細井 康生(koki ho-soy)のオリジナル小説【Psy-Borg】

”インディペンデント小説家”細井康生(ホソイコウキ)です。 人の意識の在り方をテーマに…

細井 康生(koki ho-soy)のオリジナル小説【Psy-Borg】

”インディペンデント小説家”細井康生(ホソイコウキ)です。 人の意識の在り方をテーマにした【Psy-Borg】というキーワードにしたSF小説をブログやライブ活動等で発表していますが、小説投稿サイトでは今のところ活動をしていません。短編、中編を中心に発表していきます。

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記事一覧

【架空の世界のモノガタリ②】

【架空のお話#2】 #オリンピック反対 これはどこかの世界の架空の物語。 とある小国に一人のアスリートがいた。彼の才能は世界で通用できるほどに長けていた。 しかし…

【架空の世界のモノガタリ①】

【架空のお話#1】 #オリンピック反対 これはどこかの世界の架空の物語。 とある小国に一人のアスリートがいた。彼の才能は世界で通用できるほどに長けていた。 し…

緊急事態宣言ですね・・・。

緊急事態宣言です。 個人的な意見ですが、緊張感がなくなり無意味になっている一方で、どうにか守らせようと、同調圧力で嫌がらせや誹謗中傷を拡散する流れも増えているよ…

Psy-borg4〜錯乱の扉12

「調査隊が着くのはまだ先よ」  怪訝そうな顔でクラウスが振り返る。 「どういうことだ?」 「問題が生じているとされた座標軸を違うところに設定したからね。それに終息…

Psy-borg4~錯乱の扉⑪

「簡単に言えばそういうことね」  危機状況下での自己防衛機能が個体ごとにに強化されるのならば、それは戦場において部隊の損害を最小限に食い止めることができる。 そ…

Psy-Borg4~錯乱の扉⑩

 今のところなぜこのようなミスプログラミングが起こったのか原因は解らない。  しかしこれでAI単独部隊の運用は先延ばしになる事だろう。 部隊内のネットワーク環境は…

Psy-Borg4~錯乱の扉⑨

[G確認」  D-13から連絡が入る。クラウスも砂塵が舞う視界不良の中で、微かにそのパワードスーツのシルエットを確認した。クラウスは距離を保ち視認できる位置から彼の追…

Psy-Borg4~錯乱の扉⑧

 その後はもうよく覚えていない。彼は物陰で服を着替え、おぼつかない足取りで家へと帰った。まだ母は仕事から帰っていなかった。彼は着ていた服をゴミ袋に入れ、そのまま…

Psy-Borg4~錯乱の扉⑦

忌々しくも甘美で、陰鬱で淫靡な記憶。 そんな記憶が鍵をかけた記憶の扉から滲み出ようとしている。  あの壊れたトレーラーハウスを、指示を無視して破壊したエドを見た…

Psy-Borg4~錯乱の扉⑥

 彼は飛び起きて時計を見た。ついウトウトして浅い眠りについていたのか、ほんの十数分しか経っていない。  何とも言えない淡い恍惚感が彼を包んでいる。夢精するまでで…

Psy-Borg4~錯乱の扉⑤

 今日の行動履歴と指示記録を抜き出し、本日待機の部隊にそのデータチェックを任せる。そのための二部隊制だ。不具合が見つかれば互いに検査し合い、修正を施す。  検査…

Psy-Borg4~錯乱の扉④

 頽廃した街並みを探索する。2ヶ月前にテロリストの攻撃を受け壊滅した街。その後拠点となり、いくつもの戦闘が行われた場所。多くの人が死に、この街から離れて行った。 …

Psy-Borg4~錯乱の扉③

国際平和維持軍、第13部隊。 隊員は12体 内人1名 そう申請されている。 紛争後の事後処理、一般市民の保護、治安維持活動を主とし、必要最小限以外の戦闘は許可されてい…

Psy-Borg4~錯乱の扉②

ある国で内乱が起きた。  一党独裁による権力集中、利権の独占。富の偏り、民衆の不満。  反政府ゲリラの横行。軍部の叛乱による議会の占拠  時代に逆行するその内乱…

Psy-Borg4 錯乱の扉①

パパ、ママ僕を置いて行かないで 僕からパパとママを奪わないで… 舞い上がった砂塵は、一帯を深く包み込み昼なのにライトをつけなければ相手の場所もわからない。目視で…

小説掲載の再開しますねー!

