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母は手負いの虎だった

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残酷で過酷ながらも、人生から目をそらさず、命懸けで自分と向き合う幼い姉弟。そこで体験した「気づき」と「魂の覚醒」 リーディングカウンセラー丸岡淳子のノンフィクションストーリーです。
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母は手負いの虎だった10 「いのちの居場所はどこにあるのか」

母は手負いの虎だった10 「いのちの居場所はどこにあるのか」

絶望の末に高飛びした東南アジアで、流れでストリート青年の里帰りをサポートすることになり、故郷の村に着いたら「おしん!」と呼ばれたところからでの続きです。

まず、座る間も無く小学校へお招きされました。

まー!かわいいかわいい!!

テンション上がる!

波止場で見た子ども達を思い出すと胸が詰まるほどの、満面の笑顔と好奇心でわたしを取り囲む子ども達。

ちびっこたちが「おしーん!!」って騒ぎながら

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母は手負いの虎だった9 「絶望放浪する日本人が、東南アジアでストリート青年の里帰りに同行」

母は手負いの虎だった9 「絶望放浪する日本人が、東南アジアでストリート青年の里帰りに同行」

母との生活に絶望し、父に呆れ果て。

死出の旅として東南アジアへ高飛びしたら、ある青年の里帰りに同行することになり。ジャングルの奥地へ向かうところからの話です。

波止場での絶望的な子ども達を見つめた後。

フェリーの中はスリだらけだから、親しげに話しかけてくる人とは会話しないようにと警告され、甲板へ上がった私です。

ベンチに座って風景を眺めれば。

遠くに見える島と、真っ青な海と空。

波止場

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母は手負いの虎だった8 「純粋な絶望・子ども達の命の目撃者になる」

母は手負いの虎だった8 「純粋な絶望・子ども達の命の目撃者になる」

もう消えたい。

そんな心境の19才が訪れた異国の地で。

なぜか、ある青年の里帰りをスポンサーし、同行することになった所からの続きです。

ジャングルの奥地にある、青年の故郷まではフェリーに乗り、山を越える必要がありました。

まずは車ごとフェリーに乗るため波止場へ。

近くまで行くと、さっきまで音楽かけてご機嫌だった青年が、路肩に車を寄せて停車。

真面目な、ちょっと沈んだ表情で。

「何があ

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母は手負いの虎だった7 「お母さんに会いたい人とジャングルを超えていく旅」

母は手負いの虎だった7 「お母さんに会いたい人とジャングルを超えていく旅」

母の暴力暴言、猟奇的行動に疲れ果て。

父の無鉄砲な突き放しと逃避っぷりに呆れ果てた私が、死出の旅として東南アジアへたどり着き。

なぜか、ジゴロ青年達のカウンセラーになって、日々、ボディガードが付いてくれる様になった所からの続きです。

現地語と日本語ごちゃまぜの、変な言語でトークをしている私は。

現地の人並みに黒く日焼けしていて。

髪型はスパイラルパーマ(昔の電話のコードみたいなの)

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母は手負いの虎だった6 「偏見は無知なり・人が本来見るべきところ」

母は手負いの虎だった6 「偏見は無知なり・人が本来見るべきところ」

手負いの虎シリーズ。全部はとても書けないボリュームなので。メインイベント的なことを書き綴っています。

壊滅的に何か壊れた気がした19才の私。

なんかもう、とにかく、ぜんぶ、

ぜーんぶどーでもよくなっちゃったんですよね。

この世なんかどうせ自分とは関係ないし。

国の相談所も全然、具体的には力かしてくれなかったし。

身内はみんな他人事扱いだし。

異性にモテても全然現実味ないし。

唯一、

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母は手負いの虎だった5 「現代人は選択肢があるから迷うのか?選べるということ」

母は手負いの虎だった5 「現代人は選択肢があるから迷うのか?選べるということ」

「選択肢」について話したいと思います。

わたしが小学校1年生の頃だったか。

夜、寝ている時に「いたっ!」と感じて起きたら。

泥酔した母が泣きながら。

私の手首に、ぐにゃぐにゃと包丁を切りつけていましてね。

私が目を覚ますと、今後は自分の胸をめがけて包丁をゆるっと突き立てました。

ぐでんぐでんなので手に力が入っておらず、いずれも軽傷。

わたしは自分の手首を見て

「自転車でひどく転んだ

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母は手負いの虎だった4 「群集心理の出どころを知る・薄ら笑いの野次馬」

母は手負いの虎だった4 「群集心理の出どころを知る・薄ら笑いの野次馬」

ディープに綴るサバイバルサンプル。手負いの虎シリーズ4話目です。

【閲覧注意】今回の内容はユーモア適応外の事件が含まれます。

母は毎日泥酔しておりました。
足元はよろよろですし。
呂律は回らないし。
支離滅裂なことを叫んでは気絶したり。

わたしも弟も

「うちだけ戦場」

みたいな、生死に直面する毎日に疲れ果てていて。

10代にして、精神は。

死ねない人生を3ターンくらい生きた感じがして

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母は手負いの虎だった3 「人の闇は滑稽でユーモアは最強」(ただし例外あり)

母は手負いの虎だった3 「人の闇は滑稽でユーモアは最強」(ただし例外あり)

わたしが「手負いの虎」だった母について綴るのは。

こんな破天荒な状況で30年くらい過ごしても。

結構、笑いの沸点低く、ヘラヘラと楽しく生きているわたしの例もあるから。

環境や人間関係で。人生の過酷さやショックから立ち直れずに、今も窒息悶絶している人がいるなら。

どうかこまめにゆるんでね!

人生にはどこかしら滑稽さがあるから、そこ、自分への取材してね!

という願いからです。

日本は「笑

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母は手負いの虎だった2 「これじゃないってものを差し出されても人は受け取らない」

母は手負いの虎だった2 「これじゃないってものを差し出されても人は受け取らない」

幼い頃のわたしに、母から浴びせかけられる

「わたしの子どもとは思えない」

「本当に嘘つきで嫌な人間」

「あなたは冷たくて薄情」

「売女みたいに男に媚び売って」

などの言葉を聞くたびに。

幼心なりに

『うちの親、おかしいな』

と感じました。

相当おかしい。

わたしの真実とも事実とも違うことを言われている。

そうわかってはいても。

思ってはいても。

毎日、昼夜問わず、夜中に叩

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母は手負いの虎だった1 「母の悲しみ」

母は手負いの虎だった1 「母の悲しみ」

スズメは20gの体で、懸命にヒナを育てようとします。

野生の生き物は自然の育みを誰に教わらずとも、子を敵から守り、自立に必要な知恵を授け、その時が来たら突き放すかのように親は自ら離れていく。

そんな自然の育む姿は、なぜか人間ではエラーを起こしてしまうようで。

感情と知恵が複雑なほどに成熟した生き物ならではなのかな、と思います。

わたしの母はアルコール依存症でした。

とても美人で成績優秀な

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