可視化したものになります。

売上高:本業で稼いだ収益
売上原価:売上を上げるために直接かかった費用
販管費:商品の販売や管理にかかった費用(広告費や賃料など)
営業利益/損失:本業で出た利益/損失
営業利益率:売上高のうち営業利益が占める割合。高いほど効率よく稼いでいる。営業損失の場合は算出できない。

営業利益率が11%と、日本の食品製造業の平均値が2.6%との調査もある中で非常に優秀な数値だと思います。食品以外の事業の比率も大きいこと、食品事業もアミノ酸をコアとして品目数を集中していることが要因ではないかと推測します。

株価の動向

次に、直近5年間の株価推移です。

なんとこの5年で3倍ほどに上昇しています。近年の半導体需要の急増で、味の素の半導体事業への引き合いも増えており、かつ世界シェアが高い製品を有することから、半導体企業としての側面が大きくプラスになっているのではないかと思います。非常に理想的な異業種進出の成功例ではないでしょうか。

③社員の口コミ

最後に、社員クチコミサイト「openwork」より社員評価を見てみましょう。回答者数が少ない場合がありますので、あくまで参考値となります。

全体として3.94点と高評価で、これはopenworkの中でも上位1%の数値だそうです。
味の素の平均年収は1000万円を超えており、非常に高水準です。「待遇面の満足度」が4.4と高く出ていることがその証左だと思います。また、待遇よりも高い数値が「法令遵守意識」で、食品や医薬品を扱う大企業だからこそ、遵守すべきルールに厳密に従っている印象です。
一方、「20代成長環境」が唯一2点台をつけており、年功序列の要素が強いのかな?と推測します。

④まとめ

以上、「味の素」についてリサーチした結果、
・言わずとしれた食品以外にもヘルスケアや半導体素材も手がける
・印象的なイノベーションと異業種進出戦略を成功させている
・財務は堅実で、営業利益率も業界内でトップクラス
・社員評価は非常に高いが20代には少し物足りない環境か?

でした。

今後も個人的に気になった企業についてどんどんリサーチしていこうと思います。

参考資料

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