皆さまご無沙汰でございます。突然投稿を続けていた連作短編Psy-borgを休載しておりましたが、やっと再開いたします。この数ヶ月「アイデアが出ないのじゃあ」と煩悶してた…

【架空の世界のモノガタリ②】

【架空のお話#2】
#オリンピック反対

これはどこかの世界の架空の物語。

とある小国に一人のアスリートがいた。彼の才能は世界で通用できるほどに長けていた。

しかし彼の国は貧しく、満足な練習もできなかったが、様々な人に支えられ、彼は力をつけていった。

国民の後押しもあって彼は唯一のオリンピック選手になった。彼は国の英雄だった。

国民は彼に自分を投影し、政府は全面的に彼を支援し応援した。

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【架空の世界のモノガタリ①】

【架空のお話#1】

#オリンピック反対

これはどこかの世界の架空の物語。

とある小国に一人のアスリートがいた。彼の才能は世界で通用できるほどに長けていた。

しかし彼の国は貧しく、満足な練習もできなかったが、様々な人に支えられ、彼は力をつけていった。

国民の後押しもあって彼は唯一のオリンピック選手になった。

彼は国の英雄だった。

国民は彼に自分を投影し、政府は全面的に彼を支

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緊急事態宣言ですね・・・。

緊急事態宣言です。

個人的な意見ですが、緊張感がなくなり無意味になっている一方で、どうにか守らせようと、同調圧力で嫌がらせや誹謗中傷を拡散する流れも増えているような気がします。

太平洋戦争中、隣組っていう曲がありました。「この世界の片隅で」で知った人も多いでしょう。曲自体は「ドリフ大爆笑」でおなじみです。

いってみれば【難局を乗り切るための相互扶助】の曲なんですが、

この隣組制度が不当な赤

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Psy-borg4〜錯乱の扉12

「調査隊が着くのはまだ先よ」

 怪訝そうな顔でクラウスが振り返る。
「どういうことだ?」
「問題が生じているとされた座標軸を違うところに設定したからね。それに終息の報告もまだ転送していない」

 彼はルーシーに向き直ると声を上げた。
「何を勝手なことをしている。そんなことをしたらどうなるか分かっているのか?」

 パワードスーツの上からでは、ルーシーの表情は窺い知れない。激しい狼狽がクラウスを襲

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Psy-borg4~錯乱の扉⑪

「簡単に言えばそういうことね」

 危機状況下での自己防衛機能が個体ごとにに強化されるのならば、それは戦場において部隊の損害を最小限に食い止めることができる。

そしてそれは大いにありがたいことである。

 しかしそのことと、今回の暴走とどう関係があるのか? 

「今、世界で感情学習機能を備えたアンドロイド達が、人のパートナーとして認められてきているわね。人の持つ感情の機微を学び、より繊細な心の結

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Psy-Borg4~錯乱の扉⑩

 今のところなぜこのようなミスプログラミングが起こったのか原因は解らない。

 しかしこれでAI単独部隊の運用は先延ばしになる事だろう。

部隊内のネットワーク環境は隔絶されているはずだ。しかし今回のAIの単独行動―暴走と言ってもよいだろう―は想定外のことだ。

 もしかしたら外部からウィルスが入り込めるようなネットワークの脆弱性があったのかもしれない。

 元々のAIプログラムが、自分の行動アル

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Psy-Borg4~錯乱の扉⑨

[G確認」

 D-13から連絡が入る。クラウスも砂塵が舞う視界不良の中で、微かにそのパワードスーツのシルエットを確認した。クラウスは距離を保ち視認できる位置から彼の追尾を続けた。その先に難民キャンプのテントがぼんやりと見える。不意にその時ヘッドフォンから何やら声が聞こえた。

(ママ…)

 呟くようなノイズまじりの声がクラウスの耳に届く。何か心をかき乱すような嫌な予感が彼を襲う。Georgeが

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Psy-Borg4~錯乱の扉⑧

 その後はもうよく覚えていない。彼は物陰で服を着替え、おぼつかない足取りで家へと帰った。まだ母は仕事から帰っていなかった。彼は着ていた服をゴミ袋に入れ、そのままダストシュートへ放り込んだ。

 それでもあの女の匂いが染みついているのではないかと、何度も身体を洗い、その日は部屋に閉じこもったまま食事も摂らなかった。

 それから何日も高熱が続き、身動きもできずにずっと寝込んでしまっていた。何もかもぼ

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Psy-Borg4~錯乱の扉⑦

忌々しくも甘美で、陰鬱で淫靡な記憶。

そんな記憶が鍵をかけた記憶の扉から滲み出ようとしている。

 あの壊れたトレーラーハウスを、指示を無視して破壊したエドを見た時、自分はどこか晴れやかな気分になりはしなかったか?

