和泉凛太郎

日本の古典文学の現代語訳とドイツ文学の和訳をしています。感想、応援、質問など気軽にコメ…

和泉凛太郎

日本の古典文学の現代語訳とドイツ文学の和訳をしています。感想、応援、質問など気軽にコメントしてください。古文の現代語訳や独文の和訳に関する著作権は私個人に帰属します。無断転載はお断りします。

記事一覧

固定された記事

リルケ『墓碑銘』

<原文> Rose,oh reiner Widerspruch,Lust, Niemandes Schlaf zu sein unter soviel Lidern. <和訳> 薔薇よ、おお純粋なる矛盾、 多くのまぶたの下で誰の眠りでもないとい…

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私は『源氏物語』の現代語訳をするにあたって、円地文子氏の訳をよく参考にしている。その桐壺の翻訳で、「露けき秋なり。」という箇所が「露にうるおう秋となった。」と訳されていて、なるほど作家らしい名訳だなと思った。ここで「うるおう」という言葉はなかなか出てこないと思う。

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ボードレールについて

ボードレールといえば、ポオをフランスに紹介し、象徴派の詩人にも多大な影響を与えた人物で、私は特にリルケの『マルテの手記』にも引用されている『巴里の憂鬱』の中の一…

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源氏物語の作者について

『源氏物語』の作者は紫式部というのが通説ですが、実際に五四帖すべてが紫式部の作品かというと古来様々な説があります。 国学を大成した本居宣長は『源氏物語玉の小櫛』…

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過去に訳した現代語訳は今見ると手直ししたいと思うところも多いなあ。

更級日記 現代語訳(一)

<原文>  あづま路の道の果てよりも、なほ奧つ方に生ひ出でたる人、いかばかりかはあやしかりけむを、いかに思ひはじめけることにか、世の中に物語といふもののあんなるを…

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『源氏物語』の現代語訳について

かれこれ何年も続けている『源氏物語』の現代語訳ですが、たった一行を訳すのに何時間もかけたりしているせいで遅々として進みません。 外国文学の翻訳をする時も同じくら…

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KUNILABO

KUNILABOは国立(くにたち)人文研究所が運営する人文学の学校です。現在、講座やセミナーとしては、キルケゴール入門、ゲーテの文学世界、ヘーゲル『精神現象学』を読む、『…

源氏物語に関する同人誌を出したいなあとか考えているのですが、ノウハウもないし一緒にやってくれそうな人もいないので、いつか出せれば良いなという思いだけでも投稿しておこうと思います。

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表現の不自由展

私はこの件については調べても不快に思うであろうと思い無視しようと思っていたが、ついつい気になって調べてしまった。 多くのことは語らないけれども、例えば自分の親族…

交響曲第九番

所謂、第九と呼ばれるベートーヴェンのこの曲は年末年始に演奏されることが多く、日本人には聞きなじみのある曲だと思う。 この曲の合唱部分にはシラーの『歓喜に寄す』と…

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プロフィール

日本の古典文学の現代語訳とドイツ文学の和訳をしています。応援してもらえると幸いです。現代語訳や和訳に関する質問、感想などもお待ちしています。 原文の出典 源氏物…

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Also sprach Zarathustra(ツァラトゥストラはかく語りき)

<原文> O Mensch! Gib Acht! Was spricht die tiefe Mitternacht? Ich schlief, ich schlief-, Aus tiefem Traum bin ich erwacht:- Die Welt ist tief, Und tiefer als …

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noteを始めてみました。いまいち使い方が分かりませんが、古文の現代語訳やドイツの詩の翻訳などを掲載していきたいと思っています。

リルケ『墓碑銘』

<原文>
Rose,oh reiner Widerspruch,Lust,
Niemandes Schlaf zu sein unter soviel
Lidern.

<和訳>
薔薇よ、おお純粋なる矛盾、
多くのまぶたの下で誰の眠りでもないという
よろこびよ。

Insel Werkausgabe Rainer Maria Rilke Sämtliche Werke

私は『源氏物語』の現代語訳をするにあたって、円地文子氏の訳をよく参考にしている。その桐壺の翻訳で、「露けき秋なり。」という箇所が「露にうるおう秋となった。」と訳されていて、なるほど作家らしい名訳だなと思った。ここで「うるおう」という言葉はなかなか出てこないと思う。

ボードレールについて

ボードレールといえば、ポオをフランスに紹介し、象徴派の詩人にも多大な影響を与えた人物で、私は特にリルケの『マルテの手記』にも引用されている『巴里の憂鬱』の中の一節が気に入っています。

