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エッセイ集Ⅱ

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ちょっと読むのはしんどいと感じてします本の内容をかみ砕いて書いていきたいと思っています。
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#エッセイ

学芸員は観光振興のがん

地方創生相が発言した一言。「がん」ということばに、患者やその家族から傷ついたという声が多く届いていると日経新聞の春秋蘭に書かれていた。「○○はがん」この表現、確かに何気なく使用してしまうケースがあるような気がする。何気ない一言が、思いもよらぬ人々を傷つけてしまう。

「がん」を辞書で引くと「そのものの内部にあって、取り除きようのない障害、欠点」(新明解国語辞典)とある。病気の「がん」からくる比喩な

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「辛抱する」ということ

「辛抱する」ということ

 プロフェッショナルのスペシャル番組で70歳になる天ぷら職人が、18歳の弟子体験者にこう言っていた。

「修行とは、辛抱することを覚えることだよ。辛抱することを覚えている内に、何かを身につけることになる。それが掃除だとしても、それで一番になれるということは、天ぷらを揚げることでも一番になれる力があるということなんだ。(言い回しは違っていたと思います)」

 ふと、その時、「急がないで速くやる」とい

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日本人が消えるとき

日本人が消えるとき

 斎藤成也著『DNAから見た日本人』(ちくま新書)の最終章は、『「日本人」が消えるとき』という衝撃的なタイトルとなっている。

 すぐにどうのこうのという話ではない。1000年後ぐらいのスパンで見たときに、「日本人」という日本語を話し、日本文化を維持している人種がいるかどうかということを推測している。

 もう一つ、衝撃的な事実がある。『日本民族学会』が2004年に『日本文化人類学会』と名を改めた

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Pinterest

Pinterest

 最近、気になっているサイトをご紹介します。今回紹介したいのは、Pinterestというサイトです。

 私ごとで申し訳ありませんが、最初にブログを始めたのは、はてなというサイトでした。このサイトには、『ブログ』のほかに、『アンテナ』、『ブックマーク』などがあります。

 『アンテナ』はお気に入りをリスト表示して、ワンクリックでそのサイトに飛べる機能です。この『アンテナ』をブラウザの初期画面に設定

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台風

台風

 東南アジアの海域で発生した熱帯低気圧のうち、風速がおよそ17m/s以上のものを台風と言います。

 そのエネルギー源は、海水です。低気圧となった海面に海水を含んだ空気が流れ込み、それが上昇気流となります。

 低気圧というと、天気予報の天気図で見ているので、空にあると思ってしまいがちですが、海面や地面にかかる空気の圧力が大気圧なので、低気圧とは海面や地面にかかる空気の圧力が低い場所ということにな

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話ことばと文字

話ことばと文字

 最近、文書を書くときによく漢字がでてこないことがある。難しい漢字が思い出せないのではない。こんな漢字を忘れるはずがないという漢字が思い出せないのだ。この間も滋賀県の滋賀がすぐに頭に浮かばず、相当やばいことになっていることを自覚した。

 手にしびれがあることから、字を書くという動作を極力さけ、パソコンやスマートフォンを使うのが当たり前になってしまっている。しかし、だ。やはり書くという動作は、人間

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日本海⑦

日本海⑦

 日本海が、世界の海の縮図だということを以前書きました。世界の海が約2000年かけて循環しているのに対して、日本海では、100年から200年単位で循環しているそうです。

 この循環があるおかげで底層域まで酸素が届き、多種多様の生き物が育み、豊かな海が形成されています。循環を生み出すのが、シベリア高気圧でした。大きなエネルギーをもったこの高気圧は、同時に冷気も持ち込みます。この冷気で冷やされた海で

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日本海⑥

 海面が非常に低かった氷河期が過ぎ、気温が上昇しはじめます。インドがユーラシア大陸にぶつかった影響で、東側の陸地の一部が大陸から離れ、低い部分に海水が流れ込み日本海ができます。それと同時に日本列島が誕生します。

 ユーラシア大陸から流れてきた人がそこに住みつき始めます。その頃には、日本海から供給される淡水によって森林が産み出されました。日本の森林率は66%だそうです。国土の3分の2が森林となって

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日本海⑤

日本海⑤

 地球上の大陸は、全ての大陸が繋がり、1つの大陸になって、また分裂していくことを繰り返しています。最近といっても約2億年前に全ての大陸がつながってできた超大陸「パンゲア」があったそうです。その「パンゲア」がまた、分裂し、現在のような大陸が散在する姿になったと考えられています。

 約3000万年前、日本はまだ存在しておらず、ユーラシア大陸の一部だったと考えられています。今から約2000万年前、ユー

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日本海④

日本海④

 このシベリア高気圧がもたらす北西風は、日本海にもう一つ変化をもたらせます。ロシアに近い北側の海では、この北西風の冷気が表層の海水を冷やします。

 表層の海水温度は、どんどん下がっていき、最後には、海水を氷結させます。凍った海水からは塩分が流出し、その周りにある海水の塩分濃度があがります。こうしてできた塩分が多く、温度の低い海水は、比重が重くなって、重力で、海の底へと沈んでいきます。十分な重さを

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日本海③

日本海③

 日本海というと、どうしても写真のような冬の激しい波しぶき、荒れている海を想像しがちです。しかし、1回目に書いたように、風呂桶のような構造をしている日本海は、海峡から入ってくる海水の量が少ないため、潮の満ち引きが少なく、穏やかな海のはずです。実際、冬以外は穏やかな日が多いようです。

 それでは、どうして荒れている海を想像してしまうのでしょうか?やはり、冬の寒さと雪、そして、太平洋側まで影響を及ぼ

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日本海②

日本海②

 前回に引き続き、蒲生俊敬著『日本海』(ブルーバックス)を参考に日本海を見ていきます。

 海水は、暖かいと密度が小さくなって軽くなります。逆に温度が低いと密度が上がり重たくなります。海では、軽い海水が、重い海水の上に浮かんでいる構造になっています。外部から力を強制的に受けなければ、この状態は変わりません。

 今のお風呂は、きちんと水が循環する作りになっているので、感じることは少なくなりましたが

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日本海①

日本海①

 蒲生俊敬著『日本海』(ブルーバックス)を今読んでいます。太平洋側に住んでいる私たちにとって、日本海は近いようで遠い存在、そんなふうに思っていました。冬の荒れた日本海の波しぶき、淀んだ灰色の雲、そんな風景だけを思い浮かべてしまう、なんか暗いイメージの方が強い気がします。

 しかし、食べ物でイメージするとカニであったり、ホタテ、そしてホタルイカやブリ、日本ならではの食材が次々と浮き上がってきます。

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昔の看板が右から左へ書かれていた訳

昔の看板が右から左へ書かれていた訳

 普段ぼくらが、目にする看板や標識は、文字が左から右へ進む。いわゆる横書き文字である。

 今書いている書き方がまさしく横書きである。

 子どもの頃、年季の入った昔からある店の看板の中に、横書きだが、文字が右から左に進むものがあった。子どもながらに、なぜ反対に書いているのだろうと不思議に思ったことがあった。

 あの頃は、ふしぎだなと思っても、それがなんでそうなっているのかなど考えずに、不思議は

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