もちだみわ
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蟻の気持ちがわからない
台所にたまに蟻が出没する。
体長2mmほどの極めて小さな黒い蟻が、一匹、どこからともなく現れて、グレーのガラストップコンロの天面を、右端から左端へ音もなく歩いていく。
時に、木製の水屋の奥にある珈琲の粉を取ろうと扉を開けた瞬間に、或いは、シンクで食器を洗っている瞬間に、棚の縁やシンクの縁を歩く彼らとエンカウントする。
わからないのは、何故かいつも一匹か二匹で出現する。列を作るでも群れを成すで
のんべんだらりとしている
年に何回か酒を飲む。
ビールと熱燗と麦焼酎のお湯割りを飲んだ。それから珈琲で一服して、またウイスキーを飲んだ。
その後、台所で体育座りをしながら、白湯と経口補水液を交互に飲みつつダラダラしている。
先日から、朝目が覚めると同時に片頭痛がする。多分水分不足なのだろう。それもあって時々経口補水液を飲んでいる。ここのところ体重は安定している。毎年夏に向けて暑さで体力を削られて体重が減る一方なので、
力を抜いて漂っている。
ちょっと一息ついている。
抽象的な表現をすると、波間にプカプカと体を浮かべて、手足の力を抜いてダラッとしている。次の波がザブンときて頭から海水をかぶっても息が十分持つように、今は息継ぎをしている。
ここの所、少しパタパタとしていた。大抵、何が起きても、いつものこととして受け流したり、そういうこともあると受け止めたりするのだけれど、今回は想定と全く異なるところから物事が大きく動いた。
予想をし
眠たいながら、料理する。
今日は朝起きてから夕方まで、ずっと眠い。
あんまり眠くて目が痛くて、瞬きを繰り返している。目を瞑っていると頭の芯がジワジワと染みるように疼いて、重力に負けて地面へ磁石みたいに引き寄せられて、べったりと寝転がりそうになる。泥のように眠い。思考が溶ろける。
そういえば、泥の由来をご存知だろうか。土が水を含んでドロドロになった状態を指す泥説と、中国の古典に出てくる泥と書いてデイと読む想像上の生き物か
あなたもひとり?一緒にいかが?
髪を短くしてみたり。
肩まで伸びていた髪を短く切ってもらった。
なので、ここ数日、玄関の姿見の前を横切る度に、「おや、短い」と視線を止めて、「あぁ、そうだ、美容院へ行ったんだ」と我に返るのを繰り返している。
モノグサなので、一旦短くするとしばらく伸ばしっぱなしになる。前回カットに行ってから数ヶ月の間、後ろで一つに束ねて過ごしていたので、今の髪型の自分のシルエットがまだ見慣れない。
駅前の美容院のソファで待つ間、店内
それは小さな別れの日。
雲一つない青空が眼前に広がっていた。
11時45分。待ち合わせ場所に現れた知人は、最後に会った日とさほど変わらない印象をまとって、私の傍らに佇んだ。
風のない好天に恵まれ、温かな日差しを背に受けながら、おのぼりさんみたいにタワーを眺めた。静かにゆったりと話す口調が懐かしくて、遠い記憶が呼び起こされる。会社に入ったばかりの頃に一緒にした仕事のこと。深夜の残業時間中、誰もいない筈の部屋から人の気配が
これから先、もう少し、続いていく日々のために。
一人で頭の中でああだこうだと話している。
例えばソファーで誰かと隣同士に座って、互いにウイスキーでも傾けながら、ダラダラと喋る私の話を酒のつまみ程度に聞いてくれればいいのだけれど、そうおいそれとはいかないので、もっぱら独り言を脳内に並べている。
取り敢えず今は、先日の昼に食べた冷凍うどんのことを考えている。電子レンジで4分間温めてうどんつゆの中にいれただけの素うどんをすすった。冷凍麺はスーパー
年の始めに筆を走らす
毎年、一月二日になると親子で書き初めをする。
朝、三人でお重を囲んでお雑煮とおせちをつまんだあと、習字道具を二揃い、部屋にセッティングした。一つは娘が学校の書写の授業で使っている習字セットで、もう一つは私が小学生の頃から使っていたものだ。時々筆を買い替えるものの、硯も文鎮も未だに壊れる気配もなく長持ちしてくれている。
炬燵の横に小さな折りたたみ机を置き、部屋の隅に新聞紙を敷きつめて、墨で文字を