大黒 貴之 / DAIKOKU

彫刻家。日本→ベルリン→日本→ラーテノウ→日本。ドイツに約6年半滞在。「間-振動」両義…

大黒 貴之 / DAIKOKU

彫刻家。日本→ベルリン→日本→ラーテノウ→日本。ドイツに約6年半滞在。「間-振動」両義性の間を意識した彫刻、ドローイング、インスタレーションを制作。https://k-daikoku.nethttps://www.instagram.com/takayuki_daikoku

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  • 後で効く 冷酒と 彫刻家の独り言

    彫刻家大黒貴之のオピニオンや独り言をまとめています

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    彫刻家大黒貴之の作品をまとめています。

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    作品、展覧会、制作風景などの動画集です。作品がどのように完成していくのかというプロセスも知っていただけたらと思っています。

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大黒貴之のプロフィール

彫刻家の大黒貴之(だいこくたかゆき)です。 略歴と続けていること ●ドイツで約6年半に渡り、作家活動を行う ●2001年ヨーロッパの現代アートの中心地ベルリンで個展を開くことを目標に渡独。2003年の帰国までに、ベルリンでグループ展、個展などを実施。 ●2011年再び渡独を断行。滞在中、ベルリンのギャラリーと連携しながら個展、グループ展、アートフェアを多数開催。 ●約5年半の滞在を経て、2016年夏に帰国。現在滋賀県を制作拠点にし、東京やベルリンなどで作品を発表する。

    • ある女性作家の作品と60年後のオールドマスター

      彫刻家の大黒貴之です。 アート作品の変遷とは実に不思議なものである。 通常、世間に出回っている商品は一定の期限が来ると商品価値は減少していき特売品やバーゲンセールとなるか、それでも残った商品は在庫になっていく。 アート作品が一般商品と決定的に違うのは時間の経過ともに価値が高まっていく可能性があることが1つ挙げられるのではないだろうか。 「彫刻家して仕事をしています」と自己紹介すると、何人かの人たちから、 「美術作品は後世に残っていくからいいねぇ」と言われることが稀にあ

      • 私の仕事-彫刻 -renmen(outdoor)

        彫刻家の大黒貴之です。 作品をテキストとInstagramの画像を交えながら紹介していく「私の仕事シリーズ」です。今回は2015年にドイツの野外彫刻展で発表した「renmen (outdoor)」という作品について紹介致します。 それではどうぞよろしくお願い致します。 ・・・・・ renmen (outdoor) 12/05/2015 -the process of changing for 6 month in Wagenitz, Germany-, 2015, 3

        • 日本文化の根底に流れる「もののあわれ」:女性の感性は素敵だね

          彫刻家の大黒貴之です。 自身の作品は日本文化から影響を受けているところがあり、またドイツ滞在時に自分が外国人になることで改めて日本文化について眼差しを向けることがありました。 今回は、夏は墓参り、正月には初詣、12月にはクリスマスというような「神仏習合」文化を持つ、日本の中から醸成された「もののあわれ」について考えてみたいと思います。 それではどうぞよろしくお願い致します。 漢字からひらがなへ。「ひらがな」を生み出したのは女性だった 日本は、宗教や文字、画、料理に至る

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          私の仕事-ドローイング -Folded Drawings/フォールド・ドローイング

          彫刻家の大黒貴之です。 作品をテキストとInstagramの画像を交えながら紹介していく「私の仕事シリーズ」です。今回はフォールド・ドローイングという作品について紹介致します。 それではどうぞよろしくお願い致します。 ・・・・・ 「2018年にベルリンで発表したフォールド・ドローイングを観たドイツ人の歴史学者は、”Palimpsest/パリンプセスト”(先に書かれた文字等を消し、別の内容を上書きした羊皮紙の写本のこと)を彷彿させると言い、また同シリーズの他の作品を観た

          私の仕事-ドローイング -Folded Drawings/フォールド・ドローイング

          専門家とはどういう人のことをいうのだろうか:あと「仕事中の彫刻家」のこと

          彫刻家の大黒貴之です ある日ラジオから「専門家とはどういう人のことを言うのか?」という話題が聞こえてきました。 その話によると「専門家とは自分に何ができて、何ができないのかを知っている人」だといいます。 なるほど、それが結果的に1つのことに特化していくことだというのは一理あるなと思いました。 僕が彫刻家と言い始めたのは2002年からでした。ベルリンのギャラリスト、セミヨンさんが「君は彫刻家なんだよ」と言ってくれたのが、大きな切っ掛けの1つでした。 また関西のある彫刻

          専門家とはどういう人のことをいうのだろうか:あと「仕事中の彫刻家」のこと

          今あなたが持っているコップの水を一度捨てなさい:自分を変えるということ

          彫刻家の大黒貴之です。 何かを改変することは、多くのエネルギーが必要なことです。 生活の一部を変えたり、或いは新天地へ移動したり、もしくは、それまでやっていたことを変えるなど・・・長い人生の中で、一度は自分を変えたいと真剣に考えるときがやってくることがあります。 そのためにはどのようなことを心がければいいのでしょうか。 一緒に考えてみましょう。 自分を変えるための捨てる勇気を持つことある武道家の方がかつてこのようなことを僕に助言してくださいました。 「コップに入っ

          今あなたが持っているコップの水を一度捨てなさい:自分を変えるということ

          縁起の間 -⽩梅・⽯楠花・彫刻・⾦⽊犀

          彫刻家の大黒貴之です。 2020年、東京のMARUEIDO JAPANで開催された個展に合わせて執筆したテキスト「両義の間にある揺らぎ「間-振動」-⾃然 時間 ⾔葉 数字 縁起 ⽣命彫刻、ドローイング、インスタレーション 」から抜粋したものです。 ・・・・・ 10 代、20 代の頃は、⾃宅にある庭の樹にはそれほど愛着も無かったが、近年、何故か急に⼼を惹かれるようになっている。 中でも⽩梅と⽯楠花、それと⾦⽊犀の 3 本の樹々が特に気に⼊っている。⽩梅については、私が幼

