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【ブックリスト】「#愛読書で自己紹介」に参加

たまたま見かけたこちらの企画がおもしろいので、参加させていただきます。

吉村昭『長英逃亡』

最近、江戸時代のとくに幕末に興味がありまして、尊敬する吉村昭先生の江戸時代作品の最高峰と名高い長英逃亡を手に取りました。

長英逃亡の長英とは、江戸時代後期を生きた町医者であり、蘭学者の高野長英のことです。

長英は医師でありながらも、恵まれた語学の才能を生かし、当時の江戸では一部の人しか読めない洋書を翻訳していました。

洋書を通じて、西欧諸国の科学や兵学の発達を知った長英は、幕府の遅れた対外政策に疑問を持ちます。

そこで長英は、夢物語という著作の中で幕府の鎖国政策を批判。それがもとで、終身刑を言い渡されてしまいます。

牢屋に入れられた彼は決死の覚悟で脱獄を決意し、幕府の徹底した捜査網をかいくぐり日本全国を逃亡するという、ハリウッド映画と見まがうような現実離れした、それでいて実話を基に小説です。

なにより感動したのは、必死に逃げる長英の姿はもちろん、それを支援した友達たちの存在でした。

長英を匿うことは最悪死罪もありうるような大罪です。それでも内田弥太郎をはじめとした友達たちは彼を救おうとしました。

それも長時間にわたる長考の末でもなく、いきなり訪ねてきた長英を一つ返事で匿うことを決断する人が大半です。しかも、その中には長英の直接の友達ではない人も含まれている。

これはどうしたことでしょうか。自分であったら、めちゃくちゃ仲の良い友達でも、めちゃくちゃ考えて助けるかもしれない、、?という感じだと思います。

もうこれは江戸時代を生きる人たちのメンタリティーの根本的な違いがあるとしか思えませんでした。

腹の座り方が違う。価値判断、意思決定の仕方が根本から違うとしかいいようがありません。そのカルチャーショックが新鮮で、新しい価値観に触れた感触に深く感動しました。

大崎 善生「聖の青春」

重い腎臓病と戦いながら、将棋界で最強を目指した村上聖さんの青春を描いたノンフィクションです。

基本的には村上さんが病気と闘いながらも、ライバルたちと文字通り命を削りながら将棋で戦う話なのですが、心に残ったのは師匠である森信雄七段との交流でした。

村上さんは病気ゆえに小さいころから入院を繰り返し、いわゆる普通の子が味わえる喜びを味わえないことが多かった。だからこそ、好きで強かった将棋にすべてをかけて取り組みます。まるで人生のすべてが将棋であるかのように。

しかし、森信雄さんはかなりフランクで、村上さんを家族に向けるような愛情を注いで世話をします。

そんな森さんの部屋には多くの友達が訪れて、孤独な将棋の世界に没頭する村上さんとの人との交流の場になっていました。

村上さんは将棋だけでなく、人と関わり、人に興味を持つ喜びを知っていく。このくだりに、胸が熱くなって、自動で涙がでてとまらなくなるのです。人っていいなと素直に思える温かい作品です。

森 絵都「DIVE!!」

飛び込み競技に青春をかける男の子たちの物語です。

だいぶ小さいときに読んだので、筋書きは忘れてしまったのですが、読書のおもしろさ、ページをめくるのがもどかしいほどの興奮を与えてくれました。

たしか失恋みたいなエピソードもあったりして、とにかく一つの競技に取り組むことの熱さ、友達や恋などの葛藤、繊細で傷つきやすい心など、これぞ青春というものがギュッとつまっていてたまらなかった記憶があります。

こんな熱い青春を過ごしてみたかったですが、実際は本ばっかり読んでました。

以上、とくに感動した3冊の紹介です。
気になったものがあったらぜひ手にとってもらえると嬉しいです。

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