Gajumaruのメディカルワークアウト

総合内科/救急科を専門にやってます。日々の臨床疑問についてまとめてますので、ぜひご覧下…

Gajumaruのメディカルワークアウト

総合内科/救急科を専門にやってます。日々の臨床疑問についてまとめてますので、ぜひご覧下さい! 実臨床へ使用については自己責任でお願いします。 ↓ブログ移転しました↓ https://dr-gajumaru.com

記事一覧

PRES(可逆性後頭葉白質脳症)

腎不全末期患者が高血圧に伴うPRESで痙攣重積状態となり搬送されました。PRESは特定の病名というよりは結果的に生じる症候群であり、その誘引を突き止めることが重要です。…

DKA(糖尿病性ケトアシドーシス)とHHS(高浸透圧高血糖症候群)のマネジメント

認識できれば速やかに治療可能な疾患ですが、原因の特定・治療や再発予防の教育など慢性期管理につなげるところまでが急性期診療です! BMJ Review 2019(PMID: 31142480)…

毒素性ショック症候群(TSS)

非特異的な所見ばかりであることに加えて、ショックバイタルを伴うため厄介な疾患です。臨床像を覚えて早期に疑い、治療できるようにしましょう! J Emerg Med Review 2018…

食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FDEIA)

アナフィラキシーショックで搬送される患者の中にFDEIAを示唆する病歴の方がたまにいます。特にWDEIAだと重症になりやすいからかもしれないです。 J Allergy Clin immunol …

自然気胸のマネジメント

SSPは基礎疾患のため、重度の呼吸不全で搬送されます。速やかな診断・治療が重要ですが、初期治療がうまくいかない場合や再発予防についても知っておきたいです。 参考文献…

一酸化炭素(CO)中毒

火災シリーズです。急性期は速やかにCO-Hbは低下して改善したように見えますが、問題になるのは長期的な認知機能などなので、退院後のフォローアップも重要になります。 Am…

火災関連吸入障害

熱傷センターがないので全身熱傷を管理することはないですが、気道熱傷が疑われる患者は搬送されることがあるので、その管理についてまとめました。 NEJM Review 2016(PMI…

間質性肺疾患(ILDs)の画像所見

ILDsの基本画像/病理パターンであるIPF/UIP、NSIP、AIP/DAD、OPとそれらの鑑別となる疾患を中心にHRCT画像所見についてまとめました。 参考文献:画像診断の勘ドコロ Neo …

心アミロイドーシス

高齢者のHFpEFの中に意外と多く隠れているかもしれないと言われています。新薬の開発も進んでおり、今後、有病率は増えてくると思いますので早期に診断すれば治療につなげ…

薬剤性腎障害(主に間質性腎炎について)

入院中の患者で状態は落ち着いているのにCreだけ急に上がってきたというとき、腎後性でも腎前性でもなさそうという場合は本症を疑います。発症までにかなりの時間を要する…

Clostridioides difficile 感染症(CDI)のマネジメント

院内発熱の代表格ですが、市中発症も増えてきてます。主症状はあくまで下痢なので、発熱は伴わないことも多いみたいです。数年前に名前が変わったのはご存知でしょうか? C…

Cushing症候群の診断

疑いはするけど診断が難しいのが内分泌疾患です。特にCushing症候群は決定的な検査がなく、診断が難しいです。 JCEM guidelines 2008(PMID: 18334580)、JCEM guidelines …

初発の発作(new-onset seizure)

初めての発作で運ばれて来ることはよく経験します。その場の対応だけでなく、長期的なことも考慮してマネジメントしましょう! 参考文献:JAMA Review 2016(PMID: 2802737…

低体温のマネジメント

夏に熱中症が多いように、冬には低体温症を多く見かけます。体温が低いからただ温めればいいという問題ではないので注意しましょう! 参考文献:NEJM Review 2011(PMID: 2…

副腎不全の診断・治療

疑うことはよくありますが、実際に本物かもしれないと思う症例に出会ったとき、次の一手に困ります。本物の症例を続けて経験する機会があったのでまとめてみました。 虎の…

