坂爪圭吾

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  • 【壇珠×坂爪圭吾】『男と女の往復書簡』

    • 167本

    壇珠×坂爪圭吾

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ホームをレスした話(1)

2014年のバレンタインデーに、私は、ホームをレスした。 当時、私は東京の渋谷界隈で彼女と同棲をしていた。この日、彼女から「話がある」と言われ、私は「バレンタイ…

坂爪圭吾
6年前
832

楽になる勇気。

私が暮らす熱海は、観光地として一度廃れ、数年前に奇跡の復活を果たした。商店街は原宿の竹下通りもびっくりの賑わいを見せて、レトロ好きの若者も大勢来る。普通、観光客…

坂爪圭吾
1日前
215

小さくて可愛いものを探す旅。

茨城在住の女性S様からヘルプをいただき、水戸に向かっている。私の正しい使い方である。最近、会社をクビになったり、家を追い出されたり、恋人にフラれたり、病気になっ…

坂爪圭吾
3日前
253

わたり文庫開設のお知らせ。

自宅を開放して図書館を作ることに決めた。名前は「わたり文庫」で、わたり鳥のように世界各地を本が飛来すればいいと願う。返却の必要はない。そのまま持ち続けてもいいし…

坂爪圭吾
12日前
319

家族とポジティブに絶縁する。

母親から不在着信があった。電話が来ることは滅多にない。家族の誰かが倒れたのだろうか。それとも、何か問題が起きたのだろうか。不信に思いながら電話をすると、母親が出…

坂爪圭吾
2週間前
381

俺に惚れるな。自分に惚れろ。

ストーカー被害に遭って困っている。なぜ、女をストーカーにさせてしまうのか考えた。おそらく、私が初めてを奪ってしまったからだと思う。ほとんどの女性が肉体的な処女は…

坂爪圭吾
1か月前
312

俺が来たから大丈夫だ。

愛知県在住の男性T様が「自分を大事にできていないから、人のことも大事にできていない」と言った。誤解を恐れながら言うと、私は、こう言うことを言う人が好きではない。…

坂爪圭吾
1か月前
351

嫌いなもののために死ぬなよ。

シングルマザーの女性M様から「息子の高校の入学式に来て欲しい」とご連絡をいただいた。学校が苦手な私たち親子に坂爪パワーを分けてくれと。よかろう。私の正しい使い方…

坂爪圭吾
1か月前
337

ちゃんと恋愛をしなさい。

旦那以外の男と付き合ってみたいと話す新潟在住の女性K様にお会いした。学生時代に今の旦那と出会い、そのまま結婚をしたために男性経験がない。旦那は優しい。家族のため…

坂爪圭吾
2か月前
451

幸せになら一秒でなれる。

知らない人に会うことは、知らない国に行くみたいだ。ハワイに呼ばれて、マウイ島に八日間滞在した。事前に決まっていたことは、朝晩三十分の瞑想だけ。それ以外は自由行動…

坂爪圭吾
2か月前
281

もう、頑張らなくていい。

バイク事故に遭って左半身がおかしくなり、歩くこともままならなくなってしまった。幸い命に別状はなく、昨日は喫茶店でお茶も飲めた。左半身を引き摺るように歩くために、…

坂爪圭吾
4か月前
432

お前はお前のファンになれ。

新潟で開催されたトークイベントに出た時、参加者の女子高生から「私は不登校で家で本を読んでいることが多いのですが、坂爪さんの話を聞いていたら体を動かしたくてたまら…

坂爪圭吾
5か月前
573

生きることも死ぬことも全部祭り。

女性S様に誘われて京都の街を歩いていた時、八坂神社の前を通った。S様が「ちょっといいですか」と言って、鳥居の前でお祈りをした。私はそれを黙って見ていた。数十秒後…

坂爪圭吾
5か月前
439

生きろ。生きてお前を見せてくれ。

なまけもののT様が看病に来た。なまけものだから、私よりずっと横になっている。私がT様の布団を敷き、私がT様の料理を作る。「逆だろ」と思うのだが、愉快になる。元気…

坂爪圭吾
5か月前
430

愛の爆竹を鳴らせよ。

著名なロックバンドのボーカルがライブ中に倒れ、五時間足らずで息を引き取った。脳幹出血だった。ロックンローラーとしてこれ以上ない大往生だと思うのだが、周囲のリアク…

坂爪圭吾
6か月前
464

魂の成長なんて言葉に騙されるな。

長崎で出会ったおでん屋さんがよかった。八十歳になるおばあちゃんが店主の、カウンター十席だけの小さなお店。壁にはデカデカと「酔っ払いお断り」と書いてある。入店した…

