かとうゆうか

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かとうゆうか

Twitter文学をまとめて読めるようにと、日記も少しずつ更新します🐢 https://lit.link/plasticat

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秋にしては暑い昼の日の日記

制作中は睡眠中も脳が休まらない、と思う。 脳の切り替えや忘れるのが下手で、達成感を感じられないと何かがずっとつかえたままだ。 夢の中にも制作しているシナリオのキャラクターが登場する。それは大体悪夢だ。 だから早く完成させたいという焦る気持ちも芽生えるが、焦ると面白いものにはならない。 やっと完成させたと思っても、人を集めて会場を抑えてテストプレイと修正を繰り返す。 ようやく新作の3度目のテストプレイを終え、来月半ばに向かって修正真っ只中。 エンディングを大幅に変えた。キャ

    • 自我を保つために書き連ねるどうしようもない日の日記

      さて、帰国してから2週間が経過した。 メキシコのトゥルムに7日間滞在し、そこからアムステルダムに飛んで4日間過ごした。 気を抜くと鬱になりそうなろくでもない日々を送っているが、ろくでもないなりに豊富な人生経験のおかげで脳を騙しながら鬱に入らずに人間をやっている。 しらふになるのが怖い瞬間ってあるのね、いくつになっても。 狂っていかないと生きていけないのなら、私は世界に向いていないということかもしれない。 学びを重ねて気をつけていても予想外との遭遇はあるもので、他者からま

      • 三度目のパリ滞在記

        いつも滞在するのは華々しいオーラを身に纏ったファッション関係の人がそこら中を闊歩するファッションウィークの直後のため、リッツカールトンやCostesのラウンジに行かない限りはそんなにおしゃれな人には遭遇しない。 だが適当なパーカーを着ていても建築物やそこら中にあるアートなもの補正が入ってダサくは見えない、多分。 3年ぶりに会ったニコラは現在28歳のはずだが37歳くらいに見えた。 フランス人がアジア人に比べて歳を取るスピードが速いと感じる理由が何となくわかってきた気がする。

        • 久しぶりの新宿はおじさまの回転寿司だった

          なんだか虫の知らせがあって、一昨年末まで所属していたチームの先輩にあたる人と連絡を取り合った。 常に一歩下がって、一番チームを影で支えて尽くしてきた最近チームを辞めたと聞いたからとても心配をしていた。 一時は自殺も考えたという彼の言葉に胸を締め付けられた。 彼が世の中に必要であること、尊敬してることを伝えた。 差し出がましいかなという気持ちもあったが、連絡を取ってみて良かった。 彼もクリエイティブはやめないというから、嬉しい気持ちになった。応援してます。 ある編集さんと

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        秋にしては暑い昼の日の日記

          ありふれた土曜日

          飲みに出たらやはり「今日もいい日だったなあ」と思いたい。つまりはその一日の物語に結末をつけて帰りたいと思っている。今日は昼の15時から抱けそうで抱けていなかった東中野の女と安いイタリアンバルでワインを飲み、ようやく女の部屋に入ることができた。シンクに溜まった食器が目についた。 外が暗くなってから女の部屋のベランダスペースで冷凍肉を焼いたのだが煙で体中の匂いが油臭くなり、そのまま風呂場に誘導した。そこで再び絡み合う。冗談で中に出してもいいかと聞いてみたが女の声が怒気を帯びたた

          ありふれた土曜日

          獣共に告ぐ

          溜まった煩悩を無理やり放り出したあと、呼吸を整えて少しばかりの罪悪感と欠乏感に酔いしれる。満足げに眠る女の髪を撫でると「してやったり」という興奮が私の手を微痙攣させた。朝起きてすぐに大妻女子のセフレに「会いたい」とLINEして家に呼んで抱いた。予定のない土曜日なんてこんなものだろう。 飲み会があるからと適当な理由で女を帰し、昨日ワインをこぼしたシャツと女が使ったタオルを洗濯してFANZAで10円セールになっていたセクシー女優の動画で抜いて作り置きのハンバーグを焼くと、週に2

          深夜、家を抜け出した先に

          14歳。 高校受験の勉強をしているうちに深夜1時になると、私は深呼吸してから気配を消して動き出す。 一歩一歩に数十秒をかけながら忍び足で廊下を歩き、玄関にたどり着く。 かちゃりという音が最小限で済むように願いながら、息を止めて、ゆっくりと時間をかけて鍵を開ける。 心臓はバクバクと、口から出てしまうんじゃないかと思うくらい大きく飛び跳ねる。 これは絶対に親に気付かれてはいけないゲームだ。 玄関で靴を履くと音を立ててしまうから、靴を右手に抱えて裸足のまま外に飛び出す。

          深夜、家を抜け出した先に

          どうしても眠れないまま朝方になった日の日記

          1時にベッドに入ったのになかなか寝付けないのでマイスリー5mgとデパスを1mg飲んでみたが、まるで寝付けない。 昨日も朝の5時まで眠れなかったのに、9時には起きてしまった。 パフォーマンスが悪くなるし、嫌な奴にならないためにたくさん睡眠を取りたい(睡眠不足だと嫌な奴になるって成田祐輔が言ってたらしい)のだが、昔から眠るのが下手くそだ。悪夢ばかり見るしね。 昔、悪夢日記をつけていた。 おそろしい老婆たちが私と私の家族を探していて、見つかると大きな鍋でコトコト煮られて食べられ

          どうしても眠れないまま朝方になった日の日記

          いつかの友達

          栃木で生まれた私と麻衣は同じ幼稚園のひよこ組で出会いました。公立中学校を卒業するまで同じ吹奏楽部で活動して毎日一緒に下校しました。私は勉強ができたので偏差値の高い進学校、東京の国立大学と進学しました。麻衣は偏差値が低くて制服が可愛い私立高校を中退したと母から聞きました。 大学にはおしゃれで実家が太い人がたくさんいました。私は彼女たちのようにはなれなかったので一生懸命勉強しました。それだけでは彼女たちに追いつけず親に頼み込んでカナダに留学をして経験を積み、狙ってる企業のCEO

          いつかの友達

          被害者はだぁれ

          少女と呼ばれる年齢の頃の私は、変態と呼ばれる人種が求める蜜のようなものを放っていた。あらゆる大人の男が私と話すために人形やケーキを買い与え、熱を帯びた視線を送ってきた。東大生に「一万円でおしっこを飲ませてくれ」と懇願され、教師からは誰もいない教室で抱きしめてきた。 スイミングスクールでは知らない男に無断で写真を撮られ下校中は最寄りのコンビニから後をつけられた。自宅の電話に出るとはぁはぁと淫らな声を聞かされ「電話を切ったらお母さんをやっちゃうよ」と脅され、8歳では知るはずのな

          被害者はだぁれ

          虚無

          どんな学生時代だった?という話には「テニサー入ってずっと酒飲んでた(笑)あっスノボも(笑)」という話でその場を盛り上げる。チャラーい。今と変わってないのエグいっすー。女の子と後輩たちからの侮蔑を含んだ笑い声。ディスりやすい先輩が「良い先輩」とされるということを最近ようやく知った。 明日で36歳になる。独身、西麻布在住。5年前に投資関連のベンチャーを立ち上げた頃の情熱は露と消え現在は再就職してデベロッパーとなった。信条は「どんなに二日酔いでも弊社が欲しい土地にはゲロを吐かない

          死んだ後もずっと一緒にいようね

          「俺たち死んだ後も一緒にいない?俺が先に死んだらここで黄色いレジャーシート敷いて待ってるから、迷わないで俺のところに来れるように目印にしてよ」。緑豊かな芝生の上を子供と犬が走り回り野鳥が飛び回る、まるで天国のようなフォンデル公園の黄色いレジャーシートの上で寝転びながら彼は言った。 それは彼が日曜日になると「今日は家で食べようって言ったけどカレーの口になっちゃったからベトナムレストランまで歩かない?明奈が好きなフォーとバインクオン両方頼んで食べ切れなかったらテイクアウトして夜

          死んだ後もずっと一緒にいようね

          ギャラ飲み女子のプライベート合コンat六本木like江國香織

          さて、私は六本木のバーで飲んでいたはずが『気付いたら隣で一緒に飲んでいた男』が後日開いた食事会に来ている。男の職業も年齢も知らないのに路チューをした時LINEをしっかり交換していて「3:3で飲もう」ということになり、恵比寿の隠れ家バルにコンカフェ勤務時代の仲間を召喚したのだ。 男性陣の27歳N証券勤務(豊洲住み)、27歳経産省勤務(赤坂住み)、28歳大手レコード会社勤務(神南住み)という隙のない自己紹介から始まった。Tinderに登録したら無双できるであろうビジュだ。一方で

          ギャラ飲み女子のプライベート合コンat六本木like江國香織

          若い女しか知らない世界

          エレベーターが閉まった瞬間、つい先ほどまでにこやかに対応していたはずのおじさんをディスり始めた目の前のモデルの指はタクシーの配車アプリを繰り返し操作している。なかなか配車がされないらしく舌打ちをして溜息と共に出た彼女の「きも」と言う言葉で先ほどの光景を思い出すと確かにその通りだ。 トレンドのシースルーのトップスを着て肌を透けさせボディラインの出るパンツを履いてる彼女に人々の視線は集まる。私のような一般人でさえおじさんと目が合うだけで何かを盗まれた気分になるというのに、その何

          若い女しか知らない世界

          ある夏の情事

          隣で男がゴムもつけっぱなしにして意識を落としている。このまま何事も忘れて眠ってしまいたい。それでもお互いにパートナーのある身だからという使命感を奮い立たせて身を起こす。ゴムの先にたまった白い液体が揺れていた。小さくなったものに乾いて張り付いたゴムを剥がすと男は痛そうに顔を歪めた。 「起きた?」と言おうと口を開いたら乾燥した喉がひりついた。夢現にいた男は薄目を開けてこちらを見たが再び突っ伏している。無口な男だった。肉体を交わす以外にあまり会話を交わさなかった。会う前は新宿に来

          ある夏の情事

          聖母の愛情

          幼少期から性的なことは悪いことであると繰り返し刷り込まれてきた。異性の身体に触れることは汚れること、異性を受け入れることは自分をすり減らすこと。それが母の教えだった。「新しい彼氏とはセックスした?」。母から問われるたび嘘をつき通せるほど器用ではない私の身体の反応は素直だった。 母は職質をする警察官さながら私の反応をじっと観察し、その質問を聞くと私は罪を犯したかのような後ろめたさに追い込まれた。「した」と言えば「あーあ、減ったね」と言い、「してない」と言えば「そのままババアに