たなかひろあき

謎解きゲームをたくさん作っています。

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最近の記事

【制作者向け】謎解きの想定プレイ時間はどうやって設定すべきか問題についてのメモ

持ち帰り謎クリアツイート界隈では、「設定時間2時間って書いてあるのに30分でクリアした!」という、喜びか怒りか自慢のいずれかに該当する、プレイ時間とのズレを題材としたツイートが1日に1度は散見されます。 そのツイートの内容如何はまあお好きにしていただいてというところなのですが、「なぜその想定プレイ時間で行けると思った…?」という商品があることも事実。特に謎解きというのは購入前に中身を把握することはできません。数行のあらすじとビジュアル、プレイ時間や難易度で商品の購入を決めな

    • たなかの日記 5/1 封筒の開け方がいまだによく分からなくてビリビリにしちゃう

      コンビニおにぎりはきれいに開けられるように日々進化しているのに、なぜ封筒は進化しないのだろう。 「褒める」の話。 トップARGクリエイターの本の日本語訳版。後半はちょっと日本の事情とは違うため役に立たなそうだったので読んでないのだけれど、謎解きを含むゲームづくりに役に立つことが最初の方に書かれている。 簡単に言うと、人は褒められたい、ということだ。 「褒める」というと「脱出成功です!おめでとうございます!」のような、ゲームの最終目標達成の「褒め」を想像するかもしれない

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      • たなかの日記 4/17 背中が痒いがどこが痒いかいまいち分からない

        日記というか思いついた小咄を書くnoteになっているけどまあいいか。 謎解きを作るにあたっての切り口の話。謎解きを作る人は大体の人が分かってるけど文章にしていないので、ここで定義してしまう。「帰納謎」と「演繹謎」だ。 「帰納謎」は「世の中の事象を切り取って図示し、単語になるように文字を拾わせる」ものをベースとしている。別名「ナゾトレ謎」「ひらめき謎」。個人的には「セカイ系謎」と呼んでいる。この形式はぱっと見の印象が良いため、今や一枚謎のスタンダードになっている。例えばこう

        • たなかの日記 4/12 「右」をもう「ナロ」としか読めなくなってきている

          日本語ってなんで読めるんでしょうね。不思議。 これはブレストのときにはよく言うのだが、世の中にはそんなに言ってないのでメモ程度に書いておく。なんかものをつくるというか組み立てるときに意識しているのが「『知らん』を3つ以上重ねない」ということ。 「知ってる(興味ある)」「知らない(興味ない)」というのは非常に主観的な基準だと思うので、審査的な基準で考えると論理的に既に破綻している。ただ感情的にはなんとなく分かるので使いやすい例えだったりする。 要するに「知らん奴×知らんモ

        【制作者向け】謎解きの想定プレイ時間はどうやって設定すべきか問題についてのメモ

          たなかの日記 4/8 適当な文字を入れるときは「トリンドル」って入れる

          「人生のスタンプラリー」という表現をよく使う。 「仕事とは関係ないプライベート的なところで触れていた個人的に思い入れのあるエンタメなどに作り手側で関わる」という意味、人によっては「実績解除」とか「トロフィー」という表現がされていたりもする。 さすがに10年コラボ系のイベントをやってるし、実績を積めば詰むほどコラボのお誘いやきっかけが増えていく。なのでスタンプをもう押し切ってしまった感があったのだけど、久しぶりにスタンプが押せそうな話が出てきた。どうなるか分からないけどいっち

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          たなかの日記 2022/4/3 雨は意外と長く続いている

          なんか年度も変わったので、謎づくりもなんかやる気スイッチがいまいち入ってこないので日記を書いてみようと思ったわけです。 日記自体は別アカウントで4年前とかに1ヶ月ぐらい書いてたものの、いまやそのアカウントへのログイン方法を探すほどはやる気があるというわけでもなく、かといってダラダラとネットサーフィンをしながら経験値としては何も残らない細切れの作業をやりつづけるというのもいまいち乗り気でなく、シナリオ書いてるテイでなんやかんやマウンティングを取れるほど日常的に文章を書いている

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          2021年に作った謎解き振り返りなどのまとめ

          皆様お疲れ様でございます。2021年もなんとか謎解きで生活していけましたということで、皆様ありがとうございました。 謎解き界隈ではそれまで松丸亮吾一色だったTV界隈に関して、謎界の嵐(堺谷光・常春・無策師・矢野了平/五十音順)の皆様やタンブルウィードさんをはじめとした制作者陣、はたまた謎好きのタレントさんやテレビ局員さんの尽力でTV番組のバリエーションが非常に増えた一年だったと思います。これは視聴率のコアターゲットの若年化だったり、企画を作る局員や放送作家の方々が年齢ととも

          2021年に作った謎解き振り返りなどのまとめ

          2020年に作った謎解き振り返りなどのまとめ

           本年もありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。 というわけで、今年の振り返りをざっとしていきたいと思います。  とりあえず2020年、コロナにより他社の例にもれず謎解き事業は冬眠状態に陥りまして、3月に実施する予定だったイベントも延期となり、開催日は未だ決まっておりません。例の少年探偵の映画も同じく延期、大量に作った謎ファイルは行き場を失ったまま1年間倉庫に死蔵される運命となりました。  とはいえ、謎解き事業自体はぼくの会社の20ぐらいの事業のうちの一つ

