社会の役に立っている実感のこと

6月某日

編集者さんと打ち合わせ。12月刊行予定の長編小説について。

なんだか調子が悪い日で、ぼんやりして財布を家に忘れ、半泣きで家に戻り、電車に乗ったら明治神宮前で降り過ごして20分遅刻。死にたい。死にたいけど死ぬほどお腹が空いていたので待ち合わせのお店でフレンチトーストを食べた。美味しかった。AALIYAのフレンチトースト、むっちゃふわふわ。

プロットにひねりがない事を心配して今まで最終

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亀はウサギに憧れるし、ウサギは亀に憧れる

旅先の出会いって不思議だ。目を見ただけで、言葉も交わす前から「あ、この人」と分かってしまう相手がいる。

6月某日、原稿を書きにホイアンのアンバンビーチのカフェSound of Silenceへ。

名前の通り、目の前がビーチで、波の音しか聞こえないとても静かなカフェだ。

ココナツコーヒー片手に海の見えるテラスに行くと、一番眺めのいい席に、綺麗な金髪の、白人の女の人が座っていた。

私は正直、ゆ

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六月大歌舞伎 遊ぶように仕事する

さて、6月17日、2回目の歌舞伎鑑賞。
三谷幸喜 作・演出の「「月光露針路日本(つきあかりめざすふるさと) 風雲児たち」。
もう一回観たいなぁと思いながらネット検索したところ、一幕ずつ見ることができる「一幕見席」という当日券があることを知る。4階席のため、役者の細かい表情までは見えないが、舞台全体が見渡せる。そして、何より、値段がお手頃。通しで購入しても4千円だ。
ということで、初鑑賞から2週間弱

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専門学校に行きたかった話

SNSを眺めていたら、写真家の荻野直之さんのウェブサイトが流れてきたので、久しぶりに彼の作品を見る。

荻野さんは医大を出た後、電通に勤めて、辞めて、写真家になった。

インドネシアの奥地のシャーマンの写真や、ウズベキスタンのバレリーナの写真、京都の祇園の置屋での舞妓さんの写真など、神秘的な女性を中心に撮り続けている。

窃盗で逮捕された元彼の知り合いで、紹介してもらって仲良くなった。

私が最初

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ソウルと印税

6月某日

2泊3日の弾丸ソウル。ソウルに来るのは4回目で、しかも初めて来たのは30代になってからなのに、なぜか毎回「なつかしい」感じがするのはなぜだろう。かくかくの文字、赤や黄色の派手な照明、路上に面した店から溢れるキムチと豚肉の匂い、バケット山盛りの甘辛いフライドチキン、路上に放り出された一着100円の古着。眠そうな顔に丸メガネをかけ、深夜中繁華街をうろつき回る人々。硬質な電子音。

故郷でも

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”言葉にならない”時間の価値

クリエイティブライティング講座で名古屋へ。

講座の中で、私はいつも

「できなくてもいい。創作をするとき、最初の着想を得てから、それが作品として形になるまでの"タイムラグ"は人それぞれだから、すぐに書けなくても気落ちせず、自分のタイムラグを探るつもりでやってほしい」

と生徒さんたちにお伝えしている。

文章を書くとき、テーマを与えられてから、ものの数分で取りかかれる人もいれば、半日、1日、また

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時代が俺に追いつく気持ちで

小説「ピュア」がSFマガジンに掲載される。

この小説は私が3年前に初めて書き上げた小説で、「メゾン刻の湯」よりも前で、特にどこに出すあてもなくて、一人でなんどもなんども改稿を繰り返していた作品だったので、今回掲載していただけて大変、嬉しい気持ち。

第一稿を書き上げた当時、オープンリーレズビアンである友人兼編集者に見せたところ「こんなテーマ、書いたのが村上春樹でも私は読まない」と一蹴され(彼女は

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感情をやりとりしないでいるうちは、人間は仲間にはなれません

自律神経がガタガタなので数年前からお世話になっているカイロプラクティックの先生の所に行く。

先生は、うーんと、どこで知ったのかは忘れちゃったんだけど、その人の身体の悪いところを1発で当てることで有名な先生である。「絶対触感」の持ち主で、相手の頭蓋骨を指先で軽く触るだけで、その人の現在の状態やメンタルの不調を見抜き、それがどこから来ているのかを言い当てる。それだけ聞くと「やだ、オカルト」ってなるん

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4月の断片その①

3月某日

自分が連載していた媒体がなくなるのは悲しい。すごく悲しい。今まで自分がやって来たことが全部無に帰したような気になる。そんなわけないのに。誰も悪いわけじゃないけど、とてもとても悲しい。

3月某日

K社の編集者さんと打ち合わせ。会議の途中、
「BL原作のプロットを書いた事があるのですがハードすぎてウチの媒体じゃ掲載できませんと言われてしまって…」
と言ったら
「え、せいしかける系ですか

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テイク ユア タイム

普通ってなんだろうな。ふとそう思うときがあります。
普通フツウふつう‥‥ゲシュタルト崩壊が起こりそうなので、辞書でしらべましょう。

ふつ-う【普通】(副詞的にも用いる)①ひろく一般的であること。多くにあてはまること。
②どこにでも見受けられ、他と特に変わらないこと。
(広辞苑第七版より)

一般的、多数派、変哲のない。まぁ思った通りですね。

先週、大学の卒業式に参加しました。僕は関西のとある大

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