TANAKA ICHIRO / 大企業の事業開発

構想力を武器に大企業で事業開発。IT業界の最新営業理論を取り入れ、独自の事業開発を推進…

TANAKA ICHIRO / 大企業の事業開発

構想力を武器に大企業で事業開発。IT業界の最新営業理論を取り入れ、独自の事業開発を推進。noteでは”Break the bias”等の濱口秀司氏の事業開発理論と、大企業での事業創出の実践知と独自理論をまとめています。実務に応用できる"使える"理論を厳選します。

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事業開発者を目指す人に30歳までに読んでほしいビジネス書籍 名著20選

事業開発をチームで進めていく中で、どうしても前提知識のばらつきが気になっていました。そこで、「みんな、これくらいは前提知識で必ず持っていてほしい」という書籍を一…

【理論】LTVとCACとマーケティングオプションの大原則

LTVと許容CACの関係、CACとマーケティングオプションの関係。この三者の関係性の大原則を理解しているとマーケティングデザインの視座が劇的に進化する。本稿では、その大…

大企業での事業開発の進め方とは

本稿では、筆者が実践してきた、①大企業のシガラミに絡みとられることなく、②自由に大企業のアセットを使いこなし、③事業を成功に導くヒントを紹介したい。本稿が、少し…

【書評】ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか(ピーター・ティール)

最近で一番痺れた本だった。紹介してくれた友人に感謝したい。新規事業を志す方には、必ず一度は読んでいただきたい一冊である。 ティール思想のキーワード。 本書で何度…

【書評】事業開発の実践論(麻生要一)

私が何百冊とビジネス本を読んできた中でも”推薦図書トップ5”に確実に入ってくる、事業開発プロジェクトのマネジメント理論を解説した書籍。新規開発、事業開発に携わる…

アンゾフの成長マトリックスを使いこなそう

大企業で事業開発を進めるには、アンゾフの成長マトリックスの市場開発から始めるのが最も効率的です。 アンゾフの成長マトリックスの使い方アンゾフの成長マトリックスは…

バリュープロポジションカーブで差別化しよう

バリュープロポジションカーブとは、競争要因を抜け漏れなく可視化し、差別化できる効果的なフレームワークです。 差別化要素を作り出すためのフレームワーク既存の競争要…

事業開発プロセス管理のフレームワークPMFを使いこなそう

PMFは、新規事業創出のための仮説導出(市場調査)と仮説検証のプロセス管理のフレームワークです。抜け漏れなく仮説検証のループを回すことができるので、特にチームで動…

【書評】営業 野村証券伝説の営業マンの「仮説思考」とノウハウのすべて(冨田和成)

仮説思考系の営業スタイルの本です。 仮説思考の営業スタイルには共感するところが多く、トップセールスの本質はココにあり、と思わざるを得ませんでした。 また、飛び込…

事業開発のセールス|イノベーションを起こす2つのスタイル

稀に、次々と新しいビジネスを取ってくることのできるセールスがいます。なぜ彼らは、新しいビジネスを引き寄せ、イノベーションを生み出すことのできるのか?本稿では、そ…

事業開発のマーケティング|プロポジションの効果的なコミュニケーション設計

事業開発のマーケティングの役割について紹介します。 マーケティングとは?確定プロポジションを用い、見込み顧客の獲得、育成、選別を行い、セールスに確度の高い見込み…

PMFとは何か

PMFとは、事業開発の市場調査と仮説検証を支えるフレームワークです。事業開発の肝である仮説検証を抜けもれなく、最短で回すためのフレームワークとして有用です。 PMFと…

事業開発のビジネスR&D|勝てるプロポジションを見つける仮説検証

事業開発(ビジネスR&D)は、新しい価値(プロポジション)を創造する専門職です。仮説検証によって、売れるプロポジションを見つけ出す方法を紹介します。 ビジネスR&D…

ビジネスR&Dとは

「事業開発の進捗と成果を可視化できれば、事業開発を仕組み化することができる」 大企業での0→1の仕事の成果が、本当の意味で形となり、事業収益の柱となるには、早くと…

【考察】事業開発とは?|Wikipedia翻訳から考える事業開発の定義

事業開発(Business Development)のWikipedia記事(日本語)がなかったのでWikipedia英語版の記事を日本語訳することで、事業開発とは何かを考えてみました。 初回更新:…

濱口秀司のDFS理論〜ストーリー価値のデザイン

濱口氏は、プロダクトの価値の源泉は、Design(デザイン)、Function(機能)、Story(ストーリー)の3つであるとしています。本稿では、ストーリー価値のデザインについ…

