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世界最強の映画監督 ジェームズ・キャメロンとは

どうも、『アリータ バトル・エンジェル』の公開が待ちきれないキャメロンフリークの映画監督・ホラナイです。

まず、この画像をご覧ください。

Box office mojoという映画興行のデータベースサイトの
All time worldwide、つまり全世界歴代興行収入ランキングです。

軒並み原作が続編が並んでますけど、ブチ抜きワンツーフィニッシュかましてるのが『アバター』と『タイタニック』です。

どちらも監督は…そう、

ジェームズ・キャメロン。

しかも両作とも、続編でも原作の映画化でもありません。

僕はちっさい頃からジェームズ・キャメロンの映画がいちばん好きなキャメロンフリークですが、それを差し置いても、だからキャメロンは最強と思ってます。

彼は"オリジナル"で、"当たる"映画をつくって、技術的にも映画を大きく更新してきたから。

映画づくりに足を突っ込んでからいろんな人とお話してると、"●●のファンを持ってこれれば"とか、"原作と俳優がセットでないと数字が読めない"という、どこかに既にあるファンの群れを餌と網でかっさらう、のっかり商売が正攻法だということが身にしみてわかります。

そういうことがわかってきてからあらためて思います。

キャメロン、あんたはすげーよ。


大ファンの俺ですら『アバター』が『タイタニック』を抜くとは思ってなかった。

キャメロンが好きで、B’zが好きで、と言うと広告界隈ではちょっと
「タイタニックwww」「ビーズwww」という風潮があるような感じもしますが…声を大にして堂々と好きなもんを言っていたおかげで、まわりのみんながそれに近い仕事に自然と近づけてくれるようになりました。

メジャーな映画のCMとか、メジャーな映画の予告編ぽくつくりたい、という仕事とか、B’zっぽい仕事とか。

好きなものは好きと言える気持ち抱きしめてたいですねどんなときも。
それをハッキリと意識して主体的にやるようになったのも、キャメロンのおかげです。キャメロンに関する本で、こういうタイトルの本があるんです。

「ドリーミング・アラウド」


夢は口に出すべし、叶うから。といったところでしょうか。もうTシャツにプリントして毎日着たいくらい自分に刷り込んでる言葉です。

ほんとはそもそもキャメロンがどんなに最高かを事細かに語りたいんですが、5万字くらいになりそうなのでやめときます。
作品を追うならWikiで確認してBlu-rayで観ればじゅうぶんです。
Wikiでは掘れない、そしてこの世にまだ存在しない、自分が書く価値のある究極のキャメロン記事…。

というわけで、

「日本で読めるジェームズ・キャメロン関連本まとめ」

にしました。猛烈に個人的に語り尽くします。

では、スタート!

【キャメロン本人篇】

①キャメロンというアーティストのベストアルバム

フィルムメーカーズ④ ジェームズ・キャメロン
石上三登志(編)
(1998/キネマ旬報増刊)

自分のジェームズ・キャメロン学はここから始まったと言ってもいいでしょう。
B’zで言うところの金盤B’z The Best "Pleasure"にあたります。いわゆるベストアルバム。

1998年、中1のときにこの本とB’z The Best “Pleasure”を血液に注入した残りカスがいまの洞内広樹の主成分と言っても過言ではありません。

〈概要〉
キネ旬増刊フィルムメーカーズシリーズは他にもリュック・ベッソン、タランティーノ、リドリー・スコット、デイヴィッド・リンチ、ティム・バートン、ジョン・ウー、宮崎駿、北野武が出てますが、『タイタニック』の大ヒットに合わせて1998年に出たのかこのキャメロン篇です。
監督軸でフィルモグラフィーを徹底解説。生い立ちや作品の基本情報から裏話、関連人物一覧など驚異的な情報量。キャメロン篇に関してはちゃんとユニバーサル・スタジオの『T2 3D』もフィルモグラフィーに入れてるのがポイント。(是非再開してデビッド・フィンチャー版も出してもらいたい。ね、キネ旬さん)

何度も言いますが音楽アーティストで言うところの、"ベストアルバムで勉強する"的なことがこの本でできると思います。キャメロンのフィルムメーカーとしてのキャリアは一度『タイタニック』でゴールしてると思ってる(そこから『アバター』まで12年空いたし、最近はもはや研究開発の一貫としてついでに映画つくってる感じ)ので、『タイタニック』までのキャメロンが事細かに記されているこの本で、ほぼキャメロンのことはわかるんじゃないかと。