坂爪圭吾
7か月前
434
ホームをレスした話(1)

ホームをレスした話(1)

2014年のバレンタインデーに、私は、ホームをレスした。

当時、私は東京の渋谷界隈で彼女と同棲をしていた。この日、彼女から「話がある」と言われ、私は「バレンタインデーだから、チョコかな?」などと呑気に構えていた。が、彼女の口から出た言葉は「あなたとの未来が見えない。だから、別れたいと思う」という、チョコよりもビターな別れ話だった。小一時間程度の話し合いを経て、私たちは別れることになった。私は、渾

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楽になる勇気。

楽になる勇気。

私が暮らす熱海は、観光地として一度廃れ、数年前に奇跡の復活を果たした。商店街は原宿の竹下通りもびっくりの賑わいを見せて、レトロ好きの若者も大勢来る。普通、観光客が増えると、飲食店も営業日を増やす。だが、熱海の飲食店は、休業日を増やした。資本主義的な考え方だと「稼げる時に稼げ」となるのだろうが、熱海の人々は「これまで五日働かなければ稼げなかった額を四日で稼げるようになったから、休みを三日に増やそう」

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小さくて可愛いものを探す旅。

小さくて可愛いものを探す旅。

茨城在住の女性S様からヘルプをいただき、水戸に向かっている。私の正しい使い方である。最近、会社をクビになったり、家を追い出されたり、恋人にフラれたり、病気になった人は、そのことを悲しむのではなく、そのことを喜んだ方がいい。自然が「そっちじゃないよ。こっちだよ」と、教えてくれている。運が悪いのではなく、運が良い。絶好調。ついていないのではなく、ついている。間違いなく、この先に素晴らしい未来が待ってい

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わたり文庫開設のお知らせ。

わたり文庫開設のお知らせ。

自宅を開放して図書館を作ることに決めた。名前は「わたり文庫」で、わたり鳥のように世界各地を本が飛来すればいいと願う。返却の必要はない。そのまま持ち続けてもいいし、誰かにあげてもいい。お金も取らない。全部無料。一切合切無料。種を撒くように、本を撒きたい。お金にはならないかもしれないが、お金以上のものになる予感がある。わたり文庫のテーマは「こどものための図書館」で、私たちおとなの心の中にもこどもはいる

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家族とポジティブに絶縁する。

家族とポジティブに絶縁する。

母親から不在着信があった。電話が来ることは滅多にない。家族の誰かが倒れたのだろうか。それとも、何か問題が起きたのだろうか。不信に思いながら電話をすると、母親が出た。母親は「お父さんが…」と言った。父が倒れたのだろうか。高齢の父だ。いつ、何があってもおかしくない。母親は続けた。お父さんがね、けいご(私)のアカウントでAmazonプライムを見まくっているんだけど、有料チャンネルに登録しちゃったみたいで

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俺に惚れるな。自分に惚れろ。

俺に惚れるな。自分に惚れろ。

ストーカー被害に遭って困っている。なぜ、女をストーカーにさせてしまうのか考えた。おそらく、私が初めてを奪ってしまったからだと思う。ほとんどの女性が肉体的な処女は捨てて来る。だが、精神的には処女だった女性が、私に痛いところを突かれて「こんなのはじめて!」となり、初めての男認定される。誰も見てくれないところを、この人(俺)は見てくれる。誰にも見せていない部分を、この人(俺)にだけは見せることができる。

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俺が来たから大丈夫だ。

俺が来たから大丈夫だ。

愛知県在住の男性T様が「自分を大事にできていないから、人のことも大事にできていない」と言った。誤解を恐れながら言うと、私は、こう言うことを言う人が好きではない。自分を深掘りした人で、魅力的な人を見たことがない。自分を深掘りする人は、自分に集中し過ぎるあまり、目の前の人間を無視しがち。目の前の人間を道具にしがち。くれくれになりがち。コミュニケーションがテンプレになりがち。嫌われたくないとか言いながら

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嫌いなもののために死ぬなよ。

嫌いなもののために死ぬなよ。

シングルマザーの女性M様から「息子の高校の入学式に来て欲しい」とご連絡をいただいた。学校が苦手な私たち親子に坂爪パワーを分けてくれと。よかろう。私の正しい使い方である。数億年ぶりに学校に行ったら「北朝鮮じゃねえか」と思った。軍だ。軍国だ。監獄だ。刑務所だ。何が憲法九条だ。絶賛戦時中じゃねえか。ロックンロールが大好きなM様は革ジャンで来るだろうと踏み、私は毛皮のコートで行った。他の保護者や教員を「や