【CQ】ゾシン(ピペラシリン/タゾバクタム)による低K血症

ピペラシリン/タゾバクタム(PIPC/TAZ)の添付文章の副作用にさらっと書いている低K血症。使用経験的にはこの抗菌薬だけやけにK下がることが多いなと感じていましたが、ど…

PRES(可逆性後頭葉白質脳症)

PRES(可逆性後頭葉白質脳症)

腎不全末期患者が高血圧に伴うPRESで痙攣重積状態となり搬送されました。PRESは特定の病名というよりは結果的に生じる症候群であり、その誘引を突き止めることが重要です。また当時に支持療法を行います。
参考文献:N Engl J Med. 2023;388:2171-2178.(PMID: 37285527)、up to dateより

【Take Home Message】
・急性の高血圧や関連す

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DKA(糖尿病性ケトアシドーシス)とHHS(高浸透圧高血糖症候群)のマネジメント

DKA(糖尿病性ケトアシドーシス)とHHS(高浸透圧高血糖症候群)のマネジメント

認識できれば速やかに治療可能な疾患ですが、原因の特定・治療や再発予防の教育など慢性期管理につなげるところまでが急性期診療です!
BMJ Review 2019(PMID: 31142480)、JBDS HHS guidelines 2022(PMID: 36370077)より
ガイドライン略称
ADA:American Diabetes Association(米国糖尿病学会)
UK:Joint

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毒素性ショック症候群(TSS)

毒素性ショック症候群(TSS)

非特異的な所見ばかりであることに加えて、ショックバイタルを伴うため厄介な疾患です。臨床像を覚えて早期に疑い、治療できるようにしましょう!
J Emerg Med Review 2018(PMID: 29366615)、BMJ Case Rep(PMID: 25878235)、up to dateより

【Take home message】
・発熱+全身性皮疹+ショックでTSSを疑う
・臨床像とし

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食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FDEIA)

食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FDEIA)

アナフィラキシーショックで搬送される患者の中にFDEIAを示唆する病歴の方がたまにいます。特にWDEIAだと重症になりやすいからかもしれないです。
J Allergy Clin immunol Review 2017(PMID: 28283153)、up to date、食物アレルギー診療ガイドライン 2021より

【Take Home Message】
・原因食物は小麦、魚介類が多い
・運動の

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自然気胸のマネジメント

自然気胸のマネジメント

SSPは基礎疾患のため、重度の呼吸不全で搬送されます。速やかな診断・治療が重要ですが、初期治療がうまくいかない場合や再発予防についても知っておきたいです。
参考文献:BMJ Review 2014(PMID: 24812003)、Lancet Respiratoly Review 2015(PMID: 26170077)、BTS guidelines 2010(PMID: 20696690)、up

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一酸化炭素(CO)中毒

一酸化炭素(CO)中毒

火災シリーズです。急性期は速やかにCO-Hbは低下して改善したように見えますが、問題になるのは長期的な認知機能などなので、退院後のフォローアップも重要になります。
Am J Respir Critical Review 2017(PMID: 27753502)より

【Take home message】
・CO中毒に特徴的な症状、CO曝露の病歴、Hb-COの上昇(血液ガス分析)があればCO中毒と

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火災関連吸入障害

火災関連吸入障害

熱傷センターがないので全身熱傷を管理することはないですが、気道熱傷が疑われる患者は搬送されることがあるので、その管理についてまとめました。
NEJM Review 2016(PMID: 27518664)、up to dateより

【Take home message】
・火災による吸入障害で問題となるのは、直接的な熱や免疫反応による気道粘膜の損傷と脱落、二次性の肺炎(ときにはARDSも)、ガス

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間質性肺疾患(ILDs)の画像所見

間質性肺疾患(ILDs)の画像所見

ILDsの基本画像/病理パターンであるIPF/UIP、NSIP、AIP/DAD、OPとそれらの鑑別となる疾患を中心にHRCT画像所見についてまとめました。
参考文献:画像診断の勘ドコロ Neo 胸部、特発性間質性肺炎 診断と治療の手引き 2022より

