Dark City of GeistHeim-4

|ウォーバンド3 マーセナリー・ギルド|

 義勇兵、戦争の犬、ならず者、呼ばれ方は幾つもあるが、命を対価に戦う命知らずが傭兵達だ。
  今のガイストヘイムは傭兵たちにとって格好の稼ぎ場所だ。複数の勢力が様々な理由で、日々戦いを続けているからだ。傭兵たちにとっては雇い主を探すのに困らず、運がよければ莫大な財宝を手にはいる可能性すらある。傭兵たちは現在いくつかの勢力に雇われて、勢力の拡大や、探索を行

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魔法使いと竜の卵 −その5−ハーフリンク

竜の仔の物語 –序章– 魔法使いと竜の卵

−その5− ハーフリンク

 魔法使いは、近くで絶命しているハーフリンクのもとでしゃがみこむ。刺さる矢を抜き、仰向けにして瞳を閉じてやる。それから猟兵と共にいる杜の司を悲しげな顔で見つめる。

 「おまえは司であろう。これがどういうことがわかるな。」

 司は黙って頷く。猟兵たちは弓を構え、魔法使いから目を離さない。

 「ウリアレル殿ですね。」バンバザ

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ティルドラス公は本日も多忙③ 冬終わる日に人来たる(12)

第三章 二都の角逐(その3)

 戦乱の世に流言飛語は珍しいものではない。神が降臨して民を救う、末世が終わり万人が天の裁きを受ける日が来る、乱世を平らげる聖王が現れる、といった浮世離れした話から、穀物の値段が何倍にも上がる、隣国の兵が攻めてくる、地震や洪水が起きる、などの身近な内容まで、様々な流言が人々の口に上り、多くはいつの間にか消えていく。
 しかし消えずにいつまでも残るものもある。そうした中

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Dark City of GeistHeim-3

|ウォーバンドⅡ ナイト・オブ・ザ・レリック|

「己の魂以外、己のものとなすなかれ」放浪騎士の歌の一節
 大陸の南には騎士が治めている王国がある。建国王は偉大な魔法使いと湖の淑女との騎士の誓いにより、誇り高い騎士達の王国を建国した。王国は武勇に優れた騎士たちの活躍で、現在も南に向けて国土を広げている。
 騎士が求めるものは「誉」と「聖遺物」だ。誉とは戦いでの戦功であり、聖遺物は過去の偉大な騎

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魔法使いと竜の卵 −その4−追う者、追われる者

竜の仔の物語 –序章– 魔法使いと竜の卵

−その4− 追う者、追われる者

 守りの魔導師ミダイは、いつものように学園の正門の前に座っていた。雨上がりのよく晴れた陽射しが老いた小さな身体を温めた。老人は五十余年もの間ずっとそうしてきた。そこにただ座り、学園を守り続けていた。

 ふと、ミダイが街へ続く坂道を見ると、誰かがこちらへ歩いてくる姿が見えた。眼を凝らしてみると、それがこの学園の長であるこ

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◆気がついたらスキをつけていた記事まとめ53◆

おれだ。溜まったのでやる。夏コミとオーボンが過ぎ去り、台風も日本海へ過ぎ去って行った。風雨が熱波を連れ去って少しは涼しくなるだろう。おれは無事だが大雨や強風、土砂崩れに警戒しろ。田んぼや水路を見に行くな。君子は危うきに近寄らず、パンサーにヘンゲヨーカイして臨機応変に状況判断する。だが室内にいてさえ低気圧の影響で体調が優れなかったりはする。嵐が過ぎ去るのを待つしかない。人類はまだ自然に勝てないのだ。

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Dark City of GeistHeim-2

|ウォーバンド1 冒険者ギルド|

 冒険者ギルドは百年前の「魔神戦争」の際に、救国の為に戦った人々が結成した民間の組織である。民が魔神により多くの被害を受ける中、当時の国やその統治者たちは、国の思惑により対応することができなかった。惨状を憂えた各国の騎士や兵士、神官、魔法使い、果ては傭兵や盗賊達までが集まり一致団結して戦いに挑んだ。魔神との戦いに勝利したあと、生き残った人々が結成したのが「冒険者

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魔法使いと竜の卵 −その3−レムグレイドの猟兵

竜の仔の物語 –序章– 魔法使いと竜の卵

−その3− レムグレイドの猟兵

 「もうお帰りですか。」サァクラス・ナップがウリアレルに近づき、声を掛けてくる。

 「ああ、師が居眠りをはじめてしまったのでな。」

 そう言いながらウリアレルは若き女魔法使いを観察する。整った顔立ち。浅黒い肌。両方の目元には赤い入れ墨が口元まで引かれている。なんでもそれは、タイロン人の奴隷の印だそうだ。

 「そうで

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[小説]ユナヘル あらすじ

ウルド国の王位継承争いに敗れたメィレ姫は囚われ、いまや処刑を待つばかりとなっていた。

少年兵のユナヘルは、ちっぽけな魔法具を手に姫を助け出そうとするが、敵の反撃に遭いあっけなく殺された――はずだった。

気が付けば、殺される直前の場面へと時間が戻っている。

何が起きているのか。なぜ時間が戻るのか。

「巻き戻る時間」を武器に、ユナヘルはたった一人、戦いを始める。

第一章 小さな反抗者①

目次とあらすじ

 ユナヘルは石に閉ざされた夜道を走っていた。

 胸が苦しくて、頭はくらくらしている。

 喉の奥からせりあがってくる悲鳴を飲み下すのに必死だ。

 大通りを避け、果物屋の角を曲がり、入り組んだ裏路地に逃げ込む。

 夜道を歩く物乞いが、何事かとこちらを見た。

 街灯から遠ざかり、より深い暗闇の中へ身を投じていく。

 脚を止めることは出来ない。

 追っ手の気配はすぐ背後まで

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