【napo_fitness】ダイエット入門⑤ ローカーボとローファット

『ダイエット入門② ダイエットの食事内容』にて、そもそもダイエットには、
・ローファット(≒低脂質)
・ローカーボ(≒低炭水化物、低糖質)
の2種類があるというお話をしました。

両者の仕組み、メリットやデメリットについて解説していきます。
今回は理論的な話で、具体的な方法については次回に回すこととします。


●高タンパク質食で痩せる理由


タンパク質の重要性については再三説いてきましたが、ここでもう一度深掘りしてみましょう。
タンパク質は英語でProteinですが、これはギリシャ語のProteus(もっとも大切なもの)が語源となっています。

ある研究によると、
総摂取カロリーのうち15%がタンパク質群と、30%がタンパク質群を比較したところ、
後者のほうが体重、体脂肪率が減少することがわかっています。

①タンパク質はDITが高い
「DIT(食事誘発性体熱産生、Diet Induced Thermogenesis)」という概念があります。
私たちの身体は食物を消化するときにもエネルギーが使われますが、
タンパク質は炭水化物や脂質の6倍程度、消化にエネルギーを使うことがわかっています。
皆さんも、ラーメンやチャーハンより、肉のほうが消化に時間がかかりそうなイメージがあるのではないでしょうか。
→つまり、消化によって熱を発生させ、
それが消費カロリーを増加させるのでタンパク質食は痩せやすいといえます。

②タンパク質は満腹感を増長させる
必須アミノ酸の一つであるトリプトファンは、セロトニンを合成し、満腹中枢を刺激します。
同じく必須アミノ酸の一つであるヒスチジンも、ヒスタミンを増やし、満腹中枢を刺激します。
タンパク質の摂取割合を増やすと、レプチン感受性が高まり、食欲が抑制され、摂取カロリーが抑えられます。
→つまり、タンパク質の摂取によって満腹中枢が刺激され、
結果的に総摂取カロリーが減るのでタンパク質食は痩せやすいといえます。

以上2つの理由に加え、筋肉量を維持しつつ体脂肪量を減らすのが真のダイエットということを踏まえると、
ボディビルダーでなくとも高タンパク食はダイエットに必須と言えそうです。

●ローファットダイエット


ローファットダイエットとは、
タンパク質:脂質:炭水化物のカロリー比率(グラム比率ではないことに注意!)を
3:2:5にするダイエット方法です。

減量末期のボディビルダーは脂質をほぼゼロにすることもありますが、
三大栄養素の一つである脂質が足りない状況は不健康なので、
ローファットダイエットといえども最低限の脂質は摂るようにしましょう。

①炭水化物量を確保する目的
人間の身体は、基本的に糖質から作られるグルコースをエネルギーにして動いています。
グリコーゲンという単語自体は聞いたことがある人も多いでしょう。

グルコースが足りなくなると、私たちの身体は筋肉を分解して糖(≒エネルギー)を確保しようとします。
これを「糖新生」といいます。

無理なダイエットは筋肉が減るのでリバウンドする!」とよく言われていますが、これは
炭水化物を抜く
→エネルギー不足になる
→糖新生が起きる
→筋肉量(≒除脂肪体重)が減る
→基礎代謝が減る
→消費カロリーが減って痩せにくくなる
という仕組みになっています。

つまり、糖新生を起こしたくないため、一定の炭水化物量を確保する
ことがローファットダイエットの秘訣になります。

②脂質を抑える目的
体脂肪が合成されるメカニズムは非常に複雑なのですが、とても簡単に言えば、
体内にブドウ糖(≒糖質)がある際に、必要以上に摂取された脂肪が行き場を失い、体脂肪になる
というケースが一般的です。
糖と脂肪はエネルギー源だからこそ美味しいのですが、同時に摂取すると太るということです。

また、タンパク質と炭水化物は1gあたり4kcalですが、脂質は9kcalです。
単純に考えて、脂質の摂取量を減らすほうが、総摂取カロリーを減らすのが簡単になります。

一方で、脂質は脳や細胞膜、ホルモンの材料になったり、脂溶性ビタミンの吸収を助けるなど、
脂質にしかできない役割がたくさんあります。

つまり必要最低限の脂質を確保しつつ、なるべく削ることがローファットダイエットのポイントになります。

しかし、例えば基礎代謝の低い女性がローファットダイエットをしようとすると、
一日に摂取できる脂質の量が20g程度に制限されてしまいます。

脂質20gがどの程度かというと、
卵3個、赤身肉100g、アボカド1個のどれか一種類を食べただけで簡単にオーバーしてしまいます。
これでは毎日白米と鶏むね肉しか食べることができません。

