たかあき

詩を主に書いてます。あと、読書のことなど。

たかあき

詩を主に書いてます。あと、読書のことなど。

最近の記事

詩「鯰」

お 鯰に乗っかられて 揺れることも 怒ることも できない朝  いっそ 魚になりたい、と 考え出したら 暮れてゆくだけ

    • 詩「たこ爆弾」

      よる疲れたら 部屋は地割れ 墨 薄墨の手 100本 血を吸うでもなく 撫でるでもなく 言葉の海をうようよ 漂い散歩

      • 詩「魚爆弾」

        鯛 鱒 鯖 鮭 おお 夜中静かに たたずむ 沈黙だ 眼球の言語を吐くなよ  発色の爆弾を 黙る君と 街の 隙間にぶん投げて 倒れる おれは 爆裂する

        • 積ん読日記⑯

          さいきんは、あまり詩を書いてない。 本を読み、気に入った文章を、紙のノートに書き写す。この作業を、ずっとやっている。自分の感性、ものの見方を鍛えたいからだ。詩を書くより、楽しい、と感じることもある。 X(旧Twitter)に詩を書くのも、さいきん嫌になってきた。Xには、雑誌で入賞した経験のある詩人もたくさんいる。そのなかには口の悪い人もたくさん。名指しではないけれど、しょっちゅう、他人の作品の悪口を書いているのだ。自分の詩もかえりみずに、だ。みにくい。 そういう人たちこ

          積ん読日記⑮

          寒い。朝は。 分かる本、わからない本について。 分かる本→司馬遼太郎、石垣りん、吉野弘など。 わからない本→マルクス「資本論」、丸山眞男「日本の思想」、吉本隆明。 僕は分かる本、わからない本も両方楽しんでいる。ふつう、分かる本のことを面白いとみんな感じるかもしれない。でも。それは本当にそうなんだろうか。 わからない本のなかにも、面白さを感じる、ということは十分にありえることだ。それは言葉ではどうにも、表現しにくいけれど。 わからなさのなかに、あるロマン、あるリズム

          積ん読日記⑮

          詩「インタビュー」

          君に細胞はあるのか 君はビートルズすきか 麺は固めか へんな訛りだなあ クビになって ヒマなんだ だから君   インタビューさせてくれ 味に自身はあるのか 自分をカッコよい、とおもうか 漱石と春樹 どっちが天才だ 乃木坂46どうおもう そもそもきみは 誰だ

          詩「インタビュー」

          詩「散歩」

          左側がわにかたむいたヒトが 歩いてくる まけずに 左側にかたむきながら 歩く 彼にとっては右側にかたむいているが ぼくにとっては左側にかたむいている 鏡のような関係を お互いたもちながら 彼の顔は ぼくではなく 僕の顔も ぼくのまま

          詩「散歩」

          積ん読日記⑭

          寒い。眠い。喫煙。 昨日も古本屋へ。2冊購入。 ①新・反グローバリズム  金子勝 ②日本の近代美術     土方定一 2冊、千円かあ。うーむ。 言語への欲望が、最近高まっている。貪欲にいろんなジャンルに手を伸ばしてる。趣味ではあるが詩を書いているので、どうしても語彙が欲しくなる。少ない語彙で詩を書けるほど、自分には才能はない。 ジャンルの壁を超えて読書すると、例えば「経済学の言葉を使って詩を書いてみようかな?」とか、よこしまな考えが浮かんだりする。「規制緩和は秋のな

          積ん読日記⑭

          積ん読日記⑬

          寒い、寒い。煙草、うまい。 また、古本屋へ。週に何回いってんだろ、おれ。まあ、いっか。以下、本日の収穫です。 ①探求 I       柄谷行人 ②凡庸な芸術家の肖像 蓮實重彦 ③無門関 ③は、「禅」の本である。たまには知らない世界を覗こう。 で、古本屋の近くには図書館がある。図書館に置いてあった「立花隆の本棚」を読んだり眺めたりする。立花隆の膨大な蔵書の数々。文学、歴史、脳科学、サル学、経済、宗教などなど。凄まじい。全部、熟読したわけではないだろう。もしかしたら読んで