 トレーラーハウスは自堕落な父の象徴だった。そんな父を自分の中から消し去り、今までの暗い記憶を精算できた気がしたのではないか?

 これで自分の過去を知る者は誰もいなくなった。ロー

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Psy-Borg4~錯乱の扉⑥

 彼は飛び起きて時計を見た。ついウトウトして浅い眠りについていたのか、ほんの十数分しか経っていない。

 何とも言えない淡い恍惚感が彼を包んでいる。夢精するまでではないが、久しぶりに痛いくらいの勃起感を感じる。

 そして何故かブルッと悪寒が走り、意識の奥底に眠る恐怖心も湧き出て来る。おかしな夢でも見たのだろうか?まだ30分も経っていない。

 彼は装備を脱ぎ、改めてシャワーを浴びに行った。まだ待

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Psy-Borg4~錯乱の扉⑤

 今日の行動履歴と指示記録を抜き出し、本日待機の部隊にそのデータチェックを任せる。そのための二部隊制だ。不具合が見つかれば互いに検査し合い、修正を施す。

 検査報告書を検閲しながら、考察必要な箇所を暗号化し本部の情報部隊へ転送する。
 今日の部隊は本部からの連絡が入るまで待機することになる。

 クラウスはすべてのチェックと転送を終えると、冷め切ったコーヒーを飲み干した。大きくため息をついて身を

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Psy-Borg4~錯乱の扉④

 頽廃した街並みを探索する。2ヶ月前にテロリストの攻撃を受け壊滅した街。その後拠点となり、いくつもの戦闘が行われた場所。多くの人が死に、この街から離れて行った。

 道には薬莢が転がり、不発弾が転がっている。それを集め、処分してまた人がこの街に戻れるように作業をしている。

 不発弾や地雷の爆破、トラップの排除など人の手ではいくら時間と人を投入しても元に戻るまで100年はかかるだろう。しかしAI搭

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Psy-Borg4~錯乱の扉③

国際平和維持軍、第13部隊。

隊員は12体 内人1名

そう申請されている。

紛争後の事後処理、一般市民の保護、治安維持活動を主とし、必要最小限以外の戦闘は許可されていない。記載の通り、その部隊に「人」は1人しか配置されていない。

クラウス ヴェゲルナー

多くの作戦に随行し、成果を上げ、若くして少佐にまで駆け上った。

現在の戦役では「いかに多くの敵を排除したか」以上に「いかに死者、負傷者

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Psy-Borg4~錯乱の扉②

ある国で内乱が起きた。

 一党独裁による権力集中、利権の独占。富の偏り、民衆の不満。

 反政府ゲリラの横行。軍部の叛乱による議会の占拠

 時代に逆行するその内乱は、国際社会に懸念を与えた。

 円滑な通商の妨害。

 軍部の暴走。

 他国への揺さぶり。

 国際平和に重大な問題があると判断した安全保障理事会は国連軍による軍事介入を容認した。速やかに作戦は決行され、軍部の議会占拠から4日後に

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Psy-Borg4 錯乱の扉①

パパ、ママ僕を置いて行かないで
僕からパパとママを奪わないで…

舞い上がった砂塵は、一帯を深く包み込み昼なのにライトをつけなければ相手の場所もわからない。目視できる範囲はおそらく半径1mもないだろう。

「少佐、M-16地区に生命反応を確認しました」

「わかった。エドとクリスは引き続き偵察を続けてくれ、俺とデイビットはそちらに向かう」

「ラジャ」

クラウスは自身の装甲を高速移動モードに切り

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小説掲載の再開しますねー!

皆さまご無沙汰でございます。突然投稿を続けていた連作短編Psy-borgを休載しておりましたが、やっと再開いたします。この数ヶ月「アイデアが出ないのじゃあ」と煩悶してたわけではなく、次の作品をチマチマ書いておりました。私の場合書いて出しではなくてある程度書いてから、校正をしつつアップしてきています。それで、だいたい目処が立ってきたので、新作を4月から定期的にアップしていきますね今回はちょっとノンビ

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