記憶喪失の男

男性「私が最初に意識を取り戻したとき、とにかく怖かったのを覚えています。自分の周りに見知らぬ人たちがいて横たわっている自分を見下ろしているのです。この人たちは自分を傷つけるのか、それとも助けてくれるのか分かりませんでした。彼らが何者なのか、自分が一体どこにいるのか、自分自身が何者なのかさえ分からず混乱しました。その時自分の頭は真っ白になっていたのです」

怖いです…、怖いです…と繰り返す彼に、病院

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020 月ヲ見上ゲタ

カチカチカチ

僕はPCの操作をしながら旅館のシステムを見ていた。

もともとIT系の仕事をしていた彼のメモリーをもってすれば、大したことなさそうだ。でも、僕自身が何かに興味を持ってしまうと、そこで全部がストップしてしまう。気を付けなければ。

そんなことを考えながら、あれこれ操作していた。西藤さんたちが帰った後のオフィスは静かだ。

そうだ、明日から勤務だ。帰ろう……

僕は、残って勤務をしてい

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記憶喪失

昨日ニュースで誰かが言っていた
スクープが思い出せない
どのチャンネルでも口を揃えて
同じようなこと言っていたのに
いつの時代か偉い人が言っていた
言葉が思い出せない
どの教科書を開いても
同じページに書いてあったのに

思い出そうとすればするほど
記憶喪失

僕を本当に心配してくれる友人の
言葉が思い出せない
どの友人に尋ねてみても
同じようなこと言っていたのに

思い出そうとすればするほど

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たそがれ時のこいきなRADIO vol.13

令和になっての一発目の更新になります、第13回。
「たそがれ時のこいきなラジオ」
東京と仙台より不定期に発信しています。
詳しくない!どうしようもない!
そしてちょっぴり切ない!昭和の懐かしい
お話しにどうぞおつきあい下さい。

VOL.13のお題
◆昭和の夜人知れず泣いたシリーズ
飛行船ヒンデンブルク号爆発事故
◆あこがれの・スター・ふぉー・ミー
ピンクレディ
◆あ~。そういえば 1
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平成から令和へ(デフラグ編)

楽しみにしていた。令和になる瞬間。
しかし、どのように過ごしたのかは覚えていない。

ただ、朝起きると段々と爽快な気持ちが戻ってきていた。
なぜなら、前日の記憶がちゃんと定着しているのだ。

5月1日には、4月30日のことを思い出せるようになっていた。

このnoteに書いているのは、4月28日以降の自分の録音をもとにしているのだが、そのようにして外部記憶に残したものについては、特に翌日朝、ちゃん

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平成から令和へ(フラグメンテーション編)

4月30日。

記憶の断片みたいなものが出てきた。
新しく記憶したものも含まれているかもしれない。

何かのワンシーンだけ出てくる。

きっかけは、大学の授業だった。

4月26日金曜日午前。
ダイバーシティ入門の授業をしていた。
自分で書いたブログを繰り返して読みながら、これは一体どういうことなのだろうと、頭の中は疑問でいっぱいだった。

たしかに、Nさん&Iさんの写真を学生に見せて、ステレオタ

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平成から令和へ(外部記憶編)

何度カレンダーを見ても、誰に聞いても、今日は4月29日。
最初は連休に入っていることも納得できない。
2019年4月末という事実が受け入れられないのだ。

それでも、受け入れるしかない。

幼馴染のRさんに連絡し、ヘルプを頼んだ。
支離滅裂なわたしの話を1時間ほど聞いてくれた。
自分の現状を話したところ、根拠なく?大丈夫だと言ってくれた。
医師でも看護士でもないが、病気や怪我に詳しい。

同じチー

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平成から令和へ(キャッシュメモリ編)

目が覚めたら 4月28日日曜日のお昼。
本当は朝から 打ち合わせがあったので出かけているはずの時間。
わたしはまだベッドにいる。
記憶が曖昧で、いや違う、記憶がなくて
前の日に何があったのか
その日に何があったのか
わからない。

今日は何日か、聞いてみた。
4月28日。

あれ?なんかおかしい。
ゴールデンウィークの日付だけど、そうだっけ?
わからない。
そして、ここはどこなのか。

なんと、自

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小説「モモコ」第4章〜猿丸の激怒〜 【17話】

でも、本当は止めるべきだったのかもしれない。

 UFDで分娩されたモモコちゃんは、ある異常を抱えていたの。その異常に気がついたのは、モモコちゃんが生まれて二週間ほど経ったときだった。

「パ……パ」

 彼女は生後二週間で、意味のある言葉を喋った。父親という概念を理解していたのかはわからないけれど、少なくとも犬養君が「パパだよ」と話しかける様子を見て、自らの意思で発話してみせたのよ。

 そう、

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