そこでおすすめするのが、ローカーボダイエットです。


●ローカーボダイエット


巷で流行っているローカーボ食
某ライ○ップがやっているのがまさにこれです。

・日本人の食生活は炭水化物摂取量が多いので効果が高い
・米や小麦を食べなければいいので単純でわかりやすい

という特徴があります。
近年、低糖質を売りにした商品はコンビニでも入手しやすくなっています。

・高額な料金を払ったのだからやらなくちゃという使命感
・トレーナーに逐一食事を方向しなければいけないという義務

というラ○ザップ独自のコミット商法と非常に相性が良いです。

しかしこれには、
・食事を戻した瞬間にリバウンドする
・筋肉量が落ちるのでリバウンドしやすい身体になっている

というデメリットがあります。

確かに厳しい食事制限をすれば一時的に体重は落ちますが、それを一生続けるのは不可能
また、食事制限に慣れた人は、恒常性によって消費カロリーが落ち、身体は糖質と脂質を貯蔵したくて仕方ない状態になっています。
リバウンドした人はもう一度ライザ○プの顧客になるので、ライザッ○ビジネスの思うツボなのです。

しかし、ローカーボ=悪という訳でもなさそうです。
脳機能、動脈硬化という観点ではローファットよりもローカーボのほうが健康に良い研究結果が出ていますし、
食事の選択肢の多さという点でも、正しく行えばローファットダイエットよりもやりやすいと言えます。

では、なるべく糖新生を抑えながら脂質を効率よくエネルギーにするにはどうすればいいかを学んでおきましょう。


●ケトジェニックダイエット


ローカーボダイエットを成功させるためにはどうすればいいのでしょうか。

先ほど「エネルギーが足りない場合、私たちの身体は糖新生によってエネルギーを確保しようとする」と説明しましたが、
糖新生によってエネルギーを作り出すほかに、もう一つエネルギーを作り出す方法があります。
そのときにエネルギー源になるのが脂質から作られる「ケトン体」です。
ケトン体をエネルギーとしている状態を「ケトーシス」といいます。

ケトーシスになるためには、大きく2つの条件があります。
・体内の糖質が枯渇している
・良質な脂質を十分に摂取している

厳密なケトジェニックダイエットは高度な栄養管理が求められます。
具体的には、
タンパク質:脂質:炭水化物のカロリー比率(グラム比率ではないことに注意!)を
3:6:1にします。
導入期は脂質を7割以上にすることもあります。

もしできる環境であれば、最初はほぼゼロ(野菜や調味料から摂れるだけ)にすることをおすすめします。
ゆるいローカーボダイエットでも、一日の糖質を40g以下にすることを心がけましょう。
糖質を多く摂ってしまうとケトーシス状態ではなくなってしまうので注意が必要です。

脂質はケトン体になりやすい不飽和脂肪酸を中心に取る必要があります。
具体的には、魚、アボカド、オリーブオイル、MCTオイルを中心に、赤身肉や卵を食べ、タンパク質と脂質を十分に摂取します。


●結局ローファットとローカーボ、どっちがいいの?


ローファットダイエット、ケトジェニックダイエットそれぞれにメリットとデメリットがあります。
ダイエットは体質や性格、生活習慣など含めて自分に合うか合わないかが必ずあります。

なので「これをやれば誰でも確実に痩せられる!」という方法は存在しません。
もし“正解”が存在していたら、こんな風に色んな人の手によってダイエット記事が書かれたりしません。
だからこそ、正しい知識を身につけて、それを実際に実行してみて、自分に合った方法を見つけることが大事なのです。

ローファットダイエットの特徴
メリット
・外食でもメニューを工夫することで対応しやすい
・夜に脂質が多い食事をすることがあっても、朝昼や翌日のトータルで調整できる
・情報がある程度インターネットに出回っており、自分で調べやすい

デメリット
・体重が減るスピードがゆっくり
・どうしても鶏むね肉や卵白をメニューから外すことができず、食事の選択肢が狭い
・元が大食いの人は物足りなさを感じる
・「後で頑張ればいいから一食くらいならいいか」という連鎖が妥協につながりやすい

ケトジェニックダイエットの特徴
メリット

・脂肪を直接エネルギーにするので圧倒的に痩せる
・食事の選択肢が広い
・腹持ちがいい肉や魚が中心なので空腹と戦うことが少ない
・糖質を摂ってしまうと台無しなため、妥協ができない状況をつくることで精神的に弱い人でもダイエットがきる

デメリット
・食費、調理の手間がかかる
・方法論がネットにあまり出回っていない
・一度でも糖質を摂ってしまうとケトーシス状態でなくなってしまうため、外食がしづらい


●終わりに


今回はまたもや最長文字数を更新してしまった上に科学的な話が多く、退屈だったかもしれません。


【ケトジェニックダイエット実践編】
【ローファットダイエット実践編】

どちらもアップしております!

ダイエットを行ったときに筆者がどんな食生活を送っていたのか?
どのくらい体重が落ちたのか?
ダイエットをする上で準備すること
等をお話しているので、是非併せて御覧ください。

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