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          私の仕事 -ドローイング -Inverted Drawing(反転するドローイング)-

          彫刻家の大黒貴之です。 僕は、彫刻やタブロー、ドローイングなどの表現形態を手がけています。私の仕事の記事では、そのような自身の仕事をインスタグラムの写真を交えながらご紹介していきたいと思います。 それではどうぞ宜しくお願い致します。 ・・・・・ 第2回目は、Inverted Drawing(反転するドローイング)を紹介致します。 このドローイングは、地と線の白と黒が反転しています。 白は紙の地の色、また黒は鉛筆の黒色です。線と地の二項の間で揺れ動く様を具現化したド

          私の仕事 -ドローイング -Inverted Drawing(反転するドローイング)-

          デッサンから学んだ高校センチメンタル

          「美大に行きたいのですが、どうすればいいですか?」 美術の先生にそう尋ねたのは高校3年の春でした。 美大の受験にはデッサン課題があるので、どうやら研究所(デッサンなどの絵を習う教室)というところへ通ったほうがいいらしい。 そのようなことを初めて高校3年の始め頃に知りました。 僕の高校の他学年の美術授業に来ていた若い先生が、ちょうど研究所を開設したというので、そこを紹介してもらいました。 その研究所は「しが美術研究所」と名付けられていました。 「デッサンを習うって何

          デッサンから学んだ高校センチメンタル

          事を成し遂げるための最短の道

          彫刻家の大黒貴之です。 「器用な人ほど作家の道を続けていくことが少ない。 作家を続けていくには、ある程度の鈍感さがなかったらアカンなぁ」 日本の現代アート界に名を刻む彫刻家F氏から聞いた話。 現代アートの作家を志して20年以上が経ちますが山あり谷ありで現在に至っています。何かを成し遂げるには、地道に続けていくことなのだと実感していますが、何事もこの継続していくことがなかなか難しい。 作家の場合、1か月と1年とかではなく10年20年30年…という超ロングスパンで制作、発

          事を成し遂げるための最短の道

          私の仕事-コミッションワーク「A clock with prime number」

          彫刻家の大黒貴之です。 とある方から、時計を使用したアート作品をつくっていただきたいとの依頼がありました。 そこで私のフォールド・ドローイングと時計を組み合わせた新作を制作しました。 私は作品を制作するとき、両義の間に発生する揺らぎのようなものを意識しています。 自然と人間社会、二次元と三次元、静と動などの間にある揺らぎ。 自然、文化、人の心理などに見られる、一見すると違う事柄のような二項の間にはいつも何かが発生し、生命のごとく振動しているように感じます。 ユヴァ

          私の仕事-コミッションワーク「A clock with prime number」

          アーティストに必要なのは抽象的思考?具体的思考?

          彫刻家の大黒貴之です。 「あなたの話は抽象的でわかりにくいよ」 或いは 「あなたと話していると何言っているのはさっぱりわかんない」 抽象的なイメージを言葉に乗せて人に伝えることはなかなか難しいことですし、アートの世界でも「抽象はわかりにくい」という言葉はこれまで何度も聞いてきました。 何かを商品化することやメッセージを伝える時に「わかりやすい」ことはそれだけ多くの人に届きやすいということです。 確かに、伝達手段としての「わかりやすさ」は大切なことです。 細谷功氏

          アーティストに必要なのは抽象的思考?具体的思考?

          私の仕事-彫刻 -pile-type/集積型

          彫刻家の大黒貴之です。 僕は、彫刻やタブロー、ドローイングなどの表現形態を手がけています。私の仕事の記事では、そのような自身の仕事をインスタグラムの写真を交えながらご紹介していきたいと思います。 それではどうぞ宜しくお願い致します。 ・・・・・ 第1回目は彫刻作品の集積型をご紹介します。 ↑ 旋風/Wirbel, 2013, 35,5x20x16cm ,photo: Jürgen Baumann, 個人蔵/private collection 僕の彫刻の特徴の一つ

          私の仕事-彫刻 -pile-type/集積型

          テーブルに「つく」こと、或いはそこから「たつ」こと

          彫刻家の大黒貴之です。 「雑感ノート-20190107-」より インターネットが一般向けサービスとして日常に張り巡ったのは確か1995年頃だったと記憶している。 それ以前、情報はテレビ、新聞、書籍などのメディアか人からの見聞など、アナログなものだった。今のようなSNSなどもなかったし、また情報も簡単に手に入る環境でなかった。 学生の頃、「現代アート」とは一体どういうものなのかよくわかっていなかった。美術雑誌やそれに関連する本はあったが、なんだかよくわからない小難しい表

          テーブルに「つく」こと、或いはそこから「たつ」こと

          究極の純粋性とは?ミニマルアートの旗手ドナルド・ジャッドが辿り着いた境地

          彫刻家の大黒貴之です。 今回はミニマルアートについての話をします。 ミニマルアートとは、1960年代前半から70年代初頭にかけてアメリカに台頭してきました。作品の素材や作家の手跡などを徹底的に排除して鑑賞者の目前にある作品を「モノ」として提示し、作品自体の純粋性を問いかけたアート概念です。 その例として、ミニマルアートの旗手ともいえるドナルド・ジャッドを紹介したいと思います。ジャッドが1965年に発表した「スペシィフィック・オブジェクト」という概念は彼の思想が凝縮された

          究極の純粋性とは?ミニマルアートの旗手ドナルド・ジャッドが辿り着いた境地