事業開発者を目指す人に30歳までに読んでほしいビジネス書籍 名著20選

事業開発者を目指す人に30歳までに読んでほしいビジネス書籍 名著20選

事業開発をチームで進めていく中で、どうしても前提知識のばらつきが気になっていました。そこで、「みんな、これくらいは前提知識で必ず持っていてほしい」という書籍を一覧化して教科書指定したいと思い、これまで数百冊ビジネス本を読んできた中で、これはという名著をピックアップしました。事業開発、イノベーション、新規事業を行う人にとっての読むべき価値ある名著を紹介します。

イノベーションの理解事業開発は、つま

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【理論】LTVとCACとマーケティングオプションの大原則

【理論】LTVとCACとマーケティングオプションの大原則

LTVと許容CACの関係、CACとマーケティングオプションの関係。この三者の関係性の大原則を理解しているとマーケティングデザインの視座が劇的に進化する。本稿では、その大原則について紹介したい。

マーケティング施策のデザインLTVとCACとの関係性

ペイパル創業者のピーター・ティールの名著「ZERO to ONE」。新規事業や事業開発に取り組む人には必ず読んでいただきたい素晴らしい書籍だが、この

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大企業での事業開発の進め方とは

大企業での事業開発の進め方とは

本稿では、筆者が実践してきた、①大企業のシガラミに絡みとられることなく、②自由に大企業のアセットを使いこなし、③事業を成功に導くヒントを紹介したい。本稿が、少しでも新規事業開発に取り組む皆様の参考になれば幸いである。

1. 最初のテーマを選ぶまで出来るだけ時間稼ぎをする
私は、大企業の新規事業開発では、できるだけアングラで初期仮説の検証を進めることが一番成功確率の高い方法だと考えている。

事業

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【書評】ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか(ピーター・ティール)

【書評】ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか(ピーター・ティール)

最近で一番痺れた本だった。紹介してくれた友人に感謝したい。新規事業を志す方には、必ず一度は読んでいただきたい一冊である。

ティール思想のキーワード。

本書で何度も繰り返されているキーワードは、「隠れた真実の存在」。世界のどこかに誰も見出していない革新的なイノベーションが存在すると信じて、そこにチャレンジすることを推奨している。

ティールの本質的な主張は、輝かしい才能と限られた人生の時間を小金

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【書評】事業開発の実践論(麻生要一)

【書評】事業開発の実践論(麻生要一)

私が何百冊とビジネス本を読んできた中でも”推薦図書トップ5”に確実に入ってくる、事業開発プロジェクトのマネジメント理論を解説した書籍。新規開発、事業開発に携わる人であれば、読んでおいて損はない一冊です。

最初の96ページまでは、正直ハズレの本だと思っていました。読み飛ばしながら読んでいましたが、そこでドロップアウトしなくて本当によかった。その後の章は示唆に富むものばかりで、特に事業開発のフロー(

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アンゾフの成長マトリックスを使いこなそう

アンゾフの成長マトリックスを使いこなそう

大企業で事業開発を進めるには、アンゾフの成長マトリックスの市場開発から始めるのが最も効率的です。

アンゾフの成長マトリックスの使い方アンゾフの成長マトリックスは、イゴール・アンゾフ(英語: Harry Igor Ansoff)氏によって提唱された事業の成長のために用いられるマトリックスです。成長ベクトルや事業拡大マトリクスなどとも呼ばれます。

成長戦略を、市場と製品の2軸で切り分け、既存市場と

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バリュープロポジションカーブで差別化しよう

バリュープロポジションカーブで差別化しよう

バリュープロポジションカーブとは、競争要因を抜け漏れなく可視化し、差別化できる効果的なフレームワークです。

差別化要素を作り出すためのフレームワーク既存の競争要因の可視化と、差別化要素の明確化のために、バリュープロポジションカーブというフレームワークを使用します。

バリュープロポジションカーブは、横軸に競争の軸、縦軸にその提供レベルを取り、折れ線グラフで結んだものです。既存の競争要因を左から並

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事業開発プロセス管理のフレームワークPMFを使いこなそう

事業開発プロセス管理のフレームワークPMFを使いこなそう

PMFは、新規事業創出のための仮説導出(市場調査)と仮説検証のプロセス管理のフレームワークです。抜け漏れなく仮説検証のループを回すことができるので、特にチームで動く際に効果を発揮するフレームワークだと思います。

