マガジンのカバー画像

福祉の仕事

804
仕事中に気づいた発見や喜びを書いています。
運営しているクリエイター

記事一覧

転職して4年目を迎えた日、リーダーがいなくなった

転職して4年目を迎えた日、リーダーがいなくなった

大好きで尊敬していたリーダーの退職が発表された頃
私は転職を考え出した。

 
私の職場は新卒をとらない。
職員の平均年齢も高い。
年齢を考えれば
今慕っている人は私より先に辞めるだろう。

そう前々から考え、薄らと不安だったわけだが
リーダーが辞めることや人事異動により
更に基盤が揺らいでしまった。

 
今すぐ辞めたい、まではいかないが
私は求人情報を夜な夜な見ていた。

どこも可もなく不可も

もっとみる
これでいいのだろうか

これでいいのだろうか

かつて、医者の方と付き合っていた時に
「このままメスを持つことがないことに医師として危機感を感じる。」と言われたことがある。

 
元彼は精神科医志望で医大に入り
研修医を経て志望通り精神科医になったわけだが
周りの医者を見たり
もう二度とメスを持たないことに関して
これでいいのだろうかと感じたようだ。

 
研修医時代、外科とか救命救急とか様々な科で働いていた時

「外科は天才しかいない…。」だ

もっとみる
真面目風な人

真面目風な人

「真咲さんは真面目だよね。」

小さい頃から何度も言われてきた。
確かに、小学生の頃から習い事を複数こなし、休みの日にも勉強し、学級委員・児童会・部長・委員長…と、様々なことをしてきた。

真面目か不真面目かの二択なら、私は真面目なのだと思う。
見た目も黒髪メガネ、スカートも長めが好きだし、ピアスを空けたり、派手目なメイクもしていない。見た目も真面目な部類だと思う。

 
私は真面目はいいことだと

もっとみる
仕事でモヤモヤした後に笑った日

仕事でモヤモヤした後に笑った日

外出先で嫌な思いをした。
モヤモヤしながら施設に戻った。

 
あんな言い方ないじゃないか。
あの態度は冷たい。
なんでいつもあぁなんだろう。

そんな風に思いながら口には出さず
一緒にいた利用者とは雑談を楽しもうと思った。

 
施設に戻った後、利用者の口腔ケアを頼まれた。

「ハッミッガキ 上手かな?♪」

私が歌いながら利用者を誘導すると
ニコニコしながら楽しそうに口を開けた。
この歌が好き

もっとみる
お茶会に不向きな人

お茶会に不向きな人

私の職場は適当だ。

退職者にお金をいくら渡すかは規定で決まっていなく
その都度退職者が出たら話し合って決める。

 
決まっているのは、色紙に利用者と同僚でメッセージを書いて最終勤務日お別れ会の時に渡すことくらいだ。
また、その時に利用者が個人で用意したプレゼントや手紙を渡したい人は渡す。

 
前の職場は退職者に職場・保護者会・自治会(利用者)がいくら渡すか、いくらの花束を渡すかは決まっていた

もっとみる
送別会の提案

送別会の提案

私の職場は飲み会がない。食事会もない。
コロナ禍だからというのもあるが
コロナ禍前も頻繁ではなかったらしい。

 
私は三年前に転職したが、歓迎会はなかったし
同僚が辞めても、送別会はなかった。

それでよかった。

仕事柄、平日は利用者や同僚とお昼を食べるし
土日祝日出勤の時も利用者や同僚とお昼を食べるし
職場で一人でお昼を食べることはほぼない。

 
あえて仕事後や休日に出掛けて高いお金を出し

もっとみる
残業と人手不足と不安

残業と人手不足と不安

同僚が体調不良で複数人同時に休んだ時
他の同僚やリーダーがいたからなんとか乗り越えられた。

 
だが、その休んでいた同僚が体調が治ると
今度は別の同僚が体調不良で一週間休み
更に翌週も復帰が未定らしい。

元々毎月体調不良で何日も休む方だ。
毎月のことといえばそれまでだけど
今回は期間が長いし、不安になってしまう。
このまま退職になったらどうしよう、と。
退職にならないにしても、復帰が数ヶ月単位