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ちゃんと恋愛をしなさい。

ちゃんと恋愛をしなさい。

旦那以外の男と付き合ってみたいと話す新潟在住の女性K様にお会いした。学生時代に今の旦那と出会い、そのまま結婚をしたために男性経験がない。旦那は優しい。家族のために仕事も頑張っている。旦那に文句があるわけでも、離婚をしたいわけでもないのだが、このまま枯れて行くのは女としてどうなのかという思いもある。当然、夜の営みはない。そのようなことをK様は話した。話を聞くと、K様には幼少期から死にたい願望が強くあ

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幸せになら一秒でなれる。

幸せになら一秒でなれる。

知らない人に会うことは、知らない国に行くみたいだ。ハワイに呼ばれて、マウイ島に八日間滞在した。事前に決まっていたことは、朝晩三十分の瞑想だけ。それ以外は自由行動で、渡航費と滞在費は全額を出していただいた。ハワイに行く前、有り金をおはなに変えて東京で配った。女性A様から「おはなと旧米ドル紙幣を交換しませんか?」と連絡をいただいた。A様は化学物質過敏症で、なかなか遠出をすることができない。最近の調子は

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もう、頑張らなくていい。

もう、頑張らなくていい。

バイク事故に遭って左半身がおかしくなり、歩くこともままならなくなってしまった。幸い命に別状はなく、昨日は喫茶店でお茶も飲めた。左半身を引き摺るように歩くために、速度も出ない。だから、健康な人に道を譲る。階段の上り下りが難しいから、よいしょよいしょと言いながら一歩一歩ゆっくりと上る。優しい人が、時折微笑みかけてくれる。体の自由が効かないことは不便だが、不幸ではないと思った。変な言い方だが、怪我人にな

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お前はお前のファンになれ。

お前はお前のファンになれ。

新潟で開催されたトークイベントに出た時、参加者の女子高生から「私は不登校で家で本を読んでいることが多いのですが、坂爪さんの話を聞いていたら体を動かしたくてたまらなくなったので走って帰ります!じゃ!」と言われた。大阪で開催されたライブに出た時、参加者の若い男性から「実はライブの途中に帰りました」と後から連絡をもらった。最初はオーディエンスとして演奏を楽しんでいたのだが、だんだんと「なんで俺は客席側に

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生きることも死ぬことも全部祭り。

生きることも死ぬことも全部祭り。

女性S様に誘われて京都の街を歩いていた時、八坂神社の前を通った。S様が「ちょっといいですか」と言って、鳥居の前でお祈りをした。私はそれを黙って見ていた。数十秒後、祈りを終えたS様は「スサノオノミコトから力を貰いました」と言った。そして、意を決した表情で「坂爪さん、私を抱きませんか」と言った。私は、その、あまりにも露骨な展開に大笑いしてしまった。スサノオノミコトは破茶滅茶な神様で、皆様ご存知の通り、

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生きろ。生きてお前を見せてくれ。

生きろ。生きてお前を見せてくれ。

なまけもののT様が看病に来た。なまけものだから、私よりずっと横になっている。私がT様の布団を敷き、私がT様の料理を作る。「逆だろ」と思うのだが、愉快になる。元気になる。昔からめちゃめちゃな人が好きで、正解じゃないことをやる人に正解を感じる。T様にも一応人間の心はあるから「悪いね」と謝罪をしてくる。私は「別にいいよ。だけど、そろそろ洗濯をしなくちゃいけない」と言った。T様は「ジャンケンで負けた方が洗

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愛の爆竹を鳴らせよ。

愛の爆竹を鳴らせよ。

著名なロックバンドのボーカルがライブ中に倒れ、五時間足らずで息を引き取った。脳幹出血だった。ロックンローラーとしてこれ以上ない大往生だと思うのだが、周囲のリアクションは「悲しい」「言葉にならない」「若過ぎる」など、湿っぽい。誤解を恐れずに言うと、お前ら全員馬鹿なのかと思う。若過ぎるってなんだ。五十七歳だぞ。十分生きたよ。大往生じゃねえか。お前らちゃんと音楽聞いてたのかよ。消費してるだけじゃねえか。

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魂の成長なんて言葉に騙されるな。

魂の成長なんて言葉に騙されるな。

長崎で出会ったおでん屋さんがよかった。八十歳になるおばあちゃんが店主の、カウンター十席だけの小さなお店。壁にはデカデカと「酔っ払いお断り」と書いてある。入店した瞬間、おばあちゃんに「お前、何しに来た?」と睨まれた。私には、レビューの評価が最悪の店に行く趣味がある。最悪と最高は紙一重で、ある人にとっての最悪はある人にとっての最高になる。このおでん屋さんは、最高だった。何を頼むか迷っていたら「迷うな」

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