たかあき

詩を主に書いてます。あと、読書のことなど。

たかあき

詩を主に書いてます。あと、読書のことなど。

記事一覧

詩「鯰」

お 鯰に乗っかられて 揺れることも 怒ることも できない朝  いっそ 魚になりたい、と 考え出したら 暮れてゆくだけ

たかあき
1か月前
8

詩「たこ爆弾」

よる疲れたら 部屋は地割れ 墨 薄墨の手 100本 血を吸うでもなく 撫でるでもなく 言葉の海をうようよ 漂い散歩

たかあき
1か月前
7

詩「魚爆弾」

鯛 鱒 鯖 鮭 おお 夜中静かに たたずむ 沈黙だ 眼球の言語を吐くなよ  発色の爆弾を 黙る君と 街の 隙間にぶん投げて 倒れる おれは 爆裂する

たかあき
1か月前
6

積ん読日記⑯

さいきんは、あまり詩を書いてない。 本を読み、気に入った文章を、紙のノートに書き写す。この作業を、ずっとやっている。自分の感性、ものの見方を鍛えたいからだ。詩を…

たかあき
1か月前
12

積ん読日記⑮

寒い。朝は。 分かる本、わからない本について。 分かる本→司馬遼太郎、石垣りん、吉野弘など。 わからない本→マルクス「資本論」、丸山眞男「日本の思想」、吉本隆明…

たかあき
1か月前
12

詩「インタビュー」

君に細胞はあるのか 君はビートルズすきか 麺は固めか へんな訛りだなあ クビになって ヒマなんだ だから君   インタビューさせてくれ 味に自身はあるのか 自分をカ…

たかあき
1か月前
8

詩「散歩」

左側がわにかたむいたヒトが 歩いてくる まけずに 左側にかたむきながら 歩く 彼にとっては右側にかたむいているが ぼくにとっては左側にかたむいている 鏡のような関係を…

たかあき
1か月前
10

積ん読日記⑭

寒い。眠い。喫煙。 昨日も古本屋へ。2冊購入。 ①新・反グローバリズム  金子勝 ②日本の近代美術     土方定一 2冊、千円かあ。うーむ。 言語への欲望が、…

たかあき
1か月前
11

積ん読日記⑬

寒い、寒い。煙草、うまい。 また、古本屋へ。週に何回いってんだろ、おれ。まあ、いっか。以下、本日の収穫です。 ①探求 I       柄谷行人 ②凡庸な芸術家の肖…

たかあき
1か月前
11

積ん読日記⑫

眠れないなあ。 昨日は古本屋で3冊購入。 ①東山魁夷   日本の美を求めて ②ニーチェ ツァラトストラかく語りき ③有島武郎 惜しみなく愛は奪う 3冊で300円。 …

たかあき
1か月前
20

積ん読日記⑪

青い空。 図書館へ行く。まず、ランダムに本を選ぶ。三木清、丸谷才一、柄谷行人。 で、適当に開いたところを、手書きで書き写す。ホントに適当に、パッと開いた部分を。…

たかあき
1か月前
6

詩「はじめの言葉」

どういうわけだろうか 静かなのに かえって 騒がしくなる 静けさが、積もる 納豆をかき混ぜ 朝飯、朝飯、と たった8語呟くだけでも 騒がしくするのは 朝なのか 納豆な…

たかあき
1か月前
9

詩「食材の春」

茨城大学のそば 小さなアパート 美しいおんなが住んでいた 近くには池があり 蛙が   ぜえぜえ鳴く以外に なんの取り柄もない場所  おんなは 粗末なかっこうを いつ…

たかあき
1か月前
7

詩「土浦」

3月21日 豪雨 傘をさした バス運転手がいた 妻に死なれ また妻をもらい 今日はバスの窓を割ってしまった すべての失業者は 運転手になるといい 雨のなか  眼を開…