          2020年に作った謎解き振り返りなどのまとめ

          最後まで遊んでもらうための「持ち帰り謎」や「LINE謎」のちょっとしたテクニックについてノウハウを共有するメモ

           はいどうも。  ※この記事は緊急事態宣言真っ只中の5月15日頃に書き始めたのですがいろんなやる気や眠気や他の締切や予定などの兼ね合いのなかで少しずつ少しずつ書いていたため、すこしだけ時流とずれてしまいました。そのあたりを考慮しながら読んでいただければと思います。  ここ数年、業界トップの会社様はもちろん、その手のひらからこぼれおちた案件をゲットした周辺会社のみなさまや演劇イマーシブ系はたまたLarpやYoutuber/Vtuberなど、他の業界の人々の流入が発生しイケイ

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          2019年に関わった謎解きを振り返る

          ■去年の同名タイトル記事はこちら 去年もやったので今年もやりましょうということでね、  今年は謎ファイル屋さんの一年でした。あと謎解き側の人員が削られたりあそびファクトリーブランドに物販チームが融合したものの、そちらがいろいろトラブルに巻き込まれてあそファクちゃんの評価が腐女子の皆様からゴリゴリ下がっていったりしていますがみなさまはいかがだったでしょうか。※あのロゴの上に乗っているキャラクターは「アソビーくん」と言います。  謎解き側としてはホール型の新作イベントを一本

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          【謎制作者必読!】1枚あたり約30秒であなたの作る謎解きのクオリティが劇的にアップするたった一つの冴えた方法

          釣りタイトルを書きたかった。  本当は「あなたの作る謎解きのクオリティはなぜすべからく低いのか」みたいなネガティブ方面のタイトルにしようかなと思ったものの、そのタイトルだと「おれの謎解きはクオリティ高いから読む必要ないしこいつ死ねばいいのに」ってなってしまってこちらに得が一つもないのでポジティブ方面に切り替えることにしたのです。  さて、すでにあなたはここまでで30秒程度を費やしている可能性が高いと思うのですがそちらの世界は朝ですか昼ですか夜ですか。こちらでは朝でも昼でも

          【謎制作者必読!】1枚あたり約30秒であなたの作る謎解きのクオリティが劇的にアップするたった一つの冴えた方法

          ARGゾンビ〜国産ARG10周年によせて〜(※2021年12月12日改定)

           10年前、あの土地にはRYOMAというお屋敷が建っておったのじゃ。それはそれは沢山の人が関わっておってのう・・・偉い学者先生が日々研究を重ねておったのじゃ。「あじのひらき」という者が様々な交通整理をしてそれはそれは良いお屋敷じゃったという。  やがて、その研究に魅せられた者たちが、RYOMAと同じようにその土地に思い思いの建物を建てはじめたのじゃ。お屋敷を建てる人や、それを見学する人で一時期は多くの人々で賑わっておった。平日休日問わず訪れる好事家、すなわち「こあゆーざー」

          ARGゾンビ〜国産ARG10周年によせて〜(※2021年12月12日改定)

          結局「謎解きイベント/リアル謎解きゲーム」って制作費いくらで作ってくれるの?(2024年3月追記)

          (2024年3月追記)  検索から来ている方も多いと思いますので、信憑性を高めるために自己紹介をさせていただきます。私は2011年から謎解き制作を生業としているたなかといいます。企業ではYTEという会社で謎解きプロデュース・制作を行いつつ、国際ゲーム開発者協会日本(IGDA)のSIG体験型エンタメ(SIGイマーシブ)にて副世話人を務めており、企業の枠を超えて業界の動向を観測しています。なので、自分の会社の営業アピールはそこそこに「謎解きを導入すれば大儲けできる/凄い集客ができ

          結局「謎解きイベント/リアル謎解きゲーム」って制作費いくらで作ってくれるの?(2024年3月追記)

          2018年に関わった謎解きを振り返る

          今なぜこんなことを書き始めているかというとなんかやらなきゃいけないことがあるんだけど気が向かないままぼーっと数時間経ってしまっているのですがやる気というのは永遠に出てこないと言うかやり始めないとやる気というのは出てこないという話がまことしやかに囁かれている昨今なのでアイドリング的に書き始めて見ようかと思った次第なのです。 というわけで2018年振り返りです。 ■陰陽師「邪神封印」 https://www.yte.co.jp/asobi/event/detail.php?i

          2018年に関わった謎解きを振り返る

          謎解きイベントの作り方(アクロバティックver)

          はい。  書き出しで「他人とちょっと違う自分を演出しようとしていまさら小林銅蟲文体に乗っかってテキストを書く人の痛さ」について書いたんですが、よく調べたらこの文体自体がもともと違うところからの源流だったらしく、結局よくわからなくて途中でやめました。意味がなさすぎて震える。あなたは、意味ですか? ※この記事は謎解きについて書きたいことを書こう Advent Calendar 2018(https://adventar.org/calendars/3438)の一環として書かれ

          謎解きイベントの作り方(アクロバティックver)

          クレジットの見方が分かるとイベントの見え方がちょっと変わる

           たとえばコラボの謎解きイベントの場合、「なんで(任意のコラボコンテンツ)をSCRAPに依頼しなかったのか」「(任意のコラボコンテンツ)はSCRAPに作ってほしかった」とかよく聞きますよね。そのたびに我々2軍連合はいつも心を痛めているのですがその話は呪い紙に書いて燃やして天に召したのでその呪いはいつか誰かのもとに届き未来永劫お前を苦しめるだろうということなので割愛いたしまして、もともとそういう座組じゃないんだよっていうこともあるので、ちょっと書こうかなと思っている次第です。

          クレジットの見方が分かるとイベントの見え方がちょっと変わる