〈見どころとか思い入れとか〉
1作ごとにゲスト(金子修介さんや原田眞人さんなど)を変えた石上さんの対談に加え、もう1周今度は作品ごとに筆者がたった細かな解説・批評が載っているところ。
広く浅くキャメロンのことがわかるWiki的な機能もありながら、ある人の視点から見たディープな分析がたくさん載っていることで、立体的にキャメロンのフィルモグラフィーを理解できたような気がします。

あとキャメロンがこだわってたスーパー35についての解説で、『アビス』の大事な場面で劇場版ではシネマスコープで引きを見せてたのに、左右がカットされるVHS版ではその引きの左右をカットするんじゃなくて、人物のヨリカットに差し替えたという指摘に、映像体験をメディアの特性に合わせて丁寧に追求するキャメロンの仕事人っぷりを知りました。

この本を初めて読んだ中1のときは『タイタニック』に関する対談での石上三登志さんの

"記号化されたキャラクターが背負っている物がいっぱいあるからメタファーで頭がグラグラしてくる"

というコメントの意味が全くわからず、「記号化?メタファーってなに?なんで頭がグラグラしてくるの?」と思ってましたが、いま読み直すとフムフムです。

②キャメロン少年の『成り上がり』伝記


ジェームズ・キャメロン 映画と人生 -ドリーミング・アラウド
クリストファー・ハード(著)/比嘉世津子(訳)
(1999/愛育社)

〈概要〉
はい、ぼくの座右の銘のひとつ、"Dreaming Aloud(夢は口に出すべし、叶うから)"の元ネタですね。(ちなみにもうひとつの座右の銘はB'zの『RUN』の歌詞、"人間なんて誰だってとてもふつうで 出会いはどれだって特別だろう")
キャメロンの映画作品を客観的に分析した①と違って、ジェームズ・キャメロン君というひとりの空想科学少年がアカデミー監督賞をとるまでの成功物語です。

まえがきには

"一人の普通の若者が、並外れた才能と迫力で、たちまちハリウッドを魅了した物語である"

という素敵な文がありますが、並外れた才能と迫力がある時点で普通の若者ではないような…まぁいいか。

矢沢永吉さんの『成り上がり』のキャメロン版といったところでしょうか。本人書いてないけど。『成り上がり』読んだことないけど。すいません。キャメロンはご健在だけど、この本はもはや伝記です。

〈見どころとか思い入れとか〉
筆者は21歳で映画の脚本を書いていたときに劇場で観た『ターミネーター』に衝撃を受けたというだけあって、キャメロン少年の物語は熱を持って伝記のように語られるのですが、要所要所にキャメロンへインタビューした本人コメントが入ることで、うまく信憑性も担保されてます。
冷静に分析した他の書籍と違って、筆者のキャメロンへの想いや憧れ、熱がこもっているので、夢を追うクリエイターにとってはちょっと自己啓発効果がある本かもしれません。創作活動で凹んだときに読み直すと仙豆のような効果があります(僕だけかも)。よっしゃー!ってなります。

③プロジェクトX 映画『タイタニック』スペシャル回を書籍化(した感じ)

タイタニック-ジェームズ・キャメロンの世界
ポーラ・パリージ(著)/鈴木玲子(訳)
(1998/ソニーマガジンズ)

〈概要〉
原題が"TITANIC and the making of James Cameron"なんですね。
メイキング・オブ・ジェームズ・キャメロン
『タイタニック』をゴールとしてジェームズ・キャメロンという男がどうつくられていったのか、キャメロンそのもののメイキング本という立ち位置です。

全体としては『タイタニック』の制作過程を密着取材してるドキュメンタリー番組のナレーションを聞いてる感じです。
他のキャメロンまとめ本ではさくっと概要をまとめられるようなことを、リアルタイムで目撃してるようにその都度その都度描写してくれるので、まさに『タイタニック』をつくる様子を追った番組を見てるような気分になれる。
逆に他のキャメロン本でたっぷり語られるキャメロン少年の生い立ちや『タイタニック』以前の過去作たちについては1チャプターでさくっとまとめてあり、全体としてはあくまで『タイタニック』にフォーカスしてます。