たかあき
1か月前
5

詩「生きて帰ってくるだけで豚」

美しいもの 三つ教えてあげよう ひとつ 野間宏 ふたつ ブリューゲル みっつ 君だ 包囲された島で命からがらぼくは逃げてきた 爆撃はほうぼうに絶望を生み育ててゆき…

たかあき
1か月前
7

詩「シャボン玉」

シャボン玉を買ったのは いつぶりか 泡が3人生まれた 3が道をよけ  2はうつむき よろけた1は弾けて 燃えた 消える わたしは 逸れる 大きな字を書いてみること …

たかあき
1か月前
5

詩「鯰」



鯰に乗っかられて
揺れることも 怒ることも
できない朝 
いっそ 魚になりたい、と
考え出したら 暮れてゆくだけ

詩「たこ爆弾」

よる疲れたら
部屋は地割れ 墨 薄墨の手
100本
血を吸うでもなく 撫でるでもなく
言葉の海をうようよ 漂い散歩

詩「魚爆弾」

鯛 鱒 鯖 鮭 おお
夜中静かに たたずむ 沈黙だ
眼球の言語を吐くなよ 
発色の爆弾を 黙る君と 街の
隙間にぶん投げて 倒れる おれは
爆裂する

積ん読日記⑯

さいきんは、あまり詩を書いてない。

本を読み、気に入った文章を、紙のノートに書き写す。この作業を、ずっとやっている。自分の感性、ものの見方を鍛えたいからだ。詩を書くより、楽しい、と感じることもある。

X(旧Twitter)に詩を書くのも、さいきん嫌になってきた。Xには、雑誌で入賞した経験のある詩人もたくさんいる。そのなかには口の悪い人もたくさん。名指しではないけれど、しょっちゅう、他人の作品の

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積ん読日記⑮

寒い。朝は。

分かる本、わからない本について。

分かる本→司馬遼太郎、石垣りん、吉野弘など。

わからない本→マルクス「資本論」、丸山眞男「日本の思想」、吉本隆明。

僕は分かる本、わからない本も両方楽しんでいる。ふつう、分かる本のことを面白いとみんな感じるかもしれない。でも。それは本当にそうなんだろうか。

わからない本のなかにも、面白さを感じる、ということは十分にありえることだ。それは言葉

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詩「インタビュー」

君に細胞はあるのか
君はビートルズすきか
麺は固めか
へんな訛りだなあ

クビになって ヒマなんだ
だから君   インタビューさせてくれ

味に自身はあるのか
自分をカッコよい、とおもうか
漱石と春樹
どっちが天才だ
乃木坂46どうおもう
そもそもきみは
誰だ

詩「散歩」

左側がわにかたむいたヒトが
歩いてくる まけずに
左側にかたむきながら
歩く
彼にとっては右側にかたむいているが
ぼくにとっては左側にかたむいている
鏡のような関係を
お互いたもちながら
彼の顔は ぼくではなく
僕の顔も ぼくのまま

積ん読日記⑭

寒い。眠い。喫煙。

昨日も古本屋へ。2冊購入。

①新・反グローバリズム  金子勝
②日本の近代美術     土方定一

2冊、千円かあ。うーむ。

言語への欲望が、最近高まっている。貪欲にいろんなジャンルに手を伸ばしてる。趣味ではあるが詩を書いているので、どうしても語彙が欲しくなる。少ない語彙で詩を書けるほど、自分には才能はない。