僕の愛した人々のたましいよ、僕の讃美した人々のたましいよ。僕のこころを強くせよ。僕を支えてくれ。この世の虚偽と腐敗した悪気を僕からとおざけよ。そして、爾、主なる神よ、ねがわくは聖寵をさずけたもうて、佳き数行の詩を僕

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源氏物語の作者について

『源氏物語』の作者は紫式部というのが通説ですが、実際に五四帖すべてが紫式部の作品かというと古来様々な説があります。

国学を大成した本居宣長は『源氏物語玉の小櫛』の中で「たゞ紫式部作れりといふほかは、みなうけがたし、又末の宇治十帖は、式部が作れるにあらず、といふ説あれど、ひがことなり」と述べ、ただ紫式部の作とするのが正しいと述べています。

これに対し、例えば一条兼良の書いた『源氏物語』の注釈書『

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過去に訳した現代語訳は今見ると手直ししたいと思うところも多いなあ。

更級日記 現代語訳(一)

<原文>
 あづま路の道の果てよりも、なほ奧つ方に生ひ出でたる人、いかばかりかはあやしかりけむを、いかに思ひはじめけることにか、世の中に物語といふもののあんなるを、いかで見ばやと思ひつつ、つれづれなる昼間宵居などに、姉継母などやうの人々の、その物語、かの物語、光源氏のあるやうなど、ところどころ語るを聞くに、いとどゆかしさまされど、わが思ふままにそらにいかでかおぼえ語らむ、いみじく心もとなきままに、

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『源氏物語』の現代語訳について

かれこれ何年も続けている『源氏物語』の現代語訳ですが、たった一行を訳すのに何時間もかけたりしているせいで遅々として進みません。

外国文学の翻訳をする時も同じくらい時間がかかっているのですが、やはり言語というものを扱う以上、一言一句に責任を負うつもりで訳しているので、なかば仕方ないかなという諦めの気持ちもあります。

『源氏物語』を全訳するのは私の夢でもあるのですが、今のまま仕事の合間を縫って続け

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KUNILABO

KUNILABOは国立(くにたち)人文研究所が運営する人文学の学校です。現在、講座やセミナーとしては、キルケゴール入門、ゲーテの文学世界、ヘーゲル『精神現象学』を読む、『源氏物語』を読む、などが開講されているようです。レギュラー講座は4回8,000円、ゼミは8回12,000円となっており、比較的安い費用でアカデミズムに触れられるため個人的にとても魅力を感じています。

私は関東在住ではないので参加

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源氏物語に関する同人誌を出したいなあとか考えているのですが、ノウハウもないし一緒にやってくれそうな人もいないので、いつか出せれば良いなという思いだけでも投稿しておこうと思います。

表現の不自由展

私はこの件については調べても不快に思うであろうと思い無視しようと思っていたが、ついつい気になって調べてしまった。

多くのことは語らないけれども、例えば自分の親族の写真が展示で焼かれていたらどう思うだろうか。ましてや公的な補助金が出るイベントである。

こういった問題に表現の自由を持ち出すインテリ根性も私は好かない。良い歳をした大人が一人の人間として善悪の判断もできないのだろうか。

交響曲第九番

所謂、第九と呼ばれるベートーヴェンのこの曲は年末年始に演奏されることが多く、日本人には聞きなじみのある曲だと思う。

この曲の合唱部分にはシラーの『歓喜に寄す』という詩が引用されており、合唱部分の歌詞を一部抜粋すると以下のとおりである。

<原文>
Freude,schöner Götterfunken,
Tochter aus Elisium,
Wir betreten feuertrunken

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プロフィール

日本の古典文学の現代語訳とドイツ文学の和訳をしています。応援してもらえると幸いです。現代語訳や和訳に関する質問、感想などもお待ちしています。

原文の出典

源氏物語…新潮日本古典集成(全8巻)
シラーの著作…Sigbert Mohn Verlag Friedrich Schiller Gesammelte Werke In Fünf Bänden
ヘルダーリンの著作…Friedrich Höld

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Also sprach Zarathustra(ツァラトゥストラはかく語りき)

<原文>
O Mensch! Gib Acht!
Was spricht die tiefe Mitternacht?
Ich schlief, ich schlief-,
Aus tiefem Traum bin ich erwacht:-
Die Welt ist tief,
Und tiefer als der Tag gedacht.
Tief ist ihr Weh-,
Lust-tie

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noteを始めてみました。いまいち使い方が分かりませんが、古文の現代語訳やドイツの詩の翻訳などを掲載していきたいと思っています。