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"助けを求めて、それを処理し、自分と切り離して整理していくこと"

久しぶりに小説を一気に読んだ。
ずっと座っていたからだろうか…、身体がこわばっていた。

読んだのは"さらさら流る"という小説。題材はリベンジポルノと重い。けれど、けして読後感は悪くない。

元々は新聞の広告に載っていて興味をそそられたのだ。自分や身近な人が似たような状況(個人情報の流出)に陥らないとも限らない…。杞憂だろうが一つの例として知っておこうと読んだ。

今は誰でもSNS上に写真や文章を載せられ、一秒もあれば世界中に発信が出来る。この小説のように個人情報の流出は身近にあるだろう。

そして、世間的によくあることだからといって晒された側が傷つかないわけではない。この小説の主人公の場合、写真を見つけた後に服装や他人の視線に過敏になる。仕事も今までのようには手につかなくなる。ふとした瞬間に恐怖が襲ってくるからだ。

でも。傷ついたからといって被害者が何も行動を起こさなければ、その情報はいくらでもどこまでも広まっていく。一度流出すると抹消することは不可能に近い。

そんな状況の中、家族や友人、弁護士の助けを借りて不安や懊悩としながらも再生に向かっていく。

いずれにせよ、つい数週間前までは眠れないほどに悩んでいたことが、ひとつひとつ終わりに向かっている。
奇跡は起こらなかった。劇的な成長もなかった。それでも、恐怖と向き合い問題を可視化した。助けを求めて、それを処理し、自分と切り離して整理していくことを学んだ。

近道はない。
けれど、向き合うことや人の助けを借りることで一つ一つ終わっていく。さらに

自分と同じような経験を持つ女性たちと何らかの形でつながれないか、役に立てることはないか、と思い始めている。

どんな経験も、最終的には糧に出来るんだなぁと思った。その考えに至るまでに紆余曲折をへたり、時間はかかるかもしれないけれど。



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