ジャンルの壁を超えて読書すると、例えば「経済学の言葉を使って

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積ん読日記⑬

寒い、寒い。煙草、うまい。

また、古本屋へ。週に何回いってんだろ、おれ。まあ、いっか。以下、本日の収穫です。

①探求 I       柄谷行人
②凡庸な芸術家の肖像 蓮實重彦
③無門関

③は、「禅」の本である。たまには知らない世界を覗こう。

で、古本屋の近くには図書館がある。図書館に置いてあった「立花隆の本棚」を読んだり眺めたりする。立花隆の膨大な蔵書の数々。文学、歴史、脳科学、サル学、経

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積ん読日記⑫

眠れないなあ。

昨日は古本屋で3冊購入。

①東山魁夷   日本の美を求めて
②ニーチェ ツァラトストラかく語りき
③有島武郎 惜しみなく愛は奪う

3冊で300円。 よい時代だ。

閉じたままだと、なんだかぶっきらぼう。でも、一度開くと言葉の宇宙が広がる。本というのは、不思議だ。

荒川洋治さんの詩集、「心理」を図書館で借りてくる。散文詩の世界だ。荒川さんの思考、情熱、感性に満ちた作品なので、

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積ん読日記⑪

青い空。

図書館へ行く。まず、ランダムに本を選ぶ。三木清、丸谷才一、柄谷行人。

で、適当に開いたところを、手書きで書き写す。ホントに適当に、パッと開いた部分を。手書きで。こころを込めて。

繋がりのない、文章ができあがる。三木清+丸谷才一+柄谷行人だから。でも、良いのだ!それで。繋がりがなければ、じぶんで勝手に作ればよい。それが、楽しい!

積ん読していた芥川也寸志「音楽の基礎」三浦雅士「バレ

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詩「はじめの言葉」

どういうわけだろうか
静かなのに
かえって 騒がしくなる
静けさが、積もる
納豆をかき混ぜ 朝飯、朝飯、と
たった8語呟くだけでも
騒がしくするのは 朝なのか 納豆なのか

初源の言葉
言葉をもたない未開のひとびと かれら
はじめて海を見たとき 何と言ったのか
納豆から海へ 海から初源へ
触手は伸び イメージは広がる
沈黙は降り積もるだろう
言葉をもたないならば、だ
だが 内蔵は 脳は 手は震えた

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詩「食材の春」

茨城大学のそば 小さなアパート
美しいおんなが住んでいた
近くには池があり 蛙が  
ぜえぜえ鳴く以外に
なんの取り柄もない場所 

おんなは 粗末なかっこうを
いつもしていたが(たまにブーツをはく)
艶かしく 蛇になり オスの蛙どもを
食い 吐き捨てる

ああ! 秘密だ!
秘密が彼女に 艶かしさを与えた!
秘密を抱えたら
人は誰でも!

農学部在籍だった、という秘密
年上のおとこに 春を与え続け

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詩「土浦」

3月21日 豪雨
傘をさした バス運転手がいた
妻に死なれ また妻をもらい 今日はバスの窓を割ってしまった すべての失業者は 運転手になるといい 雨のなか 
眼を開けて言った(雨、止む) 運転手には苦労が多い バックミラーで眼が合う 客 この時代に生きている、ということ
そして 死別

「太宰治と 宇宙物理学には 共通点があるんだ」と友人が話す 「ええっ?どんな?」世間の風向きとは別に 考えては見

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詩「生きて帰ってくるだけで豚」

美しいもの 三つ教えてあげよう
ひとつ 野間宏
ふたつ ブリューゲル
みっつ 君だ

包囲された島で命からがらぼくは逃げてきた 爆撃はほうぼうに絶望を生み育ててゆき ついには ぼくの耳元で囁くのだ 失え、と

ぼくが射殺したものたちの 息子たちよ娘たちよ 妻たちよ 親たちよ かれらを見守っていた 霊魂たちよ ぼくの眼からは ただひたすら光が失われてゆくから ぼくの身体からは 倫理と悪行の境界線が 

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詩「シャボン玉」

シャボン玉を買ったのは いつぶりか

泡が3人生まれた
3が道をよけ 
2はうつむき
よろけた1は弾けて 燃えた 消える
わたしは 逸れる

大きな字を書いてみること
これほど難しい ことはない
職場に睨まれたとき
小さな、小さな字を書いた
あれから 10年たった

通学路のシャボン玉
10才のきみよ
字が おおきいな
なら ばっちり男だ
背中をまげた わたしが言う

道をよけた さんにんめの泡が

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