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随想記「Only it」

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ネクタイの物語

ネクタイの物語

気分転換の気分にも押され、タンスの整理、断捨離の儀を執り行うことにしました。

衣類品はもちろんのこと、ネクタイのような服飾品もその対象になります。

結果、この10本と別れることに決めました。

別れの理由は、それぞれにあります。

Men’sにとって、Vゾーンを彩ってくれたネクタイには、その1本1本に「戦友」的な思い入れとメモリーがあるもの。(少なくとも私には)

「これは、あの苦しかったプロ

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さようなら、テリー。

さようなら、テリー。

 今日、「テキサスの荒馬」テリー・ファンク が亡くなったというニュースが飛び込んできました。
 79歳。数年前から闘病されて(パーキンソン病)おられる報を目にしていましたが、生涯プロレスラーのテリー・ファンク。きっと本人も、引退したという意志は最後まで持っていなかったのだと思われます。 

 私と同年代の男子の多くは、日曜夜8時(だったかな?)のプロレス中継に夢中になっていたものです。馬場、猪木の

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アンニュイとスピリチュアル

アンニュイとスピリチュアル

ラジオを聴いていたら、懐かしい曲が流れてきた。

「雨音はショパンの調べ」

昭和の終わり頃、この人が大好きでよく聴いていたことがよみがえってきてくれた。

あの時代、「アンニュイ」というフレーズがキャッチーにもてはやされ、思考の浅い会話を交差させている若者風俗文化が浸透していた。

その先端にいたのが、小林麻美だったように受けとめている。

そんな、浮遊感があの時代の若者文化には存在していた。だ

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くちなし

くちなし

今日、街を歩いていた時に目についた、とある店先に並べられてあった鉢植の花。
あゝこれは、昔ご縁があった旧友が好きだった花だなと、直ぐにインスピレーションが走り、急ぐ足を止められてしまいます。

これは、くちなし(ガーディニア)。

今もあるだろうか。
昭和の終わり頃、東北大学の片平キャンパスのとある一角にこの花が植えられており、そこを通った時にくちなしの薫りに気がついた旧友は嬉々として、この花が大

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広末騒動について

広末騒動について

人を好きになるということ。
出会いには「順番」があるのでしょうか。それが本物の出会いであるなら、それが一義になるものではないはずです。

たとえ、人生のどのタイミングであろうとも、順番が狂っていると指摘されようとも、好きになってしまったものは、世間がいいとか悪いとか騒ぐものではありません。
その恋愛が正しいかどうかを決めることができるのは、当事者のみであること。社会でも、世間でも、マスコミでも、周

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誰も知らないフラメンコ

誰も知らないフラメンコ

このフライヤーを制作するにあたり、Main Visualとなる写真にはいくつか候補が挙げられていました。

この中から、この写真をセレクトすることに、さほどの時間を要することもありませんでした。即断即決、撮影を担当された東京のカメラマンに連絡を入れました。

通常、フラメンコに限らず、舞踊全般での公演のプロモーションにおいては、踊り手のステージ時の舞踊写真そのものを選ぶのが当たり前すぎる事実です。

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アマポーラ

アマポーラ

 今日は、幼馴染の同級生が旅立っていった日。
 ずっとその事実を知らなくて、亡くなったことを知らされた時、もう既に故人となって10年が経過しようとしていた。4年前の丁度その時、初出版の詩集を世に出す時期と重なり、故人である同級生・Mちゃんへ捧げる詩をラストに掲載した。

タイトルは、「ひなげしの君へ」

 控えめで素朴ながらも、確かな主張を帯びたひなげしの佇まいに彼女のイメージを重ねてしまったのは

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好きではない、この言葉

好きではない、この言葉

 社会人になって、貫いている想いのひとつに、この言葉を使わないことを決めています。

 それは、「忙しい」。

 入社して間もないころ、当時の先輩に、この言葉が口癖のような人がいました。この言葉をまるで己を纏うバリアのように使い、周囲からの細かい要件があっても話しかけずらい雰囲気を意識して作っているような、そんな印象を受けたものです。

 20代前半の私、その姿勢に強い嫌悪感とともに反面教師として

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へいわとせんそう

へいわとせんそう

やっぱり手元に一冊欲しいなと思い、購入。

これまで出会った絵本の中で、一番好きな本です。

世界中で翻訳されて、紛争地に渡ってくれますように。

伊勢の語

伊勢の語

今日届いた本。

もう、嬉しくて、嬉しくて。

信仰がどうの、スピリチュアルがどうのという次元の点ではなく、

今の自分には、

「伊勢神宮」が発するWordの世界のすべてが心地よくてならないということ。

それだけです。

「一生に一度はお伊勢さん」

そのように言われますが、

あの場所で得られた光は、決してあの時だけのものではなく、今もずっと自分の心を照らしてくれています。

行き場のない涙

行き場のない涙

先日、友人からのメールで、神楽坂下の「紀の善」が閉店されたことを知らされました。
閉店は、昨年9月末のことだったようです。都内の中では際立って情緒的且つ個性的で、一番好きな江戸風情が在る街、神楽坂。紀の善は、多くの文化人にも愛され、神楽坂の中で最も神楽坂らしい店だったのではないかと振り返られます。

写真は、10年前にFBにアップしていた画像。ご存知、抹茶ババロアとウインドーに飾られたテイクアウト

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ぎこちない男

ぎこちない男

 相手が発する言語の一語一句から漏れるサインを見逃すことなく、敏感に空気を読み解くことができるスマートな男性。それが大人のパスポートを得ている証なのかな、と投げかけてみた。
 すると、親友の彼女はこう返答してくれた。

「でもね、ぎこちない男も好きよ。ホテルやレストランなどでのエスコートはスマートに、でも、手をつなぐとか愛を語る時は、ぎこちなくてもいい」

 ああ名言だなと、思わず心が飛び跳ねてし

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ランチに駆け抜けて行った、たしかなもの。

ランチに駆け抜けて行った、たしかなもの。

 ある日のランチ時間でのこと。
 斜め後ろの席の男女カップルが交わし合う、マスク越しの活発な会話が否応にも耳に入ってきてしまう。
 就職のこと、バイトのこと、ゼミのこと。
 その内容から、大学生であるという容易な推測が脳内で整理できた。そして、会話はこんな展開に入っていった。

「あたしのような真面目な人を探してね」
「あたしのような真面目な人じゃないと、結婚式には行かないからね」

 どうやら、

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いつか登れなくなったなら

いつか登れなくなったなら

宮城県塩竈市「鹽竈神社」、表参道「男坂」。

この202段の石段を登って参拝に上がるのは、1年ぶりのこと。

途中、中間地点の中休み所で足を止めて呼吸を整え、その後一気に登りきりました。

もちろん、激しく呼吸が乱れる目一杯の有様でしたが、それでも足だけはスイスイと運べたかなと、まずまずの自己採点をあげてもいいかなと思っています。

そして、思ったことがひとつ。

「いつか、この男坂を登りきれなく

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