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文フリで買った本

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文学フリマで購入しておもしろかった本の感想です
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記事一覧

『ノクターン』感想

『ノクターン』感想

「ンーフーフーフー、フーフーフー♪
……歌はいいね、

歌は心を潤してくれる。リリンの生み出した文化の極みだよ。そう感じないか、……春谷晃子くん」
「ハイッ! 思いまーす! No Music, No Life! あっ、そういえばカヲルくん聞いてよ! こないだ『ピアノ』って小説を読んだよ。『ノクターン』っていう短編集に収録されているんだ。読みやすくておもしろかったよ!」
「……。そうか、そういうこと

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『ぬくもりあれば』感想

『ぬくもりあれば』感想


モラトリアムだったあの頃

モラトリアム――人生の猶予期間。
一般的に大学時代をこのように表現することが多いですね。
といっても私が大学生だったのはもう二十年ほど前なので、現在は価値観が変化しているのかもしれませんが、受験戦争から離脱し社会に揉まれるまでの、自由でお気楽な時期といえるでしょう。
もちろん、熱心に勉学や研究に励む大学生、将来に向けて自己研鑽を積む大学生も多数いらっしゃるでしょう。が

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『雨降りカンパニュラ』感想

『雨降りカンパニュラ』感想

綺麗なものには毒がある。

こんにちは。
退廃美やら禁断の匂いやら背徳感が好きな春谷です。
と同時に中世~近代にかけてのヨーロッパ文化も好きです。
学生時代は由貴香織里先生の漫画やMALICE MIZER(Gackt様がヴォーカルだった時代)にハマっていました。歳がバレる……

……とまぁ、そんな話はさておき(いつか耽美について語りたい)。

花と少年少女にまつわる短編集
『雨降りカンパニュラ』

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『20−1(ナインティーン)』感想

『20−1(ナインティーン)』感想

―終わりがあるから美しいのかもしれない―

こんにちは。
満開の桜よりも、散りゆく桜に心惹かれる春谷です。
永遠なんて存在しない。やがて終わってしまう、だからこそ恋の炎も燃え上がれば、芸術へのほとばしる情熱も生まれるのではないでしょうか……と昭和歌謡のような世界観を語っていますが、まさにこの世は諸行無常。

たとえば、近い未来に隕石が衝突して地球が滅びるかもしれない。

◆地球滅亡が目前に迫った夏

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『関西魂 はたらく妖怪』感想

『関西魂 はたらく妖怪』感想

『関西魂』とは、「関西作家志望者集う会」が年に一度刊行しているアンソロジーです。毎年一つのテーマがさだめられ、そのテーマに基づきプロ作家さんからアマチュア作家さんまでさまざまなジャンルの書き手が、思い思いの物語を創っていらっしゃいます。
『関西魂』の特徴は、参加者が他の参加者の作品に対して意見を出しあう「合評会」が設けられていること。合評会を通して作品をブラッシュアップした後に発刊となるため、完成

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