<ILDsの全体像><ILDsの基本知識・原則>・ILDsの基本画像/病理パターンとして、UIP、NSIP、OP、DADパターンがある(他にもある

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心アミロイドーシス

心アミロイドーシス

高齢者のHFpEFの中に意外と多く隠れているかもしれないと言われています。新薬の開発も進んでおり、今後、有病率は増えてくると思いますので早期に診断すれば治療につなげられるかもしれません。
AIM Review 2023(PMID: 36913688)、ECS guidelines 2021(PMID: 33825853)、AHA guidelines 2020(PMID: 32476490)、JC

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薬剤性腎障害(主に間質性腎炎について)

薬剤性腎障害(主に間質性腎炎について)

入院中の患者で状態は落ち着いているのにCreだけ急に上がってきたというとき、腎後性でも腎前性でもなさそうという場合は本症を疑います。発症までにかなりの時間を要するものもあるので、外来でも原因不明の腎障害の中に紛れていることもあるかもしれません。
CJASN Review 2022(PMID: 35273009)、CJASN Review 2017(PMID: 28893923)、Current o

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Clostridioides difficile 感染症(CDI)のマネジメント

Clostridioides difficile 感染症(CDI)のマネジメント

院内発熱の代表格ですが、市中発症も増えてきてます。主症状はあくまで下痢なので、発熱は伴わないことも多いみたいです。数年前に名前が変わったのはご存知でしょうか?
Clostridioides difficile 感染症 診療ガイドライン2022、IDSA guidelines 2021(PMID: 34164674)、ACG guidelines 2021(PMID: 34003176)、up to

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Cushing症候群の診断

Cushing症候群の診断

疑いはするけど診断が難しいのが内分泌疾患です。特にCushing症候群は決定的な検査がなく、診断が難しいです。
JCEM guidelines 2008(PMID: 18334580)、JCEM guidelines 2015(PMID: 26222757)、up to date、虎の門病院内分泌クリニカルプラクティスより

【Take home massage】
・年齢に不相応の合併症(骨粗鬆症

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初発の発作(new-onset seizure)

初発の発作(new-onset seizure)

初めての発作で運ばれて来ることはよく経験します。その場の対応だけでなく、長期的なことも考慮してマネジメントしましょう!
参考文献:JAMA Review 2016(PMID: 28027373)、J Neuro Neurosurg Psychiatry Review 2019(PMID: 30948624)、Lancet Rview 2018(PMID: 32113502)、AAN guideli

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低体温のマネジメント

低体温のマネジメント

夏に熱中症が多いように、冬には低体温症を多く見かけます。体温が低いからただ温めればいいという問題ではないので注意しましょう!
参考文献:NEJM Review 2011(PMID: 23150960)、Int J Environ 2022(PMID: 35010760)、WMS guidelines 2019(PMID: 31740369)より

【Take home message】
・低体温症

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副腎不全の診断・治療

副腎不全の診断・治療

疑うことはよくありますが、実際に本物かもしれないと思う症例に出会ったとき、次の一手に困ります。本物の症例を続けて経験する機会があったのでまとめてみました。
虎の門病院 内分泌クリニカルプラクティス、Lancet Review 2021(PMID: 33484633 )、Lancet Review 2016(PMID: 27041067)、Endocrine Society Clinical Pra

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【CQ】ゾシン(ピペラシリン/タゾバクタム)による低K血症

【CQ】ゾシン(ピペラシリン/タゾバクタム)による低K血症

ピペラシリン/タゾバクタム(PIPC/TAZ)の添付文章の副作用にさらっと書いている低K血症。使用経験的にはこの抗菌薬だけやけにK下がることが多いなと感じていましたが、どの程度の頻度なのか、どのような機序なのかということを調べてみました。2つのRetrospective cohort studyからです。
参考文献:Antibiotics Retrospective cohort 2022(PMI

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