もっとみる
利用者の反応

利用者の反応

リーダーが退職を発表した際
想像以上に利用者は不安定にならなかった。

多少泣いたり、落ち込んだ人はいたが
ほとんどの人は実感がわからないのか、大きな変化はなかった。

 
保護者にしてもそうだ。
一部の方が落ち込んだりはしたが、想像以上にサラッとしたものだった。

 
私は驚いた。

リーダーが辞めるというのに、利用者も保護者もなんと割り切っているのだろうか。
私以上にリーダーと長い付き合いなの

もっとみる
研修と発表

研修と発表

リーダーの退職はとある日の食後知らされることになっていた。

その日、私はちょうど午後から研修だった。
私はその瞬間に立ち会うことはない。

 
「真咲さん、研修いってらっしゃい。」

利用者が笑顔で言う。

利用者は知らない。
あと数十分もしない内に、もう知らなかった頃には戻れない悲しみに襲われる。

 
研修先は近くの駐車場が満車で、遠くの駐車場から歩くことになった。
私が研修に間に合うか焦っ

もっとみる
ロッカーとシュレッダー

ロッカーとシュレッダー

前の職場では、正職員は更衣室にロッカーを一つと
事務室にマイデスクとマイパソコン(マイアドレス)を揃えてもらえた。
そこで10年以上働いていた私は、それが当たり前だと思っていた。

途中で職員が増え、更衣室のロッカーはパートさんに譲ったが(パートさんはロッカーを一つ借りられる)
その時にはマイデスク足下に段ボールを置いてものを置いた。
移転に伴い、再びロッカーを借りられた。

 
 
やがて私は転

もっとみる
父親からのサプライズプレゼント

父親からのサプライズプレゼント

仕事から帰ると、大きな包み紙が置いてあった。

「父より」

手書きで紙が貼られていた。

 
包み紙を開けると
額縁に入った大きな写真が入っていた。

先日新聞に載った、創立記念日の写真を引き伸ばしたものだった。

 
あまりに立派な写真と額縁で笑ってしまった。
これは一職員が家に飾るレベルではなく
施設に飾るレベルだ。

 
きっと前の職場なら、新聞に載ったり、創立記念式典の大きな行事なら

もっとみる
残業と幽霊と優しさ

残業と幽霊と優しさ

私の職場は私が一人で残業することは許されない。

私が残る時は新施設長か事務長かリーダーも必ず残る。

 
前の職場は一人で残業もザラだった。
もしくは他の人も残業で、一緒に帰る日も多かった。
その感覚で10年以上仕事してきた。

だから私のために誰かがあえて残る今の職場のシステムは気を遣った。

 
その日は人手不足の日で仕事は立て込んでいた。
仕事は相変わらずたまる一方だったが
その日の内にや

もっとみる
金曜日のあれこれ

金曜日のあれこれ

一週間最後の勤務日である金曜日は戦いだ。
金曜日は大抵が行事日だからだ。

 
まず、朝の送迎から戦いは始まる。
金曜日の私の送迎担当である利用者は非常に不穏になりやすい。

 
送迎車に乗り込むまでに私、利用者、保護者で三人の戦いになり
乗り込んでからも場面切り替えができず
ギャーギャーと騒ぎ、落ち着くまで車からは降ろせない。

その日は落ち着くまで時間がかかり
お互いに心身疲れた。

「施設な

もっとみる
来年度の予定

来年度の予定

毎年3月に来年度の業務分担を決める。
書類作成だったり、行事の担当だったり、毎月の業務を誰がやるかを決める。
30項目分だ。

一人に偏り過ぎないように決める。

 
来年度はリーダーがいなくなり
同僚Aさんが人事異動により現場から離れる時間帯が増え
同僚Bさんはパートから正職員に変わる。

リーダーの変わりの人は決まっていない。

 
 
「みんな心にゆとりがないし、新しい人も決まっていないし、

もっとみる