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なるべく上等な劣等感日記

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誰も劣等感を脱ぎ捨てることはできない。人生はけっして素晴らしいものではないが、どうせ生き続けなければならないのなら、なるべく上等な劣等感を身につけた方がいい。 ──吉行淳之介
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2018年1月の記事一覧

昼間に裸でマクドナルドを

たしか新世紀エヴァンゲリオンのマンガ版のワンシーンだったと思うのだけれど、葛城ミサトと加持リョウジが付き合っている頃に、ふたりして何をするでもなく、ずっとベッドにいて裸のまま触れ合っていることが幸せ……っていうエピソードがあった、はずだ。

年端のいかないぼくは衝撃を受けたらしく、そのちいさなコマの描写がつよく残っている。たしか、貞本版エヴァだったんだけど、ちがったらすみません。

そのシーンは憧

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新しい恋は、新しい街を知ることでもある

前日のボルダリングにより、上腕部に筋肉痛。一日くらい遅れてくるかと思いきや、しっかり翌日にいらっしゃった。年齢をかさねると痛みが遅くなったりするものだから、からだの素直さに嬉しくもなる。ペットボトルのキャップをあけるのに顔をしかめたりもするけれど……。

恋人と連れたって、高円寺を散策する。ぼくはずっと高円寺駅南口の商店街っていうのはアーケードの部分で終わりだとおもっていたのだけど、いやいや、そこ

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ボルダリングが流行る理由がちょっとだけでもわかった

壁を登るだけで何がそんなに流行ってるのかと思ったら面白いじゃないかボルタリング。初心者向けの体験コースに参加してみたら、想像以上に頭脳プレーだし、腕よりも脚が大事だったりするし、頭も体もどっちもフル回転で頑張るからすごく清々しい。

今回のボルタリングスペースは、壁にたくさん埋め込まれた足場(たしか、ホールドという)にシールが貼られていて、そのシールの順番にゴールまで登っていく。決められたルートを

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夜明け前のオフィスで仕事するのが好き

誰もいないオフォスが好きだ。夜遅くに飲んで戻ってきて、うとうとしながら仕事して、気づいたらテキトーなソファで寝ちゃって、目が覚めてまだ5時半とかで、しーんとしてて、また仕事に戻ってだんだん外が薄明るくなっていく、あの感じが好きだ。

たぶんそれはちょっとした感傷というか憧憬というか、いまのキャリアの始まりごろを思い出して懐かしんでるんだろう。まったくもって褒められることではないけど、いつまでもきっ

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センスをいかに磨くのか問題

一晩おいたシチューは、牡蠣とムール貝の味が染み渡っていて「貝の旨味が出てるでしょー!」と主張の強めな一皿になっていた。美味しいは美味しいのだけれど、ちょっとでしゃばりすぎな気もする。クレアおばさんの弱り顔が見える。ごめんね、クレアさん。

温め直したシチューとトーストだけのかんたんな朝ごはんだったけれど、ひとりでもくもく食べるよりは、恋人とすこしでも「貝の味がすごくなったね」なんて言いながら食べる

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「うっかり」を減らして「無駄」をする

午前中に出かける予定がないと、うっかりしてしまう。

うっかり、起きるのが遅くなったり。うっかり、ゆるゆるとスマホをながめてしまったり。今年は「うっかり」を減らしていくようにして、能動的かつ積極的に時間をつかっていきたい。していることは無駄なようでも、うっかりではなくて、「意思ある無駄」を過ごさなくては。