〈見どころとか思い入れとか〉
まずは上下二段組、スティーブン・キング本並の文章量。
そして熱を持って語られる②とは対象的に、冷静な文で綴られる製作日誌はこれはこれで小説のように読むことができます。尽きていく資金と迫り来る時間と具体的にどうキャメロンが戦っていったか、というお仕事ドラマとしてもすごいハラハラします。
制作中、ケータリングでご飯食べたあとにスタッフが食中毒でぶっ倒れまくるという戦慄のエピソードはこれで初めて知りました。
自分の映画制作に動き出す前、髄膜炎で2週間入院してたときに読み返した本の1冊。闘魂注入されました。

④未来主義の天才を研究した論文

ジェームズ・キャメロン 世界の終わりから未来を見つめる男
レベッカ・キーガン(著)/吉田俊太郎(訳)
(2010/フィルムアート社)

出ました!フィルムアート社!僕らのフィルムアート社!
リアル本屋はフィルムアート社のコーナーがあるかどうかで通うかどうかが決まります。豊洲ららぽーとはファミリー向けの紀伊国屋なのにすごい充実してる感あり。

〈概要〉
原題は"THE FUTURIST The Life And Films of JAMES CAMERON"。
THE FUTURIST="未来主義者"といったところですかね。
キャメロンの作品とキャメロン自身を統合してうまくあらわしてるなぁというこの言葉がタイトルだけあって、②のようにキャメロンの歩んできた人生を丁寧に追うけれど、③のように文は冷静かつ分析的。
②と③の間の子のような本かも。

〈見どころとか思い入れとか〉
なんといっても2010年に出た本なので、『アバター』の話がのってます。それだけででかい。総合キャメロン本で『アバター』を含められてるのはいまのところこれだけじゃないかと。
キャメロン本人への取材だけでなく、登場するあらゆる要素が徹底的に取材されてるのでほんとに密度が濃い。まじで論文みたい。
あと個人的には『トゥルーライズ』の時点では次回作に予定されていた幻のキャメロン版『スパイダーマン』の顛末についても書かれてるのもポイント。③と同じく髄膜炎入院中に読み返したて闘魂注入された1冊。

⑤1冊で3冊分の、初期キャメロン本決定版

ジェームズ・キャメロンの映像力学
高橋良平(編著)
(1990/ビクターブックス)

〈概要〉
『アビス』公開時に出たらしいこの本、僕が入手したのは最近になってからでした。
70ページにわたるキャメロンへのロングインタビューでは当時最新作の『アビス』までのことを、そのときどう思ってどう行動したかなど超絶徹底的に語っていて、これだけで1冊分はある。
加えてキャメロン自身が描いたストーリーボードや制作中途資料のデザイン画などビジュアルも多数。
後半は①の石上三登志さんなどによる解説もたっぷりと、全体的には3冊分くらいの情報量が入ってます。

〈見どころとか思い入れとか〉
3冊分の情報量があることそのものが見どころでもありますが、びっくりするのはキャメロンが描いたストーリーボード。

ガチうますぎ。

完成した映画を観ながら描いたみたいで、どんだけ完璧に脳内にイメージあるねん!と嫉妬びっくり。必見。
あとは『アビス』の頃のキャメロン、まだ若くて尖ってるからインタビューで答えてるのが論理的でありつつもやんちゃな感じで、最近のキャメロン本のインタビューより生々しい。この当時キャメロン36歳、いまのおれ33歳…。なんかもう、うわー。ってなりますね。はい。

⑥T-1000に撃たれたあの人とキャメロンの対談

豪快!映画学 ジェームズ・キャメロンTalks About Film
小峰隆生(著)/ジェームズ・キャメロン(著)
(2001/集英社インターナショナル)

ジェームズ・キャメロン(著)!!!!!!!!!!