          積ん読日記⑬

          積ん読日記⑫

          眠れないなあ。 昨日は古本屋で3冊購入。 ①東山魁夷   日本の美を求めて ②ニーチェ ツァラトストラかく語りき ③有島武郎 惜しみなく愛は奪う 3冊で300円。 よい時代だ。 閉じたままだと、なんだかぶっきらぼう。でも、一度開くと言葉の宇宙が広がる。本というのは、不思議だ。 荒川洋治さんの詩集、「心理」を図書館で借りてくる。散文詩の世界だ。荒川さんの思考、情熱、感性に満ちた作品なので、すんなり入っていくことが難しい。詩は意味ではなく、イメージの文芸。荒川さんの作り

          積ん読日記⑫

          積ん読日記⑪

          青い空。 図書館へ行く。まず、ランダムに本を選ぶ。三木清、丸谷才一、柄谷行人。 で、適当に開いたところを、手書きで書き写す。ホントに適当に、パッと開いた部分を。手書きで。こころを込めて。 繋がりのない、文章ができあがる。三木清+丸谷才一+柄谷行人だから。でも、良いのだ!それで。繋がりがなければ、じぶんで勝手に作ればよい。それが、楽しい! 積ん読していた芥川也寸志「音楽の基礎」三浦雅士「バレエ入門」を読む。さいきん、芸術系の本を読むことが増えた。しらない用語がたくさん出

          積ん読日記⑪

          詩「はじめの言葉」

          どういうわけだろうか 静かなのに かえって 騒がしくなる 静けさが、積もる 納豆をかき混ぜ 朝飯、朝飯、と たった8語呟くだけでも 騒がしくするのは 朝なのか 納豆なのか 初源の言葉 言葉をもたない未開のひとびと かれら はじめて海を見たとき 何と言ったのか 納豆から海へ 海から初源へ 触手は伸び イメージは広がる 沈黙は降り積もるだろう 言葉をもたないならば、だ だが 内蔵は 脳は 手は震えたはずだ はじめて海を見たときに 真っ白な現実へ 叫びとして 呟きとして 傷をつけ

          詩「はじめの言葉」

          詩「食材の春」

          茨城大学のそば 小さなアパート 美しいおんなが住んでいた 近くには池があり 蛙が   ぜえぜえ鳴く以外に なんの取り柄もない場所  おんなは 粗末なかっこうを いつもしていたが(たまにブーツをはく) 艶かしく 蛇になり オスの蛙どもを 食い 吐き捨てる ああ! 秘密だ! 秘密が彼女に 艶かしさを与えた! 秘密を抱えたら 人は誰でも! 農学部在籍だった、という秘密 年上のおとこに 春を与え続けたという秘密 貧しい弟を 助けていたという秘密 仮面で顔をいつも隠していたという

          詩「食材の春」

          詩「土浦」

          3月21日 豪雨 傘をさした バス運転手がいた 妻に死なれ また妻をもらい 今日はバスの窓を割ってしまった すべての失業者は 運転手になるといい 雨のなか  眼を開けて言った(雨、止む) 運転手には苦労が多い バックミラーで眼が合う 客 この時代に生きている、ということ そして 死別 「太宰治と 宇宙物理学には 共通点があるんだ」と友人が話す 「ええっ?どんな?」世間の風向きとは別に 考えては見たが 豪雨は止まない バスが走る   鉄の体を震わせ 護謨車の足を踏みしめ 眼を

          詩「土浦」

          詩「生きて帰ってくるだけで豚」

          美しいもの 三つ教えてあげよう ひとつ 野間宏 ふたつ ブリューゲル みっつ 君だ 包囲された島で命からがらぼくは逃げてきた 爆撃はほうぼうに絶望を生み育ててゆき ついには ぼくの耳元で囁くのだ 失え、と ぼくが射殺したものたちの 息子たちよ娘たちよ 妻たちよ 親たちよ かれらを見守っていた 霊魂たちよ ぼくの眼からは ただひたすら光が失われてゆくから ぼくの身体からは 倫理と悪行の境界線が すっかり消えてしまった 油性焼夷弾が 燃やしつくしたのは ぼくの倫理を語る言葉と

          詩「生きて帰ってくるだけで豚」

          詩「シャボン玉」

          シャボン玉を買ったのは いつぶりか 泡が3人生まれた 3が道をよけ  2はうつむき よろけた1は弾けて 燃えた 消える わたしは 逸れる 大きな字を書いてみること これほど難しい ことはない 職場に睨まれたとき 小さな、小さな字を書いた あれから 10年たった 通学路のシャボン玉 10才のきみよ 字が おおきいな なら ばっちり男だ 背中をまげた わたしが言う 道をよけた さんにんめの泡が 肩にとまる 背中をつつく きみを ポケットに入れよう 触れたら はじけて 消え

          詩「シャボン玉」