それは、クリエイターのハイロックさんが教えてくれたことだ。

https://www.li

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人間ぜんぶ「表」で生きてる

戸田真琴さんの写真展に赴く。レセプションパーティーで、たくさんの人が訪れていた。渋谷のギャラリー・ルデコの4階と5階にまたがった展示。アメリカのメンフィスを始めとした1週間のロケで、写真家の福島裕二さんや帯同スタッフが撮りまくった700枚にもおよぶ写真が飾られている。拝見して、カイユウのオフィスに帰ってから、記事にした。

http://kai-you.net/article/49838

今回の

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ラジオ、という予定不調和な旅

大雪のせいで午前中の予定がなくなって、そのぶん、遅れてしまっている対談構成を進める。光明きたる。どうにか走りきれそう。

午後からは、ばたばたと人に会ったりしゃべったりして過ごす。インタビューの協力(一人暮らしについて話した)、編集部会議、取材の打ち合わせ。くるくると動いていたら、あっという間に夜。

それから、1年半ばかり続いている編集者仲間の長谷くんとのPodcastを収録。第87回、88

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ショコラよ、おお、素晴らしき世界よ

東京に大雪が降る。まっしろな街で、傘のすき間に分け入るような雪を浴びながら、遠いとおい昔の恋をすこしだけ懐かしむ。雪国はこんなもんじゃなかったものね、と一人で勇ましい気持ちになりながら、寒風負けじと歩を進める。あれは18歳の頃だった。

神楽坂で打ち合わせを終えて、五十番の肉まんを頬張りながら、新宿へ向かう。入場チケットが余ったというので、ありがたく頂戴して、サロン・デュ・ショコラを初体験する。世

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恋と料理の相乗効果

難易度の高い対談構成の仕事があって、うんうんと頭を使いながら、洗濯機を回したりして、そわそわと過ごす。夜に、すこし久しぶりに恋人が家に来てくれる。会えてうれしい。といっても、10日くらいぶりなんだけど、ぼくはそれを「久しぶり」とすんなり書いているところは、どうにも胸がよじれる。

だれかのために料理をするのは、とてもたのしい。あれこれと献立を考えるのは、日常にある知的な喜びのひとつだ。

寒いから

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酒場で仲良くなるように「今」を見る

前日の取材疲れと酒が残っていたせいか、うつらうつら、10時すぎに起きる。たまっていたウェブ記事をチェックして、読みたかった本をめくり、部屋を片付け、Dr.Martensにクリームを塗ったりして午後を過ごす。仕事も、する。

こんなツイートをしたんだけど、自分が書かせてもらった記事で、瞑想の良さをクリエイターのハイロックさんが教えてくれた。「今」にフォーカスするのは、そのときにも出てきた話だったのだ

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東京っていう縮図のひとつのあなた

中野ブロードウェイに向かう「サンモール商店街」のローソンは、2階に電源を完備したイートインスペースがあって最高です。しかも、コンセントだけじゃなくてUSB給電口もあり。ぼくが中野民なら通ってるとおもう。

夜、ともだちが遠方から東京へ遊びに来たので会った。はじめて会ったのがいつだったか、何年前の季節だったかも覚えてないのだけれど、年に一度か、あるいはもう少し間隔が空きながらも、会えるときには食事を

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だめな僕でも、これなら痩せられる予感がしている

深い青色の、ワークコートを買った。厚手の麻でつくられていて、さっぱりした着触りで、見た目もどこか軽やかに感じる。丈が長くて、シルエットが縦長になるのも好みだ。ただ、これがもっと似合うなぁ、とおもえるためには、身につけるぼく自身がもうすこしスリムになっておきたいところ。

「よし、この服を着て、お花見したり、散歩したり、旅行したりするんだ」と頭のなかで、たのしいことをあれこれ考える。恋人にも笑ってほ

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期待なんてしない。してはいけない。

具合が思わしくなく、朝から伏せっていた。必要な仕事の連絡とかを済ませて、そのままじっくりした。

恋、について考える。すごく面倒くさい自分を嗤いながら、見えない相手の動向を案じるなんて意味もなくて、たどりついたのは「結局、自分を信じていればいい」という諦念にも似たことだった。

仮にぼくが相手のことが好きで好きで仕方なかったとしても、それがどう作用するかなんてわからないし、温度差は必ずある。だって

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