〈概要〉
ジェームズ・キャメロン好きで小峰隆生さんを知らない人はいないはず。
そもそもめちゃくちゃ本出してる方です。
キャメロンとマブダチなのは日本では小峰さんと押井守さんくらいでしょう。いいなぁ。

小峰さんはキャメロンと仲良しで、出演もされてます。
『ターミネーター2』でT-1000とシュワちゃんが初激突するゲーセン裏廊下のシーンで、巻き添え食らってダイナミックに撃たれ死ぬ、あのひとです。
あと『トゥルーライズ』のラストのパーティのシーンで、「どうも」と挨拶する日本人も。キャメロン映画出演本数No.1の日本人です。いいなぁ。

そんな小峰さんがキャメロンとガチ対談していろいろ聞いてる本、
なにを隠そう"ジェームズ・キャメロン(著)"です。すげぇ。
しかも表紙絵は大友克洋さんだし。

友達と話してる感じでキャメロンのお話を聞いてる感じになれるこの本は
数あるキャメロン本の中でもかなり異色
と言えるでしょう。

〈見どころとか思い入れとか〉
小峰さんが「映画製作を学ぶ教科書を自分でつくろう、教師はキャメロンしかいない」ということでつくられた本だけあって、ジェームズ・キャメロンが、映画監督したい人へマンツーマンレクチャーしてるという信じがたいほど贅沢な時間を疑似体験してる感じ。各小見出しが全て金言すぎる。

「批評家のためじゃない、観客のために撮るんだ」
「常にオリジナルのアイデアに立ち返れ」
「観客を傍観者にするな。そのために知恵を惜しむな」
「起こったことのすべてに、きちんとカタをつけろ」

いやー、気合入りますわ。

ただ、『アバター』の話はまだ出てません。この本のラストでキャメロンは次回作で火星の話をやる的なことを言ってたので、当時高1の僕はわくわくしたもんです。まさかそこから『アバター』まで8年も待たされるとは思ってもいませんでした…(その顛末は、④で詳しく語られてます)。
小6で『タイタニック』を観てから自分で映画つくりはじめて、まだかなまだかなとキャメロンの新作を待ち続けた僕は『アバター』が公開される頃には社会人になっちゃってましたから。

【作品ごと篇】

⑦究極の『タイタニック』本

ジェームズ・キャメロンの『タイタニック』/同・増補改訂版
エド・W・マーシュ(著)/名木宏之(訳)
(1997,2012/竹書房)

〈概要〉
『タイタニック』公開に完璧に合わせて発売された、ガチのメイキング本。
メイキング本だけあって製作を時系列で追うというよりは、リサーチ、美術、セット、衣装、俳優、VFX、特撮など技術的視点でチャプター分けされて、豊富な写真や資料と共に紹介されてます。
2012年の『タイタニック 3D』公開時に増補改訂版が出ました。

〈見どころとか思い入れとか〉
とにかくデカイ。25cm×30cm。デカイから中の写真もデカイ。見やすい。
内容的には超絶マニアック豪華版のパンフレットという感じですが、そのデカさゆえブツとしての存在感、ありがたみはダントツです。そしてお値段5000円。これもダントツ。
増補改訂版ではデカさそのままにハードカバーになったのでもはや魔法の書みたいな感じ。
小学6年で『タイタニック』に打ちのめされてた当時おこづかいは月500円だったんですが、本屋で見かけた瞬間母に「今後1年間おこづかいいらないから買ってくれ!頼む!」と叫んで買ってもらいました。

⑧注釈、写真付の初稿シナリオという神本

タイタニック シナリオ写真集
ジェームズ・キャメロン(著)/ランダル・フレイクス(責任編集)/品川四郎(訳)

〈概要〉
『タイタニック』の初稿シナリオ全文に豊富な写真、それに超絶細かくキャメロンが注釈をつけるという神内容をちゃんと翻訳して出してくれた竹書房さんには感謝しかないです。右ページに横書きでシナリオ、左ページには写真や注釈、ときどき見開きで写真のページもあったりして、まさに"シナリオ写真集"という新しいスタイルの本。よっぽど売れた作品じゃないと出版ビジネスとして成立しませんね。

〈見どころとか思い入れとか〉
日本映画の脚本と違って、キャメロンは自分で監督する前提なんで脚本の時点で映像演出的なことまでけっこう書いてあるんですね。あとは小説でいう地の文みたいな文学的表現も多数。現場の準備設計図というよりは、読み物として小説と脚本の間の子のような感じで書かれてます。
キャメロンは脚本を書く前に"スクリプトメント"という小説のような超詳細プロットを書くらしいのですが、その段階を経てシナリオ形式にスライドしてるせいかと思います。

