クラフトエヴィング商會

晴れた日でも

種村季弘(2010)「雨の日はソファで散歩」筑摩書房
を読みました。

最近はなかなかソファで本を読む時間がなく、行き帰りの電車の中で束の間の休息をたのしみました。

もともとちくま文庫が好きなのですが、そのタイトルと表紙に惹かれて手に取りました。そして読み終えて、奥付けや著者略歴を眺めていて、思わず車内で声をあげそうになってしまいました。
カバーデザイン
クラフト・エヴィング商會
私のこころを育

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『注文の多い注文書』小川洋子 クラフト・エヴィング商會

ええ、この本には見たことのない異国のチケットが挟まっていたのですよ。英語ではないようなのですが、$700と書いてあって。米ドルだとしたら日本円でおよそ7万円でしょう?7万円も出して一体どこに入るのかしら?・・・と書き出したくなるようなあるチケットが挟まっていたのだけど、それはまた後で。

『クラフト・エヴィング商會』は不思議なお店。なんでもあって、ないものだってあるらしい。そこには本にまつわる、普

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夢の商品カタログ「どこかにいってしまったものたち/クラフト・エヴィング商會」(1997年の書籍)

「クラフト・エヴィング商會」をご存じだろうか。明治に創業し大正昭和と駆け抜けて珍品奇品を寄せ集めた雑貨店である。本書は商會の蔵から発見された珍品やチラシや宣伝文句を掲載して往時をしのばせるノスタルジックな商品目録である。

取り扱い商品は多種多様で、地球の重力の強弱を読み取り「蝙蝠のように天井に立つ」ことを目的とした「硝子蝙蝠」。あらゆる物質を完全に癒着させる「瞬間永遠接着液」。心ウキウキの自家製

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雲を眺めるように本を読む

【とほん読書ノート006】

鉛筆は他のあらゆるペンを凌駕して、微妙な手加減による強弱がこと細かく反映される筆記具です。(中略)確かに鉛筆も偉大だけど、本当に素晴らしいのは人間の手による強弱の可能性なのです。(あとがきより抜粋)

 主人公は鉛筆工場に働きながら屋根裏部屋に住み、夜、窓から見える雲を鉛筆で描いています。吉田篤弘さんの小説はストーリーが日常を描くおだやかなものが多いですが、本書はその

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神様のいる街はここですか?

【とほん読書ノート005】

「文」と「本」と「旅」こそが自分を支えていた。「旅」を街に差し替えて「文と本と街」でもいい。自分が旅に出る理由は、いつも歩いているなじみの街とは別の街を歩きたかったからだ。 P37

吉田篤弘の小説が好きで読んできた。大正ロマン昭和モダンな雰囲気を持ち、ハイカラで西洋的な道具仕立て。少し気取った物腰をごく自然とまといつつ、どこか人懐っこい人たち。吉田篤弘が神戸を好きだ

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雲の結晶標本

『クラウドコレクター 雲をつかむような話』
クラフト・エヴィング 商會/著

学生時代に教えていただいてから絶大な影響を受けていた商會ですが、その実、物語は眠らせたままで写真だけを愉しんでいる本ばかりでした。これもその中の一冊で、雲砂糖の装置や飴のように味わう詩の結晶・涙の標本や睡魔を眠らせた枕など、画と設定だけでも十分に満足してしまえるもの。(読まずに放っていた言い訳ですね)
この頃空想に飢えて

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【お仕事】Numero TOKYOおすすめの6月の本

『Numero TOKYO』(扶桑社刊)公式サイトでの新刊紹介欄、今月分がアップされました。

今月ご紹介しているのは……

■伝説の幻想作家・山尾悠子先生の、実に8年ぶりとなる連作長篇小説『飛ぶ孔雀』(文藝春秋)

■エッセイ、連載小説、事典など、さまざまな形式で書かれた短篇作品を収録した、知的好奇心をくすぐりまくられる、吉田篤弘さんの『あること、ないこと』(平凡社)

■いつもは緻密なリサーチ

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