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【読書感想#17】あなたはこの謎が解けますか? 新時代の本格SFミステリ。(ネタバレなし)

【概要】

作品名:ジェリーフィッシュは凍らない
著者:市川憂人
発行所:東京創元社
発行年:2016年
頁数:382頁
ジャンル:ミステリ、SF

【あらすじ】

特殊技術で開発され、航空機の歴史を変えた小型飛行船“ジェリーフィッシュ”。その発明者である、ファイファー教授たち技術開発メンバー6人は、新型ジェリーフィッシュの長距離航行性能の最終確認試験に臨んでいた。ところがその最中に、メンバーの1人が変死。さらに、試験機が雪山に不時着してしまう。脱出不可能という状況下、次々と犠牲者が…。第26回鮎川哲也賞受賞作。

【評価】

5/5

【感想】

※ネタバレは含みませんのでご安心ください

本作は、第26回鮎川哲也賞を受賞した新時代の本格ミステリ作品。
アガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』、綾辻行人の『十角館の殺人』への挑戦ともとれる本作は、瞬く間に話題作となった。
著者は市川憂人。ミステリ界の巨匠・綾辻行人をして「目が離せない才能」と言わしめるほどの期待の作家だ。本作でも、その精緻な筆力、前例に囚われない構成力を遺憾無く発揮している。

まさに最高傑作。
私の中では『そして誰もいなくなった』、『十角館の殺人』と同等かそれ以上の衝撃と感動をもたらしてくれた。

私自身、あまりSFは読まない。
嫌いだから避けてきたというわけではないが、その時々に読みたい小説を読むという生活を送っていると、なぜかSF小説を選ぶことは少ないのである。
だが、本作を読了して、SFの独特な異世界観を感じ、先入観とは距離を置いた想像を働かせたことで、未踏の地に足を踏み入れたような心地がした。
おそらく、これからの私は本作をきっかけにSF小説の虜となるだろう。

ミステリの観点から言えば、本作はまさに複雑怪奇である。様々な色と形の線が時には並行したり、時には垂直に交わったりして、秩序なく絡み合っている。
そして、それらがもたらす結末はまさに予想外のものであった。
私は、この謎を解ける人はいないだろう、と確信している。

難攻不落、複雑怪奇、大胆不敵な本作は、必ず全ての読者を驚かせるだろう。
ぜひ、みなさも手に取って読んでみてはいかがでしょうか。

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