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マシアス・ギリの失脚
いや、難しい小説でした。池澤夏樹さんの『マシアス・ギリの失脚』(新潮文庫)。解説でも「柄の大きい」と形容されていたけれど、混沌とし、かつ奔放でもあり、それでいてなかなか論理的な小説なんです。
ぼくの貧相な読書歴の中ではガルシア・マルケスに近い位置を占めそうなんだが、ぼくは『百年の孤独』1冊以外はラテン・アメリカの小説世界を知らないんで、断定は出来そうにありません。でも、分厚いながらも一気呵成
「殻」あるいは「もの」
池澤夏樹さんの小説は、寝ころんで読むことが出来ませんね。サン・テグジュペリのそれにも似て、「物語」としてのおもしろさ・ダイナミズムなどよりも、哲学的な空間・遠い眼差しを感じさせるんですよ。だからぼくは、ラインマーカーなしには読み進むことが出来ない。
たとえば『花を運ぶ妹』(文藝春秋)。哲郎とカヲルの独白? が交互に掲げられ、頁を繰るにつれてようやくその全体像が起きあがってくるこの作品はいかに
サラ・ブライトマンを聴く
良いんです! サラ・ブライトマン。
まずもって「声」がすばらしい。女神か妖精のそれだね。アルバム「LA LUNA」には妖気が満ちてる。ぼくは思わずケルトの神秘を感じてしまったのだけれど、ライナー・ノーツを読むと、サラ自身、「彼(プロデューサーのフランク・ピーターソン)は、私の声の中にあるケルティックな要素を引き出せる曲を必ずひとつは選ぶべきだというの」と語っているではないの。最近不勉強なぼく
ステージ101ベスト
な、なんと! 「ステージ101ベスト」(CD二枚組)が発売された、ですと!? 「MAC POWER」誌(2002年1月号)で見つけた貴重な情報に狂喜乱舞(ちと大げさだが)。即座に注文しました。
ただしこのCD、一般のCDショップには置いていないようです。ぼくも最初はネットCDショップで検索したけどヒットしなくて、次に検索サイトのGoogleでサーチ。NHKのオンラインショップでの販売をキャッ
河合尭昭さんのエッセイ
河北新報夕刊に交代で掲載される河合尭昭さん(帝国データバンク仙台支社長)のエッセイは、毎回感銘深いものですね。この深さは、彼の人生の深さでもあるのでしょう。
彼が自身の経験を踏まえて繰り返し語っているのは、ようするに「決断(選択)」と言うことなのです。人生は決断に満ちている、と。
父を知らない彼を優しく励ましてくれた祖母との永遠の別れの中にも決断はあり、組織犯罪に巻き込まれた前の職場で、