洋画のシナリオ完全翻訳というだけでもけっこう貴重だと思うんですが、圧巻はその注釈。初稿シナリオにつき最終的には削除されたシーンなんかも元シナリオがのってるんですが、そこがなぜ削除されたのか、編集におけるリズムづくり的な視点にもとづいたキャメロンの解説がかなり細かく書かれてます。キャメロンは"物語のビート"と表現してるんですが、常に初見の観客の気持ちになって、ビートが停滞してしまうシーンは容赦なく切ってることがわかります。そして削除したシーンはほんとに「削除しといてよかったねぇ」というシーンなんですな。圧倒的ど真ん中直球スーパーベタ王道を成立させるには、こっ恥ずかしい、痛いみたいなとこのスレスレまで攻めて、すべらないギリギリで切ってるのがわかる。脚本づくりでぶち当たる苦悩がふたたびやってくるのが編集作業というのは自分で映画つくってるときまさに痛感しました。撮影素材を編集するときにシーンをあれこれ入れ替えたりリズムつくるときに脳内で走ってるアプリは、脚本つくってるときとまったく一緒です。文字でやるか、実際の映像でやるかの違いでしかない。ロジックとエモーションでビートを生成するアプリってやつです。これが脳内CPUめっちゃ食うんですわ。でも、やめられないんだよなぁ。

⑨注釈、写真付のシナリオという神本(元祖)

コンプリート・スクリーンプレイ「ターミネーター2」
ジェームズ・キャメロン&ウィリアム・ウィッシャー(著)/森本努(訳)
(1992/キネマ旬報社)

〈概要〉
⑧の『ターミネーター2』版です。順番的には⑧がこれの『タイタニック』版ということになりますが。
キャメロンと、共同脚本のウィリアム・ウィッシャー(ショッピングモールでガラスぶちやぶったシュワちゃんを撮影するカメラマン役でちょっと出演もしてます)が書いた脚本を全文翻訳!すげぇ。
それに完成作品の写真やストーリーボード(絵コンテ)がたっぷり載ってます。
あとは取材に基づいた注釈もこれまた細かくのってます。

〈見どころとか思い入れとか〉
いちばん最近手に入れた本なんですが、生涯ベスト映画が『ターミネーター2』である自分がなぜこれを持ってなかったのか…お恥ずかしい。というのもAmazonで取り扱ってなかったんで諦めてたんですね。ネットサーフィン中に偶然見つけて即ポチして、やっとゲットして写経中です。
単純にシナリオが載ってるだけじゃなくてそのシーンの役割、意図はもちろんのこと、完成された映画がシナリオからどう変わったか、なぜ変えたかがちゃんと解説で補足されてるから、それはもう鬼のように勉強になります。

⑩必修科目『T2』の教科書

メイキング・オブ・ターミネーター2
ドン・シェイ、ジョディ・ダンカン(編著)/石田亨、常岡千恵子(訳)
(1991/バンダイ)

〈概要〉
『ターミネーター2』のまさにガチメイキング本。ただこれは映画の完成、公開前に出版、翻訳されたものなので主に撮影現場を追うルポを軸に構成されています。仕上げよりは美術や特殊メイクなどのプリ・プロダクション(撮影準備)と撮影密着日誌といった感じ。

〈見どころとか思い入れとか〉
さまざまなセクションのスタッフへのインタビューを交えて語られるマニアックな制作日誌。
一般的なファンが読んで楽しむものというよりはガチで専門的な教科書みたいで、映画つくりたい人にとってはたまらんはず。言うならば大学で"メイキング・オブ・ターミネーター2"という授業があったとして、それをまとめた指定教科書ような本

⑪付録大充実の洋書

TERMINATOR VAULT-The complete story behind the making of THE TERMINATOR and TERMINATOR 2:JUDGEMENT DAY-
By Ian Nathan
(2013/Aurum Press)

〈概要〉
洋書です。『ターミネーター』と『ターミネーター2』の統合メイキング本。全部英語なんでちょっとさすがに読みきれてない…翻訳版求む!

〈見どころとか思い入れとか〉
新宿のディスクユニオンで発見し、付録の豪華さに即買いした1冊。

スタッフ限定試写の招待状レプリカや、

ハコ書きかフィルムロール内訳かわからんけどとにかくそんなやつとか、

すごいマニアックな付録に完全に食いつきました。読めてもいないのでファンアイテムですね。
2013年に出版されたくせにターミネーター3も4も完全無視してるあたりが潔いです。意外とターミネーター1と2にまたがってちゃんとまとめてる本はないので、何度も言いますがまじで翻訳待ってます!

⑫ベストセラー作家が作劇視点で『T1』を徹底的に褒める

『ターミネーター』解剖
ショーン・フレンチ(著)/矢口誠(訳)
(2003/扶桑社)

〈概要〉
「キリング・ミー・ソフトリー」の作者である作家ショーン・フレンチさんが、『ターミネーター』がいかに優れた作劇かを徹底的に語り尽くすマニアックの極みのような本。よくぞ翻訳してくれました。

〈見どころとか思い入れとか〉
作家が書いてるだけあって、どうやって『ターミネーター』が観客を引き込んでいていかに素晴らしい作劇かをめちゃくちゃ細かく解説して褒めまくってます。冷静に書いてるのに時々作者のターミネーター愛が溢れ出る瞬間があって微笑ましい。こんなにフェチズムに溢れた本がちゃんと翻訳されて発売されたのはありがたすぎます。『T2』の脚本読むよりも脚本の勉強になるかも。
おもしろいのはこのショーンさん、『T2』はわりと否定派というか、もう『ターミネーター』しか愛してない。"正直言って『ターミネーター』以後のキャメロンのキャリアは先細りの感が否めない"と書いといて直後の文が、"でも、だからどうしたというのだ!?"ですからね。
1996年に書かれた本ですが翻訳版は2003年に出てます。『ターミネーター3』が公開された年ですね。当時高校生だった僕は猛烈に期待して、公開初日の午前の回と午後の回のいちばんいい席をとって観たんですが、"TERMINATOR 3 RISE OF THE MACHINES"というタイトルがすんごい地味に出てきたオープニングで「は!?」となり、その後も「なんか燃えない…うわあああああ」と思いながら観てたんですが(いま見返せば二次創作としては最高だと思ってます)、この本が翻訳されるきっかけになったわけだし、そういう意味では『ターミネーター3』もグッジョブ!

⑬パンドラの写真集

The ART of AVATAR ジェームズ・キャメロン『アバター』の世界
リサ・フィッツパトリック(著)/菊池由美、ないとうふみこ(訳)
(2009/小学館集英社プロダクション)

〈概要〉
『アバター』のメイキング本、というよりは美術資料集という感じ。
パンドラ、そこに生きる生き物たち、そしてナヴィや人間のラボなどのビジュアルがどうやってつくられていったかがわかる豊富な(そして美しい)資料集。

〈見どころとか思い入れとか〉
とにかくパンドラ関連のビジュアルが美しいから、もはやパンドラ旅行記的写真集のような感じ。あのビジュアルがどうやって開発されていったかがわかるかというと、そこまででもないかな…。とにかく美しい美術資料集です。ピーター・ジャクソンの序文が熱いです。

⑭パンドラ旅行ガイドブック

アバター 公式完全ガイド
マリア・ウィルヘム、ダーク・マティソン(著)/高橋明美、五十嵐麗子、熊谷小百合、西山友紀(訳)
(2009/イースト・プレス)

〈概要〉
『アバター』の劇中に出てくる設定を完全網羅したこれまたマニアックな本。公式完全ガイドの名に恥じぬ網羅っぷり。生物の名前、ビジュアル、分類、解説などとにかく『アバター』内の設定が徹底的に載ってます。
原題"An activist survival guide(活動する人のサバイバルガイド)"の通り、あの世界が映画であるということにもとづいた本ではなく、あくまでパンドラを実在する場所として、そこで生き抜くためのガイドブックというちょっと捻った設定資料集。

〈見どころとか思い入れとか〉
買ったはいいけど情報的には羅列だから読み切れてません…。RPGの攻略本みたいな楽しみ方ですかね。敵のビジュアルとか設定が図鑑的にのってるあれです。特にファミ通責任編集のハイクオリティ攻略本っぽい。
圧巻はナヴィ語辞典!

そりゃそうだ。言語学者と一緒に言語そのものを開発しただけあって、徹底的に勉強すればナヴィ語がしゃべれるようになれそう。

⑮貴重な『エイリアン2』のメイキング資料

エイリアン・アーカイブ
マーク・ソールズバーリー(著)/株式会社Bスプラウト(訳)
(2014/ボーンデジタル)

〈概要〉
エイリアンのデザインをしたH.R.ギーガーさんが亡くなった2014年に発売された、エイリアンシリーズ4作のメイキングをまとめた究極のエイリアン本。もちろんキャメロンが手がけた『エイリアン2』のこともたっぷり載ってます。

〈見どころとか思い入れとか〉
『エイリアン2』単体のメイキング本はないっぽいので、そういう意味ではめちゃくちゃ貴重。シリーズ4作品をまとめた本ではあるけど『2』だけでも相当なボリュームです。劇中に出てくる様々なオリジナル小道具、武器、施設などの設定画とかがたくさん載ってて、わくわくします。

⑯まだ手に入ってない!


謎の『アビス』 メイキング本
(?????)

仕事で『ガメラ2』などでの日本エフェクトセンターさんにお邪魔したときに、本棚に見つけた『アビス』の単独メイキング本。ググっても出てこず、立ち読みさせてもらった感じだとけっこう詳しく『アビス』について書いてあるからすごく欲しいんですが、まだ手に入ってないのです…。くっそー。
次日本エフェクトセンターさんにお邪魔したときに詳しい情報をゲトってくるつもり。。

【番外編】
⑰神々の対談集

James Cameron’s Story of Science Fiction
Randall Frakes, Brooks Peck, Sidney Perkowitz, Matt Singer, Gary Wolfe, Lisa Yaszek, James Cameron(著)
(2018/Insight Editions)

〈概要〉
え、なにこれ。神と神がしゃべってるんだけど。
我らがジェームズ・キャメロンがサイエンス・フィクションについて対談するAMCの番組の書籍化です。ネットでも見れるっぽいです。ちくしょう誰か翻訳してくれー!ってことで洋書です。翻訳を待てずポチりました。現時点での最新キャメロン本だと思います。

〈見どころとか思い入れとか〉
対談のメンツがやばいです。やばすぎます。

ジェームズ・キャメロン×ギレルモ・デル・トロ
ジェームズ・キャメロン×ジョージ・ルーカス
ジェームズ・キャメロン×クリストファー・ノーラン
ジェームズ・キャメロン×アーノルド・シュワルツェネッガー
ジェームズ・キャメロン×リドリー・スコット
ジェームズ・キャメロン×スティーブン・スピルバーグ

なんですかこれは!全メンバーが神じゃないですか!誰がホストでも本つくれますよ。1997年のミュージックステーションですかこれは!こんな夢のような本が出るなんて、僕は幸せです。洋書だから全然読めないけど。Google翻訳を駆使してコツコツ読むかな…。
ついでに言うと対談の前フリとして、けっこうレアな、初めて見るキャメロンのスケッチやらコンセプトアートやらも載ってるんで、純粋にキャメロン本としてもかなり価値が高いです。何度も言いますが、一刻も早く翻訳してください。フィルムアート社さーん!



はい、終わりです。
後半につれて力尽きてきていくのが伝わったでしょうか。

こんな感じでジェームズ・キャメロンの本についてまとめてるサイトが見当たらなかったので、いい機会と思いまとめてみました。つか、まとまってねぇ。10000字超えました。

ジェームズ・キャメロンが好きすぎる日本のフィルムメイカーとしての完全自己満記事ではありますが、キャメロンの映画に震えて、「おれも映画監督になる!」と思っちゃって、キャメロンの映画作りのことをもっともっと知りたいと思ったかつての僕のような人が見つけてくれて、ちょっとでも役立てたら幸いです。

キャメロンの次回作は『アバター2』、2020年12月公開です。
『エイリアン2』『ターミネーター2』と、続編の達人であるキャメロンですからね、そりゃもう楽しみで仕方ないですよ。

『タイタニック』のとき小学生だった僕は、
『アバター』で社会人としてディレクターになり、
そのあとやっと自分の短編映画を撮り、じゃあ、
『アバター2』のときには…
願わくば、僕が監督した長編映画を同じ公開日にぶつけたいですね。
勝手に師弟対決!

あ、いま笑いましたね。でも言うのは勝手ですから。

だってキャメロンが言ってたし。
夢は口に出すべし、叶うから、って。

ドリーミング・アラウドですよ。
ね、キャメロンさん。


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また映画つくりたいですなぁ。夢の途中です。