市場調査(仮説導出)のフレームワーク(PMF)筋の良い仮説導出のために、分析を重要視しています。

分析から何を見出すかは、その人のセンスに寄るところが大きいですが、何を分析するかは、抜

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【書評】営業 野村証券伝説の営業マンの「仮説思考」とノウハウのすべて(冨田和成)

【書評】営業 野村証券伝説の営業マンの「仮説思考」とノウハウのすべて(冨田和成)

仮説思考系の営業スタイルの本です。

仮説思考の営業スタイルには共感するところが多く、トップセールスの本質はココにあり、と思わざるを得ませんでした。

また、飛び込み営業の受付突破のテクニックについては、プロダクトや技術で勝負できない(人でしか差別化できない)ビジネスでは、ここまでやるんだと感心しました。

売れる営業の本質に近いと思われる、本書の4つのキーワードについて解説します。

仮説思考の

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事業開発のセールス|イノベーションを起こす2つのスタイル

事業開発のセールス|イノベーションを起こす2つのスタイル

稀に、次々と新しいビジネスを取ってくることのできるセールスがいます。なぜ彼らは、新しいビジネスを引き寄せ、イノベーションを生み出すことのできるのか?本稿では、そのような”持ってる”セールスについて考察していきたいと思います。

2つのイノベイティブなセールススタイル新しいビジネスを引き寄せることのできるセールススタイルには、提案型セールスと受入型セールスの2タイプがあることが分かりました。

<提

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事業開発のマーケティング|プロポジションの効果的なコミュニケーション設計

事業開発のマーケティング|プロポジションの効果的なコミュニケーション設計

事業開発のマーケティングの役割について紹介します。

マーケティングとは?確定プロポジションを用い、見込み顧客の獲得、育成、選別を行い、セールスに確度の高い見込み顧客をパスすること。それが、マーケティングの位置付けになります。

図:マーケティングの位置付け

既にビジネスR&Dが、売れるモノ(プロポジション)を見つけています。マーケティングは、それを使って、より多くの見込み顧客を獲得することが仕

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PMFとは何か

PMFとは何か

PMFとは、事業開発の市場調査と仮説検証を支えるフレームワークです。事業開発の肝である仮説検証を抜けもれなく、最短で回すためのフレームワークとして有用です。

PMFとは?PMF(Product Market Fit)は、プロダクトがマーケットにフィットするかを検証する手法です。

新規事業のアイデアに対するフィードバックを実際の市場から得ることで、事業アイデアの仮説を検証します。それにより、事業

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事業開発のビジネスR&D|勝てるプロポジションを見つける仮説検証

事業開発のビジネスR&D|勝てるプロポジションを見つける仮説検証

事業開発(ビジネスR&D)は、新しい価値(プロポジション)を創造する専門職です。仮説検証によって、売れるプロポジションを見つけ出す方法を紹介します。

ビジネスR&Dとは?図:事業開発の役割

事業開発(ビジネスR&D)は、アイデアの仮説検証を通じて「売れるプロポジション」を見つけ、後行程のマーケティングにパスする仕事と定義しています。

ただし、初期段階から機能別の担当者がついていることはほとん

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ビジネスR&Dとは

ビジネスR&Dとは

「事業開発の進捗と成果を可視化できれば、事業開発を仕組み化することができる」

大企業での0→1の仕事の成果が、本当の意味で形となり、事業収益の柱となるには、早くとも5年〜10年はかかります。しかし、個人としてのキャリアはそれよりずっと短く、そのために事業開発系の人は、基本的に偉くなることがありません。

しかし、土壌を開墾し、種をまき、水をやった人がいるから、その果実を収穫できるはずです。誰の目

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【考察】事業開発とは?|Wikipedia翻訳から考える事業開発の定義

【考察】事業開発とは?|Wikipedia翻訳から考える事業開発の定義

事業開発(Business Development)のWikipedia記事(日本語)がなかったのでWikipedia英語版の記事を日本語訳することで、事業開発とは何かを考えてみました。

初回更新:2020/9/6

出所:Wikipedia(https://en.wikipedia.org/wiki/Business_development

事業開発(Business Developmen

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濱口秀司のDFS理論〜ストーリー価値のデザイン

濱口秀司のDFS理論〜ストーリー価値のデザイン

濱口氏は、プロダクトの価値の源泉は、Design(デザイン)、Function(機能)、Story(ストーリー)の3つであるとしています。本稿では、ストーリー価値のデザインについて考えます。

ストーリー価値のデザインプロダクトを売る方法を考えるとき、まず、プロダクトの本質的な価値を「プロポジション」として設定します。プロポジションは、そのプロダクトの確信的な売りのポイントです